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173話「六界篇⑨ 因果応報ァ!」

 千手王はスピリアの先制攻撃によって鎖にがんじがらめにされて封じてしまったぞ。

 すると周囲の餓鬼どもが驚きのリアクションをしていた。


「なんてこった! あの千手千眼王サハーシャが!」

「恐ろしい事をしてるアル!!」

「天罰くだされるアルル~~!」

 うわああああああああああああああーる!!!(絶叫擬音)


 スピリアの『鎖縛天罰(チェーンネメシス)』は絡め取った対象に『封印』を付加させる。

 そうなるとオーラ、エーテルなど内に秘めるエネルギー気流を放射できなくなる。そしてスキルも魔法も発動できなくなる。

 それにより対象は無防備にさらされるのだ。


《セハハ……! 確かにその能力は恐るべきものだ!》


 縛られながらも千手王はニヤリと笑う。

 ジャオウは怪訝な顔をする。なぜそんな余裕なのかと気になった。


《あくまで封じれるのは……、生物が自発的に発する能力の(たぐい)だ!》

「…………!」


 図星であろうがスピリアは険しい表情を変えない。

 依然と宙に浮いて両手両足を突き出したままだ。(絵的にカッコ悪い)


《そう『鎖縛天罰(チェーンネメシス)』でさえも()()()()()ではない》


 実は封じる事ができないモノが存在する。

 ナッセが妖精王化する事であっさり破られていた。それは魂から放射する高次元エネルギー気流、そして第三次オーラであるフォースだからだ。

 そしてもう一つ、生態能力である『血脈の覚醒者(ブラッド・アウェイク)』も含まれる。


「気をつけろ! ヤツには何かがある!」

「百も承知だ!」

《じゅっふっふっふ! そう思うのなら更に締めてみろ!》


 挑発してくるのに疑問を持ったが、スピリアは「いいだろう! 望み通りにしてやる!!」と縛っている鎖を肥大化させて締めつけを強力なものにした。

 ギギギギギ、ちぎらんとする勢いで縛り、千手王は(しぼ)られていくかのようだ。


《どうした! その程度かァ!! セハハハハ!!》

(こた)えていないのか??」


 むしろ笑ってるくらいだ。得体が知れない。


「うわあああアル~~~~!」

「さすが神様アルァ!!」

「この餓鬼道を支配する神に、そんな能力が通用しないアル~~!」

「そうだ! どんな攻撃も通じなかったアル!」

「我らも攻撃してたんだがよ、全然堪えてねぇんだアル!!」


 わざわざ解説してくれる餓鬼どもに、ジャオウは怪訝に眉を潜める。

 なぜかカイガンは「フッ!」笑みを維持している。


 スピリアは頬に汗を垂らして、効いていない千手王に疑心を抱く。

 何らかの特殊能力で攻撃を受け付けぬ状態になっているのか?

 依然とフォースを出している様子もない。一見、普通に縛られているだけにしか見えない。

 しかし、あれだけ縛られれば屈強な男でも音を上げて苦しみ悶えるはず。


「貴様……!」

《セハハハハハハ! どうした? それまでか??》


 更に縛り上げて、体が紫に染まっていく。血流が滞っていないからだ。

 このままでは全身に血が行き渡らなくなって壊死しかねない。

 ジャオウはふと思った。


「まさか……本当に()()()()()()とか?」


 すると千手王はあからさまにギクッと竦んだぞ。

 動揺(どうよう)をあらわに、冷や汗をかきまくって目を泳がせて「な、なんの事やら?」と誤魔化す。

 スピリアはフッと笑む。


「そのまま絞め殺してやる!」

《おうよ!! 望むところだァ!!》ドン!


 なぜか千手王は受けて立つ気概だ。

 別に能力も出していない。なすすべもない。なのに、なぜか絞め殺されようとすらする。

 仮にも餓鬼道を統治するカミサマだ。


《さァ!! 絞め殺してみろォ!! できないだろうがな!!》


 むしろ挑発してくる。


《締め付けられる感覚! 血が滞る感覚! 痺れていく感覚! 息が詰まる感覚! 支配されている感覚! 全てはスピリアのモノにされている感覚!! いよし!!》


 スピリアは「えー……」とゲンナリして、鎖をシュルシュル解く。

 縛りを解かれた千手王は《ええ!? 止めちゃうの!?》と残念そうだ。


「貴様! ただ縛られる事に快感を感じていた()()かァ!」

《バレちゃった》


 てへ、と千手王は舌出して笑う。

 そんな様子に、餓鬼道は目を飛び出させてビックリ!


「ただのド(エム)だったアルァ~~~~!!」

「さっきまで攻撃を先に食らってたのはそういうワケだアル~~!?」

「なんてこったアルァ!!」

「でもよ、それだけじゃないんだアル!?」

「ああ! ()()()()出してねぇアル~~!」


 ジャオウは「アレ」がなんなのか気になった。

 気を取り直して、千手王は大の字に手足を広げて堂々と立つ。ドン!


《さァ!! 縛れ!!》

「断る!!」

《さァ!! 縛れ!!》

「断る!!」

《さァ!! 縛れ!!》

「断る!!」

《さァ!! 縛れ!!》

「断る!!」

《さァ!! 縛れ!!》

「断る!!」


 スピリアと千手王の押し問答の繰り返し。

 (らち)()かないとジャオウは掌を突き出す!!


「邪凶滅殺拳! 獄炎・三十頭(さんじゅうず)黒龍翔破(こくりゅうしょうは)────ッ!!」


 なんと三十匹もの黒炎龍がドバーッと放たれた!!

 千手王は《ぐわああああああ!!!》と三十匹もの黒龍に呑まれて燃え上がっていく!

 激しくゴゴゴゴゴと黒炎は燃え盛っていくぞ! しかし!


千手(せんじゅ)()陰我応砲(いんがおうほう)!! 侵壊刺(おかえし)!!》


 なんと怒り狂った千手王は、背中から黒炎に燃え上がった千手を急速に乱射して、ジャオウを滅多打ちにして叩き伏せたァ!!


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!

「!!!!」


 黒炎の噴火が爆ぜて、周囲に烈風を巻き起こした!


《野郎からはお断りァ!! だ~か~らァ因果応報(いんがおうほう)だァ~~!!》


 まさかの返し技にスピリアは絶句した。

 要するに、食らった技を千手に吸収させて発動者に返した。食らった分の威力と千手の攻撃力がプラスされて手痛い反撃を繰り出したのだろう。

 煙幕が晴れて、半裸になったジャオウは苦い顔を浮かべていた。

 チッと舌打ちする。


「ならば、貴様はオレが消す!」

《いいだろう! スピリアに縛られる前にブチ殺してやろうぞ!》


 ジャオウと千手王が対峙してド ン!!

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