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101話「秋季大会編 ~全国大会開始!」

 ────仮想対戦(バーチャルサバイバル)明治魔導聖域(メイジサンクチュアリ)


 東京都の渋谷区にあるコロシアムの事だ。

 そこで地区予選を勝ち抜いた強豪校が集まってきてトーナメント大会に参加する由緒正しき全国大会だぞ。

 十一月十二日にオレたちは特急で東京都へ向かい、品川駅で乗り換えて新橋駅まで行き、東京メトロで外苑前駅まで行って三分歩けばたどり着ける所だぞ。


 そこは広大で野球場も競技場もコロシアムも揃っているぞ。

 天気は晴天。晴れ晴れだぞ。


 二〇〇九年十一月十三日、開会式が開かれ、並々ならぬ専門校の創作士(クリエイター)たちがチームで並んでいる。

 関西地区とは比べモンにならねぇ威圧がヒシヒシ伝わってくる。日本にもこれだけ強豪がたくさんいるのだと緊張してしまう。

 専門学院ごとに何かをテーマにした風貌をしていて、それぞれを得意とする猛者どもだ。面構えが違う。


 オレはキャプテンのフクダリウスを先頭にしてヤマミやマイシたちと並んで何かの演説を聴いていた。



 去年の秋季大会で優勝した強豪校のキャプテンがマントを靡かせて不敵に笑みながら「己の力量でもって正々堂々と戦う事を誓う!」と選手宣誓をしてきた。

 まるで魔王のような出で立ち。ボサボサで長めの黒髪、好戦的そうな鋭い眼光、三メートル強の大柄な体格、そして滲み出る圧倒的威圧……。


「……前年度と夏季の連覇優勝校ジャキガン学院のキャプテン紫香楽(シガラキ)マジンガ! スペリオルクラスの『暗黒破壊者ダーク・デストロイヤー』でトップレベルの実力者だ」


 フクダリウスの言葉に息を呑む。威力値は約二〇万を超えるであろう創作士(クリエイター)

 イキナリ当たったりしませんよーに……。


 すると誰かが青空へ跳躍してマジンガへ剣を振るう!


 ガギィン!!


 マジンガのかざした大剣と交差し、凄まじい衝撃波が吹き荒れ大嵐のように烈風が爆ぜた! 地響きと共に全身を貫いていく威圧でビリビリとくる!

 選手宣誓に殴り込んだ男は、サッパリした感じの青年で中肉中背。青い髪の毛で一部逆立っている。ニッと爽やかに笑む。ギィンと衝撃波を伴う捌きで互い離れる。


「今年も来おったか……! シュジンコー学院のキャプテン澤谷(サワヤ)ユウキ!!」

紫香楽(シガラキ)マジンガ!! 今年こそお前を倒してやるぜ!!」

「フハハッ! また屈辱の敗北に沈ませてやろう……!」


 カッと互い睨み合うだけで、大気が破裂するように爆ぜた! 強ぇえ!!


 しかし、このパフォーマンスって少年漫画でよくある主人公と宿敵が最初にやるシチュみたいだぞ。

 誰も突っ込まないし、注意してこない辺り、みんな空気を読んでるんだろうか?

 双方とも得物を収め引き下がっていく。


 抽選はもう行われていて、オレたちの対戦校も決まってた! なんと!


「前年度の優勝校であるジャキガン学院!!!」

「「「な、な、なんだって────────ッ!!」」」


 オレもリョーコもエレナもビックリ仰天!!

 マイシは「相手にとって不足ないし!」と拳を鳴らし、モリッカは「はっはっは! ぶっ殺し甲斐ありますねぇ!」などと言ってるけど冗談じゃない!

 よりにもよって最強の強豪校と一回戦でブチ当たるなんてっ!! 誤算だ!!

 大きなモニターにトーナメント表が浮かび上がってきて、まるで優勝が遠く感じて見えたぞ……。



 なーんか、開会式が終わった後にジャキガン学院のマジンガとシュジンコー学院のユウキが不敵に睨み合って減らず口を叩いている。


「フン! キサマらとは決勝でぶつかるか……! うぬらが勝ち抜ければな!」

「ああ! 決勝で待ってろよ!! オレたちもたどり着いてやらあっ!!」


 くそー! 決勝で会う気になってやがる!

 でも確かに少年漫画ではありがちなシチュだよな! 燃える展開なんだけど!

 こっちは優勝校の噛ませになるヤラレ役のモブ校扱い……。なんか気に入らねぇ!


 とは言えスケジュール的にオレたちの対戦は十一月一五日……明後日になるなぞ。




 もう夕日が沈んで紫がかかった夜空……。

 そのホテルでオレたちは一同集合してて、ヨネ監督がディスクを持ってきていた。それをデッキに乗せてウィーン起動した。

 モニターにはジャキガン学院による対戦のシーンが映し出されていた……。


「地区予選のモノだが、その強さは推して知るべしだの」


 ジャキガン学院は東京地区でひしめく強豪校と対戦していた。敗退しているとは言え並々ならぬ実力者揃いで下手な地方地区なら優勝してもおかしくないのがゴロゴロいた模様。

 その中で連覇を繰り返す本物の強豪校がジャキガン学院だ!



 ────決勝戦! マジンガと対峙し、身構える歴戦の猛者が一人!


 青い色調の軽装の細身。細い顔に細目で、エンピツの先っぽみたいな髪型をしている。エンピツの優男?

 ヨネ校長……いや監督によると、エンピツの優男は『ブンボーグ学院』のエースらしい。

 優勝候補とも言われている学院で実力は日本の中でも数える程だ。

 名前は『聞久(ブング)エンピ』で、鉛筆で模した鉛筆槍(ペンシルランス)を武器にする槍士(ランサー)だ。


「トッキンスラストッ!!」


 一直線と地面に飛沫を噴き上げながらエンピが鉛筆槍(ペンシルランス)を構えて突進する!

 しかしその音速すら超える刺突をマジンガは身を逸らしてかわし、その余波で後方の岩盤がめくれ上がった!

 エンピは「チッ!」と舌打ちし、大地を爆発させて引き返して再びの超強力な鉛筆槍(ペンシルランス)の刺突を繰り出し、ついに血飛沫を吹き上げた。

 決まったかと思われたが、マジンガは片手で血塗れながら鉛筆槍(ペンシルランス)をへし折っていた!


「フン! こんなもの得物で弾くまでもない!」

「ぬううッ!! ならばトッキンスラスト・空蝉(うつせみ)ッ!!」


 振り下ろされる大剣にも構わず槍の優男はへし折られた鉛筆槍(ペンシルランス)で片手で突き出し、同時にもう片方の手甲に隠された仕込みの鉛筆槍(ペンシルランス)でマジンガの片目を狙う!! 二条のダブル刺突が軌跡を描く!!

 しかし幾重に軌跡を描き、二つの槍ごとエンピの胴体が何枚下ろしにされた! 速い!


 いや! その大剣には刀身が消えていた────!? 一体どこへ!?


「フハハッ! 微温(ぬる)微温(ぬる)いわ!! 噂に名高いトッキン槍士(ランサー)はこんなものか!」

「く……!」


 未だ帯空中で上半身だけのエンピはギッと睨み、得物や下半身を失おうとも口をガパッと開き三本目の鉛筆槍(ペンシルランス)を超高速で飛ばす!! ズボオッ!!

「トッキンスラスト・零式(ゼロしき)ッ!!」

 それこそ奥の手! かわせない合間で口から繰り出す最速の不意打ち!

 やったと思ったら死の間際の手痛い反撃!!


暗黒化身(ダークネスアヴァター)!!」ビキン!


 なんとマジンガの肌が褐色に染まり、髪の毛が白髪になり、唐突に威圧が爆発的に増した!

 光速とも思わせられる無数の軌跡が縦横無尽に描かれ、エンピは細切れに斬り散らされ、爆散!

 無慈悲に圧倒的な瞬撃にオレはゾクッと寒気がしたぞ!


「サウザンド・エターナルプラズマ! 冥土で自慢するがいい!! フハハッ!」


 息を飲んだ。

 オレの流星進撃(メテオラン)なんて比べモンにならねぇ超高速の瞬撃……。大剣から刀身が消えて軌跡が無数を描いた? それに事前に出した変身?

 一気に肌が黒くなって髪が白くなって、急激に強くなっちまった!



「今回のメンバーはナッセ、ヤマミ、マイシ、コハク、モリッカで行く!」

「え? キャプテンは出なくていいのかぞ??」

「そうしたいのは山々だが、若いお前たちが出張る方がいい。それにノーヴェンの提案でもある」


 ノーヴェンの方へ一同の視線が集まる。彼はクイッとメガネを指で押し上げる。

 なんと戻ってきていた!?

 ……話によると尋問は終わり、不問になったそうだ。明確な殺意がなく、対象が指名手配の極悪人だった為である。

 しかし、ノーヴェン本人は思う所があるのか浮かない顔だ。


「ナッセとヤマミでマジンガと戦い、残りは足止めでいきまショウ! マイシがいればこちらに分がありマース!」


 珍しくマイシが突っかからないのも気になるなぁ……。

 普通なら自分こそマジンガと戦いたいって文句言いそうなのに、できれば言って欲しかった。

 それだけヤバいって事か……。


「マイシ、マジンガと戦いたいんじゃねぇか?」

「文句は言えないし! それに残りがオマケと思うなし! むしろこちらがヤバいし……」


 マジンガ以外のメンバーも強敵ってのが抜けてた。

 あっちもメンバー入れ替えながら勝ち抜いているみてーだし、油断ならないか。

 もうやぶれかぶれだぞ! やってやるしかねぇっ!!


 キャプテンのフクダリウスが手を差し伸ばし、オレたちもその手に重ねていく。そして!


「優勝校に勝って優勝するぞ────────ッ!!」

「「「おおおおおおおおおッ!!!!」」」


 ビリビリ気合を吠えて士気高揚盛り上げていった!

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