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ダンジョンマスター、アイドル始めました  作者: 山崎世界
第一章:ダンジョンマスターアイドル始めました
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武器商人レベッカ

新キャラ登場

「はいというわけで第一回、ダンジョンアイドルオーディションを始めたいと思う」


 わーぱちぱち、と一応拍手してみたが我ながらテンション今一つ上がらないな。


「つうわけでさゴブゾウ、ヘルさん。このダンジョンで心当たりを探したいと思うんだ。ディーヴェルシア以外で」


「ディーヴェルシア様じゃあダメだってのか」


「んーそうだな。この際、アイドルとしてどうとかそういうのを考えるのは後にしよう」


「では一体何を……?」


「例えばだけど、麻痺とか石化とかさ。そういうので動きを封じてからパフォーマンスに移ったりした方がいいと思うんだ。無理矢理拘束ってのは抜きで。そしたらまあ、多少はマシなんじゃねえかと」


「それはそれで穏便じゃあねえと思うんだが」


 分かってるけどさ。でも、アイドルを受け入れる土壌をまず作らなきゃ話にならない。そしてそれはディーヴェルシアじゃ難しいってことだけは確かだろう。


「まあディーヴェルシア様はそういう小細工とかからっきしだからな。力加減が出来ねえっつうか生半可な冒険者だと反射で殺しちまうレベルだし」


 そうか……ゴブゾウのアレってディーヴェルシアに危害を加えられないようにじゃあなく、むしろ冒険者側が滅多なことをしないように庇ってたのか。


 そう考えると同情の余地は…………やっぱあれはねえな。


「とにかく、だ。ディーヴェルシア以外にアイドル向きの奴がいるかもしれないからそれを発掘するために足で稼ぎたいんだ」


「そうだな、そうしてジタバタ足掻いてりゃあ光明が降って湧いて出るってこともあろうわな」


 ゴブゾウもうんうんと頷く。


「それでしたらそうですね……まずはラミアの方々に会いに行ってみましょうか」

 

※※※


 それから。色々と回ってみたんだが今ひとつピンとこない。


 ディーヴェルシアを差し置いてアイドル活動に勤しむというのが大体に気が引ける。アイドルにそもそも興味がない、というのが大半だ。


「んー、でもさ。いずれは魔物娘たちにもアイドル活動に乗ってもらいたいんだよな。やっぱり人間社会じゃ満たしきれない需要ってのはあると思うんだ。そういうのに応えていければこのダンジョンしかない! って商機に繋がるんじゃあねえかな」


「くっははは! 何だそりゃ。アイドルってえのは随分と業が深いんだな」


 ゴブゾウは腹を抱えて笑った。


「あら中々面白そうなお話をしていますのね」


 ゴブゾウとヘルさんと一緒に話をしていた中、声を掛けてきたのは……薄暗い迷宮に似つかわしくない金色の髪をたなびかせ、これまた似つかわしくない派手な装飾の付いた紅いドレスを着たご令嬢だった。


 うん? 角とか尻尾とか見当たらない……。


「これはレベッカ様。お越しだったのですか」


 ヘルさんが腰を上げて丁寧に頭を下げ、応対する。


「そんなに畏まらないでよろしいですわヘルさん……ところで」


 レベッカ、と呼ばれた令嬢は俺にズズッと近づいて、怪訝そうに見つめながら言う。


「あなた……人間、ですわね。何故この迷宮に?」


「そういうアンタも、人間か」


「あら」


 おっと反射的に尋ねてしまったが、やや乱暴な言葉遣いだっただろうか。


 ヘルさんも気を遣うほどの人物に対して、礼を欠きすぎたか。


「構いませんわ。少々新鮮、ですし。よしとしましょう。改めて初めまして、ワタクシはレベッカ・シャイナンダーク。シャイナンダーク商会の人間として、このダンジョンと取引をさせていただいておりますわ」


「……取引? いや、待ってくれ。あんたまさか、魔族側に寝返っているのか?」


「寝返っているというわけではありませんわね。元々商人にとって、正義も悪も距離を取るのが正しい在り方というもの。その決着の末にどうなろうと構わないくらいのパイプは結んでおきませんと、ね?」


「ちなみに売り物は」


「主に武器や装飾品でしょうか。職人たちに作らせた手遊び品や失敗作など、店頭に置けない品々を卸しているのです」


 武器商人か……。


「そういう次第ですから私は普段からこの迷宮へはフリーパスで商談を行う許可を得て出歩いているのですが、あなたは一体……?」


「確か商機、と仰っていましたかしら。ふふ、このダンジョンで何か面白い儲け話でもあるのなら、ぜひ教えていただきたいものですわね」


 さて、武器商人であるレベッカ。


 ディーヴェルシアとどの程度の付き合いがあるのかは分からないが、果たしてこの地のダンジョンマスターがその戦いの矛を収めようとしていると知ればどう動くだろうか。


 ここは――


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