181話「六界篇⑰ アクト猛るァ!」
ここは修羅道! 富山県にて最強の城路本家がタツサダにさらわれたァ~~!
その一方で、アクトとコンドリオンも修羅道にいた。
あちこち壊れかけの屋敷で火炎が所々燃え盛っている。まるで戦国時代の戦乱真っ只中のようだ。
上空を混濁した煙が揺らめいている。
「相変わらず殺伐してんなァ……。できる事なら来たくなかったがなァ……」
「なぜ禅しなかったんですか?」
「あァ……、今のままではダウートには誰も太刀打ちできねェからな」
燃えているものの、薄暗い屋敷の中でアクトとコンドリオンは隠れていた。
外では騒がしく亡者たちが延々と争い合っていたぞ。
ドイツもコイツも殺気満々で得物を振るって血で血を洗い続けていた。
なぜか餓鬼が追い回されて「あいやああああーる!!」と泣き喚いている。
実はリゥテムの不死鳥の効果で墓地送りされて輪廻転生してきた餓鬼なのだが、アクトたちにとっては知る由しない。どうでもいい。
「修羅道って、延々と争い続ける地獄なんですよね」
「あァ……」
「そこで戦っていればレベルアップすると思ってるんですか?」
「そんな浅はかなモンじゃねェ……。それでダウートに勝てりゃ苦労しねェよ」
「……そうですよね」
アクトの険しい表情。鋭い眼光。コンドリオンはゾクッとした。
「木星だったなら、こんな状況ァ仕方ねェ思うがな……! ここは地球だァ!!」
「地球……」
突然、障子をぶち破って現れた武者どもがアクトへ斬りかかってくるァ!
しかしアクトは無言で鞘に収めたままの刀を振るう!
すると突風でも起きたかのように、衝撃波が横一線に吹き荒れて、周囲の木造もろとも武者どもを吹き飛ばした!
「!!!!」
赤鬼たちは目玉を飛び出させてびっくりアクション!
「なんだぁぁぁぁあ!?」
「台風か!?」
「いや! アイツが起こしたんだァ~~!!」
「こんなヤツがまだいるとはァ~~!!」
おにああああああああああっ!!(絶叫擬音)
それでも骸骨武者、騎馬武者、武者頑○無、新選組などが一斉にアクトへ!
反射光が煌く無数の刃が鋭く軌跡を描く!
「地球を巻き込むんじゃねェぞァ!!!」
アクトは大口で吠えながら、刀でドゴォンと武者どもを宙に吹き飛ばしていく!
「!!!!」
さながら無双ゲームでもやっているかのように、ひと振りするたびにバッカンバッカン無数の武者どもが舞っていくぞ!
破竹の勢いで突き進むアクトに、コンドリオンも続く。
「ここは、ここはァ! 相棒のナッセたちが住む星だァ~~!! お前ら木星へ引っ込んでろァ~~~~!!」
「!!!!」
まさに敵なし! アクトの快進撃に武者どもは宙を舞うしかないァ!
そんなアクトにコンドリオンも感傷していく。
同じ木星人であるインド人なんだけど、生まれ育った地球をどれだけ愛しているかが汲み取れる。
それを無粋にダウートが地球を巻き込んでインドの天下を築こうとしているのが気に入らない。
「僕も……!」
するとズンと太い足が踏み鳴らされた。
「何を言ってんだァ? ちっぽけな地球如きをどうしようと木星さまの勝手だろァ!?」
なんと七メートルもの赤鬼武者がヘラヘラ笑いながら、巨大な刀を振るう!
それは大気を切り裂き、大地を割らんばかりの勢い!
ガッ!!
「!!!!!」
ニヤリと笑む赤鬼武者。立ち込める煙幕が晴れると、アクトは突っ立ったまま刀を掲げたまま一太刀を止めていた。
さすがに赤鬼武者は絶句する。
しかも黒い影で覆われたアクトにゾクッと寒気を覚えた。
「あァ!?」
そう凄まれ、地獄も恐れる“夜叉”と錯覚させちまう!
アクトは跳躍し、振り下ろした刀で赤鬼武者を地面に叩き伏せたたァ!!
ド ン!!!
地面にめり込み破片が舞い、赤鬼武者は「!!!」と白目ひん剥いて吐血!
まさか一撃で沈むと思わず赤鬼たちは「あの威力値七万級の赤鬼武者が一撃で!?」「嘘だろァ~~!!」「バ、バケモンだァ~~!!」と絶叫!!
「地球を巻き込むんなら、この地獄道をぶっ壊すァ!!」
キレ気味でアクトは叫んだァ! ド ン!