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124話「燃えろ! 新・無頼漢!!⑩」

 オカマサとドラゴリラは五日も『洞窟(ダンジョン)』を進んでいた。

 度々(たびたび)襲いかかってくるモンスターも、威力値万クラスの彼らの敵ではない。


「ごおおおおおッ!!」「うほおおおおおッ!!」


 全身に纏ったオーラが尾を引きながらモンスター群へ突っ込んでいく。

 オカマサは二刀流のナイフを振るい、ドラゴリラはゴリラの両腕を振るい、ドッカンドッカン宙に舞わせていく。

 二人は心身ともに(たぎ)って(たか)ぶって燃えていた。


 死屍(しし)累々(るいるい)と横たわるモンスターが煙となって霧散していくのを見下ろす。


「……もうちっと早く、こうしてればなぁ」

「過ぎた事は仕方ないさ。今が燃える時だろう?」

「せやな!」


 二人はニカッと笑ってゴツンと拳を重ね合う。




 そして最深部と思わしきフロアを前に、二人は息を呑む。

 ボスが居る気配がある。ただならぬ威圧がヒシヒシ伝わってくる。緊張する。


「だが、今の俺たちは前と違う!」「せや!!」


 二人は勇気を奮わせて一歩一歩進んで、ついに踏み入れた。ザッ!


 メェメェメェメェメェメェメェ……!


 不気味な反響音、ビリビリ響く威圧、そして混濁(こんだく)した黒緑渦巻く雲が周囲に漂うイメージ空間。

 ズン、とヒヅメの獣足が地面を割るほど踏みしめてくる。

 筋肉隆々の巨体。黒ヤギの醜悪な獣顔。一対のヤギのツノ。額に青い炎がメラメラ燃えている。ヨダレを垂らしながら低く唸る。赤く輝く両目。


「バファアアアアアアアアアアアアッ!!!」


 咆哮(ほうこう)によって、嵐のように吹き荒れる威圧で辺りが振動していく。

 オカマサもドラゴリラも気圧されまいと踏ん張っている。


 メェメェメェメェメェメェメェメェメェメェ……!


「……バフォメットだな。こうして初めて見るが……」

「おっかねぇんやな。ワイら勝てへんか?」

「俺がいる! 一緒に共に歩む限り、誰にも負けやしないぜ!」


 オカマサが手を差し出し、ドラゴリラも「せや!」と頷き、ギュッと手を握り合う。


「「連動(リンク)ッ!!」」


 二人が握り合った“漢の絆”の光が灯り、同時に全身から激しく燃え上がるオーラが勢いよく立ち上っていく。ドン!

 これで威力値はともに三〇〇〇〇を越えたッ!!



『悪魔獣バフォメット』(悪魔族)

 威力値:36000

 大きなツノが目立つ黒ヤギの頭。3メートルを超えるほどの筋肉隆々の巨体。ヒヅメの獣足。知性があり、狡猾。凶暴で残忍なので殺戮を楽しむ。

 精神生命体(アストラル)なので物理攻撃は効果がない。光か闇の霊属性で攻撃しよう。

 悪魔に部類するため、僧侶系の浄化系も効果がある。

 メェメェと鳴く。中級特上位種。


 まずはオカマサ単体で二刀流のナイフを逆手に飛び出す!


孤漢(こかん)殺陣進撃(さつじんしんげき)ッ!!!」


 オカマサは瞬間移動のようにあちこち高速移動してバフォメット全身を斬り刻む!!

 四方八方から襲い来る衝撃を(ともな)う凄まじい斬撃によってバフォメットは踊らされていく!


 ドドドドドドドドドドドドドドッ!!!


 さしものバフォメットも「ブババッ!!」と驚き見開く。

 体勢を崩したのを見計らい、ドラゴリラが突っ込む! オカマサは「相棒よ、行けッ!!」と叫ぶ!


「うほおおおおおおおッ!!! (ぞう)ちゃん……!!」


 周囲に飛沫(しぶき)を噴き上げつつ後方に大きな(ぞう)が召喚され、ドラゴリラの全力パンチに合わせて頑強な前足を振るう!!


「パァ────────ンチッッ!!!」


 それは狙い違わずバフォメットの上半身に重々しくドスンとのしかかる! 下方の岩盤が(めく)れ上がってズゴゴッと吹き飛んでいく!

 しかし、バフォメットは太い獣足で地面を穿(うが)つほどに踏ん張ってしまう!


「ありえへんっ!! パワーアップしてるんやのに!!」

「フクダリウス並かよっ……!?」


 そして具現化した大きな斧を周囲に薙ぎ払い、オカマサと象とドラゴリラを弾き飛ばす!!


「オガッ!!」「クボバッ!!」「ぱおー!」


 凄まじい烈風が巻き起こり、二人と一匹は遠くの壁にまで吹っ飛ばされて身を打ち付ける!

 バゴ、バゴ、バゴォォン!!

 ガラガラと瓦礫が崩れ落ちていく。煙幕が立ち込める。

 血塗れになった象はボンと煙に掻き消える。オカマサとドラゴリラは額から血を流しつつも不屈の意志で立ち上がる。


「ぐぐっ……!」


 きっとナッセなら粘る戦い方をする。そして勝つ! だから!


「負けられるかぁぁぁあ!!!」「せやああああああ!!!」


 不屈と再び『連動(リンク)』して、全身からオーラを噴き上げる! ドン!

 瞬時にバフォメットへ飛び込んで、二人がかりで猛攻を仕掛けていく!


 ドガガッガガガガッガガガッガッガッガガガッガッガガガガガ!!


 バフォメットの方も重そうな斧を軽々と振り回して、二人がかりの猛攻を(さば)ききっていた。一進一退の攻防の応酬で、煙幕が四方周囲へ流れていく。

 それでもオカマサとドラゴリラはオーラを纏い尾を引きながら必死に攻め立てている。

 ナイフとゴリラの腕が踊り、それでもバフォメットは斧で何度も弾き返す。


 するとバフォメットの前蹴りがオカマサを飛ばし、斬り下ろす斧でドラゴリラを殴る!


「オウガッ!!」「クボバッ!」


 バフォメットが更に斧を振り下ろしてドラゴリラへトドメを刺そうとするが、即引き返してきたオカマサが「させるか────ッ!!」とオーラを纏って飛び蹴りを放ち、横顔をバキッ! たたらを踏むバフォメット!

 その隙にドラゴリラは起き上がって両手を合わせてオーラを集中!


「うほおおッ!! ゴリラ砲ぉ────ッ!!」


 合わせた両手の間から放たれた凄まじい気流が扇状に広がって、バフォメットを飲み込んでドゴアアアアアンッと大爆発を起こす!

 ハァハァッと息を切らす二人。

 シュウウウ……煙幕が晴れていくと、依然(いぜん)無傷のバフォメットが姿を現す。


 メェメェメェメェメェメェメェ……!


(クソ)! これでもダメなのかいッ!!」

「ウツボウーパルーパの時と同じや! 全く効いてへんッ!!」


 バフォメットが口を開き「バオッ!!」と吠えた。カッと閃光が爆ぜる!

 ドーンと噴火のような大爆発を噴き上げて、オカマサとドラゴリラは「ぐおああああッ!!」と吹っ飛ぶ。地面に転がってズザザザ……ッと勢いよく滑って横たわる。

「ぐ……!」「せ、せや……ッ!」

 痛む身体。意識が混濁して沈みそう。その間もバフォメットはズンズン歩み寄ってくる。


「俺たちは……この程度だったのか…………!?」ガクッ!

「む、無念や…………!」ガクッ!


 メェメェメェメェメェメェメェメェメェメェメェ……!

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