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ダンジョンマスター、アイドル始めました  作者: 山崎世界
第三章:令嬢アイドル反逆編
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敵に回すと一番面倒な相手

 たとえ手の届かない存在であっても、それに手が届く何者かの存在がいるんだというのは目にしたくないもの。アイドルは恋愛禁止、とかく清純なイメージを求められるもの。順当にファンに交際を公表し結婚へと至るのであればまだダメージも少なかろうが、政略結婚なんてしようさせられようもんならファンたち一丸となってそんなもん阻止しよう、という動きが起きても何らおかしくはない。


 実行にあたって多少の扇動も考えるが、一番はレベッカが築き上げたファンたちの思いをぶつけることにある。レベッカの夢を阻害するなら、何を敵に回すことになるのかを知らしめるのだ。


「レベッカ、これにはお前の正体をばらさなくっちゃ成立しない……いいか?」


 レベッカが色々考えて仮面アイドルとして活動したのは知ってるし、俺のほうから半ば持ち掛けた経緯もあるのでこうした方策をとるには同意を得るべきだろうと考える。


「はい。プロデューサー様。元より今回ご迷惑をおかけしたのはワタクシですわ。文句などあろうはずもありませんわ。よろしくお願いします」


 レベッカは神妙に頭を下げた。


「ニナたちにはアイドル、レベッカ・シャイナンダークを支持する旗頭になってもらいたい。同じアイドルとして、また彼女を敬愛するファンとして」


 何しろ勇者なのだ。これ以上の味方もいないだろう。


「はい。もちろんです。レベッカさんの力になれるなら」


「で、おっちゃん。どうだ? いけそうだろうか」


 最後におっちゃんに確認を取りたい。幾多の戦場を渡り歩いたその経験で、判断を委ねて修正すべき点は修正していきたい。


「そうだね。個人的にはちょいとばかり思うところがないわけじゃないが、まあいいんじゃないかな概ね」


「何だ個人的に思うところって」


 不安なんだが。


「まあそれはアレだ……お前さんたち苦労しそうだなーって」


 と、同情の目を……ニナやレベッカに向ける。ニナたちもハハハと乾いた笑いを浮かべる。何なんだ一体。


「まー別にいいだろ。どうせそこまで困るようなことにはならんさ。今はな」


 おっちゃんの意味深な発言は気になるが、今はいいか。今、問題なのはレベッカだ。


 レベッカのアイドル正体暴露も、よほどのインパクトが欲しい。だから大規模なライブを考えている。できることならおっちゃんの力も借りたいと思うのだが。


「そうだね……一つアイディアを付け加えるのなら、だ」


 おっちゃんは首を捻って、考えを述べ始める。


「これはこの世界でのアイドル全体での問題でもある。なら、発表の際にいっそのこと他も巻き込んじまうってのはどうかね?」


「ニナたちも合同でライブをするってことか?」


「それでもいいんだが、もう少し踏み込んでもいい。お前さんが普段から面倒見てるダンジョンのアイドルたちも誘ってみるのはどうかね」


 ディーヴェルシアたちも?


「ダンジョンに引きこもってるだけじゃあジリ貧ってのが、レベッカお嬢さんを巻き込んだ理由でもあったんだろう? ならちょうどいいじゃねえか」


「いや、それは……」


 問題ありすぎだろう、色々と。


 真っ先に浮かんだのはそれだが、その所感はすぐに塗り替えられる。


(面白そうだ……)


 残ったのは期待。プロデューサーとしての本能というべき熱である。



「しかしこうなってくるとますます自分の力だけでって意味は薄れる。お嬢さんがそれでいいならって条件が……」


「いいに決まっていますわ!」


「お、おう……」


 レベッカが立ち上がり、おっちゃんの言葉を遮る。


「先ほども申しましたが、やり方に注目を着けられる立場では……いえ。正直に申しましょうか、いいではありませんか、この世界のアイドルが一堂に会する舞台! そこに生まれる商機、ワタクシの商人としての血が、うずきます」


 キラキラと目を輝かせ、レベッカは笑う。


 その目を見て、思う。レベッカ・シャイナンダーク。アイドルとして、商人として。その輝きを決して失わせてはならないと。


「そういうことならおっちゃんにも協力してもらおっかな。色々人出はいることだしさ」


「構わんさ。おっちゃんも他人事でないしね。ダンジョンの方での口利きは頼んだよ」


 さて、これから忙しくなるな。

 

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