リベンジ
「来たわね!」
ディーヴェルシア・コンキスティドール。わたしたちが初めて敗北した、ダンジョンマスター。
「その格好。ふーん、あなたたちもアイドルを始めようとしてるみたいね。でもわらわの方が先だからね。この世界で一番最初に始めたのわらわだからね。そこら辺はちゃんと敬わなきゃダメだからね」
改めて相対して見ると……何だかすごい小物感があります。
この前お会いしたアイドルの方は尊敬できる方だと思ったのですがこの方に関しては……まあ、敵ですからそっちの方が正しい在り方と言えばそうなのですが。
「ふふふ……私も、今日は何だか久しぶりに凶暴な気分なんです……よくも……よくもよくもよくもよくも」
「いや、ヘル、ちょっと落ち着いて。落ち着いてくださいお願いします」
そしてディーヴェルシアだけではなくもう一人……何だか尋常ならざる黒いオーラを放った綺麗な女性までいました。
純粋に戦力として考えれば、正直に言えば不安が残るところです。
ですが……少しも負ける気がしません。
『いいね。パーティってのはだな。『こいつらさえいれば世界を敵に回したってどうにかなる』ってな無敵感が何よりも重要だ。最初に見た時はどうなることかと思ってたが、何だ。こんなに立派なパーティになるたあ思わなかったよ正直……頑張んな、お嬢さんたち』
わたしは、ずっと不安でした。そのせいで周りでわたしを支えてくれていた存在にも気づかずにいました。
トリッシュさん、クリスさん。二人がいてくだされば、わたしはもう負ける気がしません。
「ゆうしゃさまー! がんばえー」
周りから歓声が聞こえてきます。もう、その声に、視線に怯えることなんてありません。緊張していたのが嘘みたいに。
わたしがそうなれたのは、きっと……。
「ふふ」
力が溢れてくる…………これは?
「トリッシュさん、クリスさん」
二人の手を取って、一緒に前に進みます。
「~~♪」
歌を高らかに上げると、そこから力がわたしの元に集まって来るのを感じます。これは、勇者を求める人々の希望。
そう、だったんですね。これが、勇者の本当の力……。
「ちょ、何!? 何か光ってるんだけど」
「これは、まさかディーヴェルシア様と同じ……」
「はぁ!!」
剣を振りかざし、光が辺りを包み込みます。
「ぎょわああああ!!!」
ディーヴェルシアの断末魔。
「ふ……やるじゃない」
しかし、まだディーヴェルシアは立っています……ボロボロですが。
「ディーヴェルシア様……もう」
「くっ、仕方ないわね……これで勝ったと思うなよぉおおお!!」
そのままディーヴェルシアが走り去っていって、数瞬、呆気にとられますが、勝利したんだ、と実感を得ていって。
「うぉおおおお!!」
湧き上がる歓声。人々がわたしたちを囲って祝福してくれたのでした。




