いつかあなたを一番のファンに
「ふぅ……やっと解放されたね」
「まあ当然ですわね。ニナ様の魅力に跪くのがこの世の真理ですもの」
ニナたちは町中の人間を巻き込んだお祭り騒ぎの中心からやっと解放されたようで、疲れた様子ながらも、その顔には笑顔が浮かんでいた。
「よぉ、お疲れさんだなお嬢さん方……あーまあ、こういうことはあんまり言いたくないんだが」
「今回わたしたちが勝てたのは、有利な条件が重なったに過ぎません。再び、あのダンジョンでダンジョンマスターであるあのディーヴェルシアを打ち倒した時、それが本当のリベンジです」
「……分かってるならいいさね」
「じゃあこれからもよろしくね、プロデューサー」
「……そのことなんですが」
トリッシュとクリスが笑みを向ける中、ニナは真剣な面持ちで俺を見つめる。そして覚悟を決めるように一つ頷き、告げる。
「リュートさん。リュートさんはダンジョンに帰ってください」
「「「な!?」」」
俺たちは驚いてニナを間抜けに見つめていた。
唯一、おっちゃんだけはなるほどと感心したようにうなずいていた。
「何を仰っていますのニナ様」
「そーだよ。これからじゃんか」
「だからです。わたしたちは、ようやく自分たちの足で歩きだすことが出来ました。だから、しばらく自分たちだけでやっていく時間が必要だと思うんです」
クリスとトリッシュにも相談せず、ニナは自分の意思を定めた。
けどそれは仲間たちを蔑ろにしてるわけでもなければ今までのように頼れなかったわけでもない。きっと、自分と同じ考えを抱いてくれると、そう信頼したから。だから……この三人は大丈夫なんだ。
「それに……リュートさんの居場所は、やっぱりここじゃないんですよね? 少なくとも、今は」
「……すまん」
「いえ」
きっと、ニナたちに縋られれば、俺は断ることなんて出来ない。それが分かっているからこそ、ニナは俺に別れを告げることを選んだ。
「それじゃあ……そうだな」
「もう行くの?」
どうせ荷物も少ないしな……それに、これ以上長くいると限界っぽい。色々なものが。
「リュートさん!」
背中にニナの声がかかる。振り返って、最後に向き合った。
「その、また会いにきてください。いつでも」
「ああ、それはよかった」
けじめとして会わないとか言われたらどうしようかと思った。
「それで、いつか……いつか、わたしたちがリュートさんの居場所になりますから……」
ニナは一度俯いて、ガバッと顔を上げた。
「ぜったいプロデューサーを一番のファンにしちゃうんだからね☆」
ウィンクをして、手でハートを作ってポーズを決めてとびきりの笑顔を浮かべた。
「……………………何か仰って下さい」
すまん、ちょっと、心臓止まってた。




