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戦う理由

のろのろぱかぱかがらがらのろのろぱかぱかがらがら


「そろそろのようです」


ロバ車に揺すられること10分間、ようやっと着くようだ

...体力なくなってる俺が言うのもあれだけど、このスピードだったら歩いた方が速かったんじゃねぇのか?

ま、大方冷房系獣人のコクーラーさんの主人の見栄みたいなもんだろう

お貴族様特有の。

「それと、くれぐれも言っておきたいことがあるのですが

王宮内では何を言われても何をされても、絶対に失礼のないようお願いします。

特に国王の面前では」

顔色が悪いお化け界のレジェンド、ミスター・コクラーが般若のような顔をしているので頷くしか選択肢がなかった。

「言われなくても大丈夫ですよ」

大丈夫なんでその顔やめてください

...あれ、俺最近ホラー展開による被害多くない?

俺の言葉で納得したのか、俺の悟ってくれオーラで理解したのかは不明だが何はともあれ安心したようにため息を吐く。

...顔色悪いのは王の謁見で俺たちが何しでかすか分からないからか

思い当たる節があるので何もいえない―異性がボディタッチしたらそらそうなるよな

話し終えるのを待っていたかのように馬車の…違ったロバ車の扉が開く


王宮はそれはそれは美しい場所だ。

庭の木々は毎日綺麗に手入れされているのか形は皆一様であり、中庭や壁にある石像はまるで生きている人がそのまま石化したように精巧だ。

「服と同じでファンタジーものっぽいね」

カクがこそっとわきから囁いてくる。

カクが言っているように壁は石でできている様に感じられ、一番構造で近いのはゴシック建築かもしれない。

ただ、この世界特有なのか不思議な構造もあり明らかに物理的な力以外のもので支えられているだろう…と考えた。

中に入ると目を引くのは大きなシャンデリア、花型のランプから発せられている光がキラキラと辺りを照らしている。

よくよく見ると光を出しているランプは本物の花のようだ。

めしべの辺りから文字通り光が出ている。

まるでとある魔法学校に来た気分である。

きょろきょろと周りを見渡しているとコクラさんがわざとらしくんっんっと咳き込む。

そうだった、ここには観光できたんじゃないんだ。

後で謝ろうと考えた、その時だった。


「おぉ~おぉ~、またアイツ来やがったよ。」

「何か引き連れてないかい?人間みたいだけど。」

「アイツが連れてるってことはろくなヤツじゃないよ。」


聞こえてきたのは何も事情を知らない俺にでも分かる

明らかな『わるぐち』

フラッシュバックする元の世界

「ぉ「マオさん、王宮内ではお静かに。」...。」

怒りにまかせて言いそうになる言葉をコクラさんがこちらを睨み、遮る。


コクラさんの顔色が...コクラさんが王宮へ行きたくなかった理由は...。

「...では、行きますよ」

後ろでまだぐちゃぐちゃ言っているヤツらを背に進んでいく彼の苦労を、怒りを、神経を触れることは俺には...出来なかった...。


角を曲がって、人通りが少なくなった廊下に出ると彼はこちらに向かって急に頭を下げた

「...すみません、マオさん。非礼を許してください」

「そんな、あんたは俺に忠告したし、なにより…俺は、勝手にあんたの今までの努力を壊すところだったんだろ...?」

「...。」

忠告で言っていたのだ

『王宮内では何を言われても何をされても、絶対に失礼のないようお願いします。』と

彼は今まで王宮内で言われたことがあるからこそきっとこう言ったのだ。

「...それでも」

「?」

「僕は嬉しかったです。

その気持ちが。」

「...。」

「君達はこの世界の常識を知らないからそう言える...それが分かっていたとしても嬉しかった...ありがとう。」

「...だったら、頭上げてくれよ。コクラには非がないんだし。

勝手に俺がしたいようにしただけだし。てか、そういうの性に合わないし」

「!は、はい」

うっすら目に涙の膜が張ってあり、彼がどれだけアレに耐えてきたか分かる

...てかそんなに見られたら照れるんだが。

あれ、よく考えたら俺むっちゃ恥ずかしいことしてね?

「..マオはいっつもこんな感じだよ」

「ようやっと喋ったと思ったら何を言ってるんだ」

「マオちゃんってばぁ、ツンデレすぎぃよぉん」

無茶苦茶うざい喋りをしているのでほっぺたをみゅんみゅん伸ばす刑を執行した

効果はいまひとつのようだ...てか、コクラやろうも何笑ってるんだ!え!

てか、フフって笑い方俺初めて聞いたよ!なんだ、その笑い方!大人ぶってんじゃねぇぞ

「ありがとうございます、お二人方。元気出てきました」

どうやらコクラは俺らが即興漫才したと思っているらしい。

...コクラがカクの素面だと知ったら仰天するだろうな

まだ何も言わなくていいな、そっちの方が面白そうだし

「それではここからは警備もいますので、おしゃべり厳禁ですよ」


その後何事もなく一つの扉の前へとたどり着く

今まで見てきた扉の中でも一際大きい。

この中に玉座があり、そこに座っているのが...。

無意識にごくりと喉が鳴り、腕が震えているのも感じる。

安心させようと重ねる手も震えそうだ。

コクラさんが合図を送り、扉がギィィィッと開かれる。

その奥には...

「ぇ」

名状しがたいものがいた。


胴や腕、下半身は鎧が包まれており、唯一鎧に囲まれていない頭部分は火の玉が燃え盛っている。

色は赤、青、黄、緑、紫とゆっくりと変わっている。

鎧の隙間から微かに頭部の火の玉と同じ色が漏れ出しており、鎧の中も火で包まれているのだろうと想像できる。

また、火の玉にはさらりと白と黒の糸がそれぞれ左右にツインテールのようについている。

今の段階で確かに言えるのは、コイツが人間ではないということだろう。

俺達が王の風貌に驚いている間にコクラさんは国王に礼儀を払い、俺達はここの風習を知らないのだと国王に非礼を詫びた。

「ふム、つまり君田ちが召喚され志者...祖うだね?」

ところどころ聞き取りづらいが分からないことはない。

が、俺達が召喚されたという事実は分からない。

コクラさんの方にアイコンタクトを送る。

小さく頷く彼に倣い、俺たちもそうだと大きく頷いてみせる。

「...実は貴殿らがこ湖へ来る前似予言を神より授けらレてね」

王は続ける

「盾の大猩猩ト槍の梟が異次元よ李現われ我ら弐大き菜力を授ける出あろうと...。」

「大猩猩と梟、ど知らの獣も賢者を示す。粉れすな輪ち、二人の賢者が我らに大伊なる力を授け瑠ことを意味巣る。」

「..王様、発言をする権利を頂いてもよろしいでしょうか。」

カクが体を後ろに隠しながら恐れ知らずにも提案をする

「世いぞ」

「ありがとうございます

それでですが、王は私たちが賢者だと言いたいのでしょうが、私たちはなんの能力も持っておりません」

「不む?」

「私たちは昨晩何か能力がないか色々試しました。

力をこめたり、念じてみたり、呪文らしい呪文を唱えたり...しかし何も怒りませんでした。」

カクの言う通りだ。

もしも国に大きな富でも与えるような大賢者様だというなら、飛ぶことも出来ない、火を放つことも出来ない...なんてのはおかしいだろう

これには相手も想定外だったらしく少し思案しているようだった。

ぼそぼそと何かつぶやいたかと思うと

こちらに顔を向けた

「なら場、目覚め差せる間でだ。貴殿ら野様子だと力賀目覚めて尾らんのだ。」

?どういうことだ

「では、どうすれば目覚めるのですか?」

「我羅が誇る戦闘部隊の頂点Ⅱ君臨する者達...長の団員都なる蛾いい」

...。

「長?」

「優秀な喪のもたく参いる、そこデ力を身につけ賢者と名乗る二相応しい力を覚醒させる乃だ。」

...さっきから聞いてりゃ勝手なことばっか言って

「それに俺達が付き合う義理があるのか?」

ピリッと空気が変わるのを感じる、ひそかに金属音が聞こえる

「ん?」

「っ!マオさん!」

「そちら側のメリットは分かった、だが俺達が覚醒させて得られるメリットは?」

王は押し黙る

さっき霧散できなかった怒りが体の中に残っているようだ。

コクラがもう片方の腕をつかみ止めとしてくるが、俺の口は止まらない

「大体さっきから我らの富だのなんだの...自己本位すぎないか?

王がそんなんだからここで働いているヤツらも人を悪く言うようになるんじゃないのか?ん!?」

その言葉に引っ張る腕の力は強くなり、止めてくる声は涙ぐんでくる。

小さく気にしてないですからお止めくださいとも言っているようだ。

俺が殺されないように必死になるコイツがどれだけ今まで傷つけられたか知らないんだろうな!


やった(虐めた)側は


ギッと目の前でスカしたヤツを睨みつけてやる。

「一つ御話し隊のだが」

「?」

「古来由り伝説の勇者は繁栄を齎してから謎の光に包稀消えていっ田とどの文献にも記され手いる。」

「!…つまり、覚醒させて力を与えれば、俺達も帰れるかもしれないってことか?」

「そう陀、更に言えば貴殿らヲ召喚し太男は召喚士なだ毛。元の世界に戻せる価分からん」

なるほど、王は王なりにこちらのメリットを考えていたのか


そして、これは王の賭け…だな

召喚士が元の世界へ戻せないという可能性があるのであれば、俺たちは王が受け取った予言の通りに動き、昔の勇者のような偉業を成し遂げるしかない…ってことだろう

まだ意識の戻らぬコクラの主人か王、どちらか

だが、そもそも俺たちがその勇者とやらであるかには疑問だし、帰れるという確証がない...それに俺は帰れなくてもいい


だが、


チラッと後ろを見る。

カクは違うのだろう。

早く元の世界に帰りたいはずだ...。

一人じゃダメだろうから、俺と一緒に。

「...先程の無礼をお許しください。」

凍りついた空気が溶けていくのを感じる

「分かりました。その話受けましょう。

ただし、入る団は自分で決めてもいいですか

自分の命を預けるところなんで他人には任せられないです」

「良いダロう」

ひとまず和解したので腕の圧力が減った



「馬鹿」

「いて!」

あの後、俺たちは王と契約し、明日から長に会うこととなった

そして王宮から出て急にコクラが殴ってきた←[今ここ!]

「こちらが寿命縮まるようなことはしないでください...。」

怒る理由も大体分かっていたし、それだけ俺がやらかしたことも分かっていたので素直に説教をくらう。しかし

「それ言ったらカクもだろ」

「え、私?」

「お前だってあんなラスボスみたいな王様に質問いいっすか~って...どこのギャルだよ!」

「それ、マオパイセンに言われたくないっす~~」

「あなた方二人ともバッテンです!!」

「「はぁ~い」」

気の抜けた俺達の返事に呆れたように笑う。

それを見て二カッとカクが笑うもんだからつい俺も貰い笑いしてしまう。

あんなにも怖い目にあったはずなのに三人は笑っていた。

いや、怖い目に合った後だからこそ笑ってしまうのかもしれない

仲間と悪いことして親に叱られて、解放された後って無性に笑いたくなるよね


ということで、ここまで見ていただきありがとうございます

サブタイトルの戦う理由は作中で名前をいじりにいじっている相手、コクラのためにマオが戦う理由

そしてカクのために戦おうとするマオを色濃く書いたんでこうしました

次回からマオ視点だけでなく、なななんとカクちゃん視点も入ります!

視点によって感情も考えも変わるのでうまく出来るか分かりませんが出来る限りガンバリタイデス

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