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メンチェレーフの葛藤

雨はいつか晴れるもの

「ま、マオ!」

「ん?」

クルッとこちらに振り返る。

その目は決心しており、私には止められそうにない。

「...気をつけてね?」

「あぁ」


そう言ってマオは大きい男の人について行き、バタンッと扉が閉まった。


「カク様の心配は分かりますが、ここはマオ様を信じて私達は他をあたりましょう?」

じっと扉の前で消えていったマオを思い、そこに突っ立っているとメンチェレーフさんは言った

「でも」

「彼は何気なくしていますが、そもそも魔道の力に目覚めていない者がガレオーク様の睨みで死なないというのはおかしな事です。」

そう言ってメンチェレーフちゃんはピンクの縦ロールを揺らす。

「ガレオーク様は魔道を極めた方なので並みの人なら姿を見るだけで卒倒し、精神が崩壊する可能性もあるんです。

睨まれでもしたらひとたまりもありませんのよ

はっきり申し上げますと生きているのが不思議なぐらいですわ!」

「...。」


予言の動物達が私達だとして...私達には元々持っていない力が今この体にあるんだとしたら

マオは...戦うことを躊躇していなかった

もし、国王の言う「大きな力」が「強い戦士」のことを指しているのなら

彼はためらわずに戦うんだろう...魔人軍と。

思わず震え腕に掴まろうとするが手が空をきり、腕の主はここにいないのだと

ここからは自分でやっていかなければならないのだと気づき、自分の腕にしがみつく

その様子を見ていたメンチェレーフさんがあなたは戦いたくないのですね?と優しく訊いてきた

その問いに迷うことなく頷く。

「...よろしければ、私のところの団にきますか?」

「ぇ?」

「何を隠そう私は長の一人、インストレント・メンチェレーフなのですわ。」

誇らしげに胸を張る

「私の団は基本戦争に参加いたしませんの、もしあなたが希望するならずっと裏方にいてもよろしくてよ」

戦わない団...?

「ぃ、いいんですか?」

「ええ、よろしくってよ」

「お、おねがいします!メンテレフさん!」

「メンチェレーフですわ...でも確かに言いづらいですわね。

さっきはつい怒ってしまいましたけどチェルでよろしくってよ」

「はい!お願いします、チェルさん!」

あなたが言うと悪くないですわねと笑って彼女のカンパニーへと連れて行ってくれた...。



「さぁ!着きましてよ!ここがわがカンパニーですわ!」

「...。」

さっきの暗い雰囲気のオールレさんの所と打って変わってファンタジーな見た目だ。

しかし、中には誰もいる様子ではない。

確かこの団は戦闘には行かないはず、一体何をする所なのか

「あ、あのチェルさ」

「さぁさぁ、入って下さいまし!紅茶を入れて差し上げますわ!」

ぐいぐいと押されて中に入る

中も外と似ており、心なしかお金持ちの家っぽい気がする

(...これって大理石じゃないかな)

床がつるつるぴかぴかしておりなんとも落ち着かないところだ。

「さぁ!何がお好みで?ローズヒップティー?それともアップルティー?最近ではウルエッセルなども流行っておりますわよ」

紅茶詳しくないけどウルエッセルって何!?そんなのあったっけ?

「あの」

「茶菓子も用意しておりますのよ、さぁさぁ遠慮なさらず」

「チェルさん!!」

バンッ!と鳴らす

「...なんですの?」

「...ここでは何をするんですか?何故誰もいないんですか?どうして、」

すぅと息を吸う

「そんな態度とるんですか?」

「...。」

チェルさんはうつむく

今思えばおかしいのだ

長というのは戦いのプロフェッショナルでそこを国王に認められ、与えられる称号なのだ。

戦わない、なんて明らかにおかしいだろう。


「...なさい」

「?すみません、聞こえなかったです」

そこでチェルさんがバッと顔を上げる

その顔には、その目には涙でいっぱいだった。

思わずぎょっとする

「ふっ...ごめんなさい...ひっぐ

...私、団員が欲しくて!...私、何も知らないあなた方ならって...、私!」

途切れ途切れの言葉は要するに

自分が親のおかげで戦闘面ではなく、財政面で長になったこと

当然、そんな自分には団員がおらず、一人寂しい思いをしていたこと

そんな時に自分達を知ったこと

...ということだ。

私を騙そうと思っていたけどそれも叶わず今に至る、ということらしい

利用しようとしたのはゆるせないけれどもこんなにぼろぼろ泣いている女の子を責めることができようか、いやできない。

と、いうか元の世界の嫁そっくりなんだよね

騙そうとしたのに一回強く言ったらダメになっちゃうところとかピンクのツインテールとか

うん、私、カクちゃんはチェルちゃんのことを責めれないです!攻めるのはできるけど!

なんて考えながらえっぐえっぐと胸元で泣いているチェルちゃんを慰める。

「ほんとぅ...ごめんなさい!」

「うん、大丈夫、大丈夫」

ポンポン頭を撫でる、ティアさんが私にしてくれたように。

少し落ち着いたのか、取り乱してすみませんと言ってくる。

いいよいいよ、むしろ大歓g、げふんげふん

うんー、でもどうしようかな

「そういや、チェルちゃんって実際どれくらい戦えるの?あ!言いたくなかったら言わなくてもいいよ」

「...いえ、構いませんわ

学校の戦闘の成績は上の中ですわ、しかしそれは学校の成績なので他の長たちと比べたら下の下だと思われますわ」

難関大学の受験みたい...

でも、この感じ、チェルちゃんのところだと私の力は覚醒できない気がする...。

財力があっても能力が身につくとは思えないし…。

「...もしもですが、カク様がマオ様と同様に力を持っているならガルク様の下に行くのをおススメしますわ

あのお方は人情が厚いですし、例え団員になれなくってもお助けしてくれると思いますわよ。」

そう言ってこちらに向き直る

「陥れようとした私が言うのもなんですが、大きな力を持っているのであれば強い人の下に付くべきですわ」

こちらを見つめる瞳は真剣そのもの。

「チェルさん...。」

「さぁ、早く出発してくださいまし

金の卵は良い調理師に任せるに限りますわ」

ぐいぐい押していく。

「...もう騙されないようにね」

そう言った彼女の顔は曇っていない、雨はもう降っていない_綺麗な虹がかかっていた。



彼女の助言通りにガルクさんのカンパニーへと向かう

すると...

「お願いします!ガルク様!私を団員にしてください!」

と、いう女性の声が。

隠れる必要はないのだがとっさに隠れてしまう。

「ふん..この団に入って何がしたい?何ができる?」

「えーっと...何もできないので入って見つけたいです!」

会社の面接で言っちゃダメなやつ言っちゃった~!!

自己アピールしなきゃ、お姉さん!

「おあいにくだけど、あたしはあんたが戦場でのたれ死ぬのを見届けるほどできた人間じゃないんだ

せめて自分を守れるようになってから来な」

うわ、かっけぇ...こういうのすらっと出るとか、すっげまじすっげ

あ、お姉さんしょんぼりしてる...てか、すんごい格好してるな、お姉さん

水着に透明なレースをひらひらつけて、足とか手首にも黒いひらひらつけて...なんか踊り子っぽい

うーん、なんかすっごい可哀想。

ちょっとつけてみようかな。つけるぐらいならいいでしょ、話しかけないんだし

そうしようそうしようと自分に納得させる


水色の彼女と一騒ぎした後ガルクはその彼女を追いかける少女を見た。

気配は感じとっていたが、一瞬どこにいるのか気づけなかった...気が抜けていたのか?

うーんと頭をひねる

疲れているのだろう。と自分に納得させてガルクは踵を返した。


(うーん、どうしよう。ついてきちゃったんだけど)

近くの川を見てたそがれているようだ。

彼女に目をやると先ほどの元気で活発そうな明るさはなりを潜めている。

声をかけるべきか、そっと立ち去るべきか悩んでいると

彼女が顔に手をあて泣き始めた

「っ!...ぁ、ああの、だぃじょうぶですわか?」

チェルちゃんの口調ウツッチャッター!

急に不審者から声をかけられてびっくりしたのか顔を上げる

...なんか泣き顔見てばっかりだなぁ!

「あ、あんの!き、きにしちゃだめっすわ!」

うわぁ、もうこっち見ないでぇ!カミッカミだからぁ!!

ポカンとした顔で見てくる

あ、目がエメラルドみたいなサファイアみたいな...綺麗な海みたい

「...綺麗」

「...へぇ?」

「あ」

傍から見れば見事変質者と被害者の図、完成である

カクちゃんの心情がアラブってらっしゃる、誰かおおさめして差し上げろ


ということで今回はカクちゃん視点がメインです

カクちゃんとマオくんの二次元嫁と夫はフワッとしか考えていないのに堂々と書いちゃって、この先大丈夫ですかね(・∀・;)

ちなみにこれ(カクとチェルやマオとカク)を恋愛要素みたく絡めるつもりはないです...けど。

なんか後々自分が絡めたくなるかもしれない(伏線)


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