ミユ⑩
ミユ⑩
トクちゃんについて色々わかってきた。
1日20万のお小遣いを貰えるらしい。
しかも毎日。
つまり月の上限金額は600万円。
あと親が大阪で有名な遊郭を経営しているらしい。
つ、つよすぎる。
本人から聞いたんではなく、噂で聞いたので本当かどうかまではわからない。
ミユが来店するペースが少なくなってきた。
ミユと俺二人きりの時間も多いがミユはそんなに喋る方ではなく、俺も喋りがうまくない。
沈黙の時間も多くなってきてしまっていた。
ただ、どうしていいかもわからなかった。
つまんないと思ってるやろうなと思いつつなに喋ればいいかわからなかった。
そんな時にやらかしてしまった。
ことの発端は同期の１人が辞めることだった。
これで 7人程いた同期はユーダイとシオンだけになってしまった。
まあそんなことはいいとして、その同期の辞めるイベントを店でやることになった。
売れてない奴の卒業イベントなのでそんな忙しくもなかった。
そいつ自体の客も１人もいなかった。
ただ俺はその日一応同期ということでけっこう使われ、飲まされていた。
ミユも来ていた。
最近うまくいってない感じだったのでこれを打破するためにもミユをご飯に誘った。
「終わってからご飯いこ」
「いこいこ！」
即答だった。
ここで流れを良くしたいなと思っていた。
その後も営業は続き、いろいろな席のヘルプをして回った。
そしてだいぶ酔っぱらっていた。
そして同期がラストソングを歌ってその日の営業は終わった。
(ラストソングは通常はその日の一番売上があるホストが歌えるのだが、イベントの時はそのイベントの主役が歌う)
営業が終わってから皆でわちゃわちゃしていた。
皆けっこう酔っていた。
その場のノリでカナデさんが
「おしゃ今日は送別会やーーー！皆で飲みにいくぞーーーー！」
「おーーーー！」
皆で飲みに行くことになった。
俺も行こうとした。
「あ、ミユとのアフターあるやん。まあでもいっか。」
ミユに
「ごめん同期の送別会してくる」
とだけLINEした。
酔ってた。
そのまま俺らは居酒屋で飲んでからキャバクラにいった。
だいぶベロベロになって寮に戻った。
スマホを見たらミユから返信がきてなかった。
既読だけがついていた。
まあいいや寝よう。
そこで寝た。
次の日もその次の日もLINEはこなかった。
今までこんなことなかった。
LINEを送ってみたが既読つくだけで返信はこない。
なんでやと思いカナデさんに聞いてみた。
「自分から誘ったアフターをブッチしたんやろ？ミユちゃんだいぶがっかりしたと思うで」
そこからなにをLINEしても既読だけだった。
二度とミユは来なかった。
