表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/302

169話「六界篇⑤ ヤバい動物化ァ!」

『牛・リョーコ(ちくしょうどうのすがた)』

 白黒模様の牛柄のワンピースに黒スカート。ハイヒールが牛の(ひづめ)を模している。

 斧は牛を模したオモチャのようなデザイン。


『ラーテル・カレン(ちくしょうどうのすがた)』

 頭巾のようにラーテル頭部の皮をかぶっている。灰色の毛皮のジャンパーに黒ビキニ。

 身長ほどの長い柄のハンマーはラーテルを模しているデザイン。



「ともかく、何も知らずに来たんなら、早く帰った方がいいぜ?」


 翌日の朝、クマはそう言ってきた。

 ここは『畜生道』って六道輪廻の中の一つ。弱肉強食が徹底とされていて、本能のみで食って食われる地獄。そんな気が抜けない世界の為か、戦々恐々(せんせんきょうきょう)と暮らすしかない。


「今まで余裕がなくて生きるのに必死だったガウが……」

「あんたらに触発されてか、なんか思い出した気がするわ」


 ティラノサウルスやクジラまで人間臭い事を言い始める。


「手の甲を見てみろ」


 クマに言われて見てみると、薄らと毛が生えている。

 リョーコは爪が黒く太くなっている。心なしか親指と小指が短い。カレンは爪がやや鉤爪(かぎづめ)っぽい。ビキニなので露出している肌に毛が少し生えているのが窺えた。

 ……ひょっとして、ここにいると動物化??


「えええ? ヤバくない!?」


「もう俺らは忘れてしまったガウが、こうして懐かしく思えるから、元は人間だったのかもなガウ」

「……ワシはどの時代でここに来たのかも覚えとらんが、かなり昔かもな」


 しみじみとしているティラノサウルスとクジラにゾッとした。

 クマは真剣な顔を見せる。


「俺も流れて来たクチだろうと思うが、ここは畜生道。いくら転生しようとも脱出が不可能な世界。再びプラーナが来る事を期待するなよ?」

「プラーナだって??」

「なんだ? それはーァ?」


 ついでにプラーナや六道輪廻の事もリョーコたちに説明した。

 すると茂みがガサゴソと騒ぎ出し、思わず振り向くと……。


「うおおおおおお!!! ハーレム、ハーレム、ハアアアレムウウウ!!!」


 なんとカッパのオオガが大の字でガバ──ッと飛び出してきた!!

 性欲丸出しアソコギンギン膨張! 血眼でリョーコの巨乳とカレンのビキニを凝視! カッパのクチバシから舌が暴れてヨダレ垂らす!


 あ! やせいの オオガが とびだしてきた!


「いや────っ!! なんなのぉ────!? この変態っ!!」


 涙目でリョーコはおののく。

 しかしカレンは据わった目でハンマーを振るい、ゴールデンボール×2をクラッシュ! 粉微塵に!

「キンッ……!!」

 さすがのオオガも白目をひん剥く!

 そのままぶっ飛ばして、遥か向こうの石壁にめり込ませた! メキョ!


 こうかは ばつぐんだ!

 やせいの オオガは いしかべに めりこんだ!


「変態は放っておいて、脱出方法を探そーァ!」

「うん! ケダモノになってしまう前にね!」

「あっちは手遅れだがなーァ」


 慣れているカレンに戦慄して、クマ、ティラノサウルス、クジラはブルッと青ざめた。




 クジラは上に、クマ、ティラノサウルス、リョーコ、カレンを乗せてズンズン森林を突き進んでいた。

 図体がデカいので遠くまで見通せるのが強い。

 岩山があちこち突き出ている以外は森林で、やや起伏している地形。空は常に木星の表面のような雲一面。


 数時間が経過してて、リョーコもカレンも半獣人化してきている。

 顔面が出っ張ってきて、四肢の骨格も動物に近づいてて、そろそろ二の足で立っているのも辛くなってきてる状態だ。


「早く脱出する方法見つけないと!」

「あ! あの上空!!」


 なんと遠くで大きな渦が窺える。まるで逆さまな渦潮みたいだ。

 螺旋状に急速で回転しているようで、何か吸い込んでいる雰囲気さえする。

 するとニョキッと馬の頭が逆さまで降りてきたぞ。

 クジラさえも真っ青の巨大さだ。


「ぶひひひんっ! 初めましてー! 我こそが馬頭王(ばとうおう)ヤバグリーシャだ!」

 ド  ン!(登場擬音)


 リョーコ、カレン、クマ、ティラノサウルス、クジラは「!!!!」と驚く。

 なんかひょうきんそうな馬がニヒッと笑ってくる。


「新米さん来てるね~! ここに落ちたが最後! 畜生道で永遠に転生するしかない運命! きさまらもここで諦めて畜生になっちまいなァ!」


 リョーコとカレンは「……」と不機嫌そうになっていく。

 それでも構わず馬頭王(ばとうおう)は馬鹿にするようにプッと吹き出す、


「バ──カ! バァ────カ!! ザマァねーなァ!! そういうのを見るのが楽しくてたまんなーい! ギャハハハハハハハハハハ!!」


 ムカつくほど大笑いして舌を出してバカにしまくってきたぞ!

 しかしクマ、ティラノサウルス、クジラは怒りに震えたまま堪えるしかなかった。

 向こうの方がデカくて強い上に偉いカミサマみたいなものだ。反抗すれば痛い目を見るだけだ。


 だが!


「なーんだってぇ!!」

「ムカつくーァ!!」


 怒りに満ちたリョーコとカレンがエーテルを纏って飛び出したァ!!


「いっせーのォ!!」

「ぎがあああああ────っ!!」


 リョーコは斧で、カレンはハンマーで馬頭王(ばとうおう)の両目にドゴォンとブチ込んだ!!

 思わず「!!!」と漏れた!

 クマ、ティラノサウルス、クジラは目玉飛び出して、大口から舌を出して驚きのリアクション!


「やっちまったァァァァァ!!」

「仮にも畜生道のカミサマに手を出しやがったァ~~!!」

「仏様を恐れぬ胆力だァ!!」


 うわあああああああああ!!!(絶叫擬音?)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ