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13話「先祖成仏……! そして更なる真相!!」

 辰衛門(タツエモン)が歩んできたという歴史の史実(疑惑)を知らされたのだぞ。


「それで頼みがあるなりぞ。この史実を現世に伝え……」

「「「「ムリですっ!!!」」」」


 オレたち家族は綺麗なまでに一致して首と手を振った。

 辰衛門(タツエモン)は「ぬう! ウソの歴史のままでいいのかいぞ!?」と憤怒っておられるが、正直言ってムリだと思う。

 こんなのありましたよーって、歴史学者にありのまま伝えても鼻で笑われるだけだろう。


「史実を捨て置くとは! この愚か者めなりぞっ!!」


 涙を流しながら斬りかかってくる辰衛門(タツエモン)の刀を、オレは掌で受け止めた。

 そして足元に花畑が咲き乱れ、広がっていく。

 ボウッと神々しいフォースを吹き上げながら花吹雪が舞っていく。オレは後ろ髪をバサッと伸ばし、両目の虹彩に星マークが浮かび、背中から四つの花弁が翼のように並んで浮遊。


「な、何だんぞっ!?」

(スーパー)ナッセ……と言いたい所だが、妖精王だぞ」


 凄まじい威圧感が膨れ上がって、この奇妙な空間すら震え上がっていく。

 何も知らなかった父母、弟二人はポカンと見開き口を開けていた。そういや説明してなかったか。


「あ、兄貴、さ、更に変身できたのか……!?」

「す……すげぇ気だッ!?」


 そして何よりも辰衛門(タツエモン)は戸惑ってか身じろぎする。


「……むうッ!? こ、この威圧……ッ! 人間の限界を遥かに超えておるんぞッ! 幾百年もの長い年月の間に、城路(ジョウジ)家は一体どうなったのだんぞッ!?」

「聞いていいか? なんで分家のオレたちが呼ばれた?」


 ううむ、と唸ってから辰衛門(タツエモン)は自ら落ち着いて、その問いに答える。


「武力が十万を超える城路(ジョウジ)家の者が現れた時のみ、この未練の空間へ誘える」


 そうか。だから威力値が十万超えているオレたちに白羽の矢が立ったのか……。

 本来なら代々伝わる辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅうを会得し“タツ”を冠する名前の本家が、それ相応の力を身につけた時に真実を伝えるつもりだったんだな。

 長らくそんな猛者が現れなかったから、今までこの現象は起きなかった。


「一応伝えてみるけど期待はしない方がいいぞ。先祖さま」


 辰衛門(タツエモン)は無言で立ち尽くす。

 何を思ったか、オレの顔へ掌を向けて目を瞑る。しばし間を置いて、ゆっくり目を開く。


「そうか。数奇な人生を歩んできたものなりぞ。城路(ジョウジ)ナッセよ。そなたは本家を超えうる力を持ちながらも野心を抱かず、輝かしい夢を目指す人なのだなんぞ」

「ああ! 異世界でワクワクするような冒険をたくさんして、師匠のような偉大な創作士(クリエイター)になってみせる!」

「ほほう。今に満足せず、更なる精進を目指すかいぞ!」


 ふふ、と柔らかい笑みを見せた。


「ああ! どこまで行けるか分かんねーけど頑張るよ」

「うむ…………」


 辰衛門(タツエモン)は頷き。優しい笑顔に緩んでいく。


「また来年お盆に来てくれよな」

「そうさせてもらおうぞ! 我が誇れる子孫ぞ!」


 浄化の光柱を展開して、辰衛門(タツエモン)を包み込んで上昇させていく。

 舞う花吹雪と共に天の輝ける天界へと誘われていって、無事成仏していった……。さようならぞ、さようならぞぉぉ…………。


 気付けば、晴天の墓場に戻っていた。

 まるで白昼夢のような不思議な感覚を残したまま、オレたちはホッと胸をなでおろした。


 ……それにしても面白い先祖さまだったなー。




 しばしして、とある施設で歴史学者たちに辰衛門(タツエモン)が伝えた史実を言ってみたが、信じてくれる人は一人もいなかった。

 そうだよな、とはにかんで笑う。

 ……もちろん本家にも言わず、胸にしまっておこうと誓ったのだった。


 ナッセたちが施設を去った後、歴史学者たちは急に真剣な顔になって、重々しい空気を醸し出す。


「まさか……本当の史実を知る者が現れるとはな…………!」ゴクリ!

「ああ。どのようなルートで漏れたか気になるな」

「まぁいい。ヤツらがどう暴露しようとも誰も信じないがな」


 メガネを煌めかして、リーダーが現れた。


「この史実は表に出すべからず! 信長のルーツとして()()の存在を悟られぬ為に……!」


 歴史学者たちはカツカツと秘密の部屋への扉前で機器にカードを走らせ、パスワードを打ち込む。すると厳重で頑強に厚い鋼鉄の扉が何連もプシュプシュ開きまくっていく。

 その先の部屋へ入ると、モワモワ煙幕が足元に流れ出していく。


「しょせん歴史上の織田信長など、()()の『分霊(スクナビコナ)』が一個の生命体になっただけにすぎん……!」


 緊張に強張る彼らが見上げる先には、巨大な氷塊が固定台に乗せられて鎮座していた。

 中に何か人影が見える……。

 まるで巨人のような頑強な体躯で、神々しい後光の装飾を背負う武者鎧を身に包んでいる男だった。


 ノブオオオオオオォォォォ…………!


「遥か昔、織田家内でさえ、あまりの強さに恐れて封印するしかなかったと言う、一万年に一人現れる伝説のスーパー織田人ッ……!!」

「そう! 生まれた時から威力値が一万だったという恐るべき武将ッ!!」

「その名は…………」


 誰もが息を飲む。


織田(オダ) 信郎(ノブロー)!!」ド ン!




 ※この史実はフィクションです。実際の史実とは一切関係ありません。

 意味深に続編を匂わせていますが、完全なネタですw

 マジで復活するとかないですw

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