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プロローグ:令嬢、家出する
色々ありはしたものの大して変化もなくディーヴェルシアとヘルさんのプロデュースに明け暮れている日々を過ごしていたある日のこと、それは唐突に思いもよらぬ方向から飛んできた。
レベッカ・シャイナンダークである。
「どうしたんだレベッカ。今日はやけに大荷物だな」
俺はレベッカの鬼気迫る表情にも気づかず、軽口にそう尋ねた。
弁解させてもらいたいのだが俺はレベッカを信じていたのだ。突然突拍子もない衝動に駆られて奇行に走るようないい性格はしていないし、計算高いので自分からメンタルを削るような自殺行為にも走らない。
だから、この後の展開はちょいと予想がつかなかった。
「ワタクシ、家出してきましたの」
「は!? 家出!?」
「というわけでしばらくお世話になりたいのですがどうでしょうか!」
どうでしょうかと言われても……とりあえず責任者に連絡してみます。
はてさてどうなることやら。




