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180話「六界篇⑯ 勧誘ァ!」

 城路(ジョウジ)本家のタツロウにとって叔父となるタツサダの悲しい過去を聞かされた。


「……事情は分かった。だが、なぜ若いままでおれたのだ?」

「まさかロリコン(スリー)じゃねーと無理だとか?」


 フッと笑うタツサダ。握りかけの手を上にして差し出す。


「お前もロリコン(スリー)にならないか?」

「ならない!」

「見れば分かる。お前の性癖の傾向……。血筋だな」


 アッキーは「あっ! これ鬼○の刃ネタだこれ……」と察した。メタァ!

 タツサダの目にはタツロウの全身から漲る性癖オーラが映っている。


「その性癖、練り上げられている。()()()()()()()


 しかしタツロウは表情を変えない。


「私は城路(ジョウジ)本家総統だ。密かにロリコンだとしても、それは表に出すべきではない。ましてや幼女に手を出すなど外道の極まり!」

「そこは認めるのね……」

「ガフォッ!!」


 しまった、と言わんばかりに吐血するタツロウ。

 アッキーはジト目で「お前もかよ……。まぁ俺もだけど」と内心思う。お前もかよ。

 確かに表に出さず、内にしまっておく方がいいだろう。


「本題だ。タツサダ、なぜ若くいれられるのだ?」


 フッと笑うタツサダ。握りかけの手を上にして差し出す。


「お前もインド人にならないか?」

「ならない!」

「見れば分かる。お前の(おとろ)え……。老化だな」


 アッキーは「また鬼○の刃ネタかよ……」とゲンナリ察した。メタァ!

 タツサダの目にはタツロウの全身から漲る老人オーラが映っている。


「その年齢、重ね過ぎている。()()()()()()()


 しかしタツロウは表情を変えない。


「私は城路(ジョウジ)本家総統だ。天寿を全うするつもりでいる。インド人になるとかならないとか、そういう問題じゃない。第一、インド人と若さと直結しておらんではないか」

「それが、あるのだ」

「……なんと?」

「俺はダウートさまの部下になる事を引き換えに、インド人の血を輸血してもらったのだ!」


 アッキーは「また変な設定が……。これ何のネタかな?」と呆れている。


「輸血?」

「インド人特有の血液を輸血してもらう事で若返った。まぁ、若返りの理由が思いつかないから作者が苦し紛れに編み出した設定だろうがな」メタァ!

「身も蓋もない説明だわい……」

「それな!」


 タツサダは更に説明してくれた。

 木星人は寿命が異様に長い。地球人の約11倍。太陽系最大の惑星で生まれた生命体なので地球人とはレベルが違う。

 アクトだって四〇代のはずなのに、若々しいのはその為。

 なので定期的に輸血してもらえば地球人でも若さを保てる。


「インド人は太陽系最大最強の人類。それ故、全てを支配するのに相応しいとダウートさまは考えられたのだ」

「それは思い上がりじゃ! 考え直せ!」


 タツロウの言葉にも耳を貸さずフッと笑う。

 もはやタツサダは変わり果ててしまっている。インド人の血ゆえか、ロリコン(スリー)ゆえか、真偽は定かではない。


「『六道石(りくドォせき)』を全て集めて『如来王(ごときおう)』となれば、幼女とあんな事やこんな事も許されるのだ!」


 グッと拳に握り締めて、タツサダは己の野望を語る。


「……仕方ない! その歪んだ性癖、その野望、私が止めるしかあるまい!」

「ほう? 老ぼれで俺に敵うと?」

城路(ジョウジ)本家は富山県にて最強! その誇りを守る為に戦う!」


 タツサダは「安っぽい誇りだな」と鼻で笑う。

 アッキーも呆れつつ「そりゃ急に沸いてきた設定だもん」と同意しそうになる。



「ぬおおおおおおッ!!」


 タツロウは全身から研磨されたエーテルをギヴヴヴヴと噴き上げていく。

 激しく振動するような不協和音。濃密に練りこまれて研ぎ澄まされたエーテル。


辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅう奥義(おうぎ)……! 宝龍天上天下疾駆ほうりゅうてんじょうてんげしっくッッ!!!」


 タツロウは「ハアッ!!」と見開きながら地を蹴ると大地が爆発。まさに龍が地上スレスレを超速で飛行しているかのように疾走しながら、タツサダへ音速を超えた一太刀で薙ぎ払う。


「フッ! この程度……!」


 しかしタツサダは全身を龍を象るエーテルをボウッと纏う!

 そんな現象に、タツロウもアッキーも見開く。

 タツサダはインド特有の剣をかざし、タツロウの奥義を受け止めてしまう。ビクともしない。絶句するしかない。


「先祖さまが編み出したと言われる究極の『エーテ(リュー)』だと!?」

「そんな! 城路(ジョウジ)本家の誰も再現できなかったヤツじゃねーか!」

「言ったろう? 俺は稀代の天才とな!」


 剣を突き出したまま自身でギュルルルッと回転を繰り返し、獰猛に燃え盛る火炎の大渦を広範囲へ広げていく。ゴゴゴゴゴゴゴゴォ!!


辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅう火龍巻天翔陣かりゅうまきてんしょうじんッ!!」


 その火炎の渦にタツロウは「ぬわー!!」と巻き込まれていった。

 タツサダが剣を振り上げると、火炎の大渦は竜巻となって上空へと噴き上げ、タツロウを上空へ押し飛ばしてきりきり舞わせる。


 タツサダは『エーテ(リュー)』を纏いながら飛び上がっていて剣を振り下ろし、タツロウの首元に()めた。ガッキィン!

 そのまま燃え盛る火炎竜巻を纏いながらキリモミ回転で急降下────!


辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅう火龍巻地墜陣かりゅうまきちついじん──ッ!!」


 そのままタツロウを脳天から地面に叩きつけ、ガガガァアンッ!!

 強烈に炸裂した影響で大地をも穿ち、波紋状に土砂を巻き上げて衝撃波が荒れ狂った!


 タツロウは白目で「ガハ……!」と吐血、ゆっくり倒れていった。ズン!



 アッキーは戦慄で震え、腰が引けていく。

 目の前で炸裂させたタツサダの辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅうも本物だからだ。

 しかも先祖以外に再現した事がない『エーテ(リュー)』をも纏って!


「さて、そろそろ人間道へ戻る。お前も来い!」


 タツロウを肩に抱え、アッキーを睨む。

 それに怯みコクコクと頷くしかなかった。


 三人はシュワーンとこの場から消えた。

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