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ダンジョンマスター、アイドル始めました  作者: 山崎世界
第三章:令嬢アイドル反逆編
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奇跡の始まり

 一夜にして築かれる特大ステージ。


 何事かと集まってきた人だかりを前に、全くおじけづくこともなく姿を現し、拡声器マイクの力も必要なく、声を張り上げるはこの世界にアイドルを広めようと異世界召喚までやらかすダンジョンマスターの一人、ディーヴェルシア・コンキスティドール。


「みんな、待たせたわね。わらわがアイドルよ。今日は奇跡を見せてあげるわ」


 暗闇の地下ダンジョンから、光差すライブステージへ。まるで当然のように喝采を待つ。


「うるせーひっこめー! おめえダンジョンで見たぞ! こんなとこまで何をしに来たー!」


「むきー!」


 しかし待っていたのは野次である。ちなみにこれは仕込みだ。一旦ヘイトを解放してしまったほうが後でバレるより面倒が少ないと傭兵団提案で。


 伝えておいたはずなんだが小物感満載で反応してるのはご愛嬌というべきか。


「皆さん」


 にわかに騒ぎ出した群衆たちの声がやむ。


 現れたのはニナ・セイクリッド。


「色々と皆さんが思うところはあるでしょうが、今日はすべてを忘れて、わたしたちの歌と踊りを見て、すこしでも癒されてくだされば幸いです」


「うぉお! ニナ様キタァアアアアアアア!!」


 あれ? これは仕込みじゃないはずだな。


「何なの! 何なのこの差! わらわが先駆者のはずなのに! 先輩なのに」


 そういうとこだぞ。


「まあでもいいわ。今日は奇跡を見せてあげるって約束したしね」


 突如としてディーヴェルシアはニナの手を握り、一緒に掲げる。


「は? ディーヴェルシアさん? 打合せとちが……ッ」


 慌てて口を押えるニナ。ああもう無茶苦茶だよ!


 グッジョブだ! このライブ感。ここでしか味わえない特別感を、ライブに向かうファンは求めている! お前ならやらかしてくれると思ってた!


「おのれディーベルシア・コンキスティドールゥ! ニナ様の手をォおおお!!!」


 そこにクリスが派手に魔法を飛ばしながら登場する。


 派手な爆炎が飛び、しかし怪我一つないのでああ演出かと取られてる……よね?


 そしてヘルさんとトリッシュも予定を前倒しして、同じステージに現れる。


「ふふ、あらあら。相変わらず優雅さが足りませんね」


「ヘル様ぁあああああ!!!」


 んー、ヘルさんのファン層って少しヤバい気もする。考えておくべきかな? まあ万が一とかないけど。


「ああもうメチャクチャだよ!」

「トリッシュー! 頑張れー!」

「ギャーー!!」


 ステージの惨状と身内からの応援に身もだえするトリッシュである。


 段取りは色々と狂ったが予定に変更はない。ディーヴェルシアたちとニナたちの合同特別ユニットでのライブ。それが今回のもう一つの目玉である。


「ディーヴェルシア・コンキスティドール。今回こそ決着をつけてあげます」


「望むところよ!」


 ニナが剣を取り、裏方のゴブリン部隊による音楽が鳴り始める。


 歌声とダンスに剣戟が交わり、勇者とダンジョンマスターたちがステージ上で巧みに絡み合い、その迫力に息を呑む。


 いや、割とマジでヤりに来てませんお二人とも? 大丈夫? と思わずプロデューサーも心配になるほどである。


「頑張れー! ニナ様ー!」


「お嬢ちゃんも負けるなー」


 そしてここでも傭兵団の面々が、楽しみ方ってやつを教えるのだ。それに乗せられて観客のボルテージもヒートアップしていく。


 あれ? これヒーローショーになってない? と思ったがまあ怪人役がやられなきゃオチはつかんし大丈夫だろう。多分。いやきっと。


 そしてヘルさんに、ディーヴェルシア。ニナ、トリッシュ、クリスが向かい合うようにして静止し、音楽も鳴り止む。歌の終わりだ。


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


 パチパチパチ。拍手と歓声が会場を震わす。うん、とりあえずは成功だ。


「みんな、わらわの出番が終わったからって帰ったら許さないんだからね。アイドルの出番が終わって最前列のお客さんが帰るM〇テのミュージシャンの気持ちも考えてあげて。チャンネルはそのまま!」


 異世界人に分からないネタ止めろ。


 そしてニナたちはそのまま派手なジャンプでステージを降りる。そしてわきで待機していた俺にハイタッチして、俺は観客に聞こえないように労う。そして、隣で立っているレベッカにも。


「場は完璧に温めてあげたわ。わらわが前座なんて、こんなサービス、滅多にしないんだからね」

 ディーヴェルシア。


「レベッカさんならきっとできます。隆斗さんもついています。だから、大丈夫です」

 ヘルさん。


「ま、いざとなったらうちのみんなが駆け落ちでもなんでも協力するからさ」

 トリッシュ。


「胸を張りなさい。それが高貴なる者の務めですわ」

 クリス。


「レベッカさん……今日は叶いませんでしたが、いつか一緒にステージに立ちましょう。楽しいこといっぱい、夢見ましょう。そんな未来のために、頑張ってください」

 ニナ。


 レベッカは、仮面を被る。


「おーっほっほっほ! ワタクシが怖気づく? そんなつまらないことをするとお思い? 一緒になさらないでくださいな」


 彼女のあこがれた悪役令嬢は


「……ありがとうございます皆さん。ワタクシは、大丈夫ですわ」


 今、レベッカ・シャイナンダークと重なる。

 



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