表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスター、アイドル始めました  作者: 山崎世界
第二章:勇者パーティアイドル始めます
49/74

勇者とアイドル

 というわけで開けて翌日。


「それで、アイドルというのは一体、何を為せばいいのです?」


「えっと、アレだね! バーンてなってグーってなってボインボインだよ」


 クリスの問いかけにトリッシュが意気揚々と答えるが要領を得ない。


 というかボインボインは止めなさい。ますます酒びたりになる元ダンジョンマスターがいるんですよ。


「お前、そんな状況説明ヘタだったのか? スカウトの仕事にも支障来すから一度、傭兵団のアジトで研修うけてこい」


「げぇ……」


「というわけでプロデューサー、頼んだぞ」


 それじゃあ気を取り直して。


「んー……まあ、あれだな。アイドルとしてとりあえず必要不可欠と言えるのは歌と踊りだな」


「うたとおどり……」


 おっとぉ。ここでガクブルと身体を震わせる人間がいた。


 ニナである。


「わたし歌と踊りなんて村の収穫祭の時で一度しかやってません」


 何だその牧歌的な過去。


「知らないんですの? ニナ様のご実家は……のどかな農村ですのよ。そこでニナ様は勇者の資質に目覚め、旅に出たのです」


 ちょっと言葉選んだだろクリス。


「何かアイドルみたいだな……」


 思わずつぶやいてしまった。何かこう、シンデレラストーリー的な。


「本当ですか? わたし、アイドルっぽいんですか?」


「当然ですわ! ニナ様であればアイドルとしてすでに成功治めていても全くおかしくありません……アイドルが何かは分かりませんが」


「おう、一応言っとくがまだ始まってもねえ内から調子に乗ってる指揮官が戦に勝った試しはねえから気を付けとけよ」


 いいこと言うおっちゃん。今俺もそれ言おうとしてた。


「と、いうわけでそれぞれ個人の資質を見ていきたいと思う。各々、踊りと歌を適当に披露していってもらいたい」


※※※


 宿屋から公園へと移り、おっちゃんがどこからか持ってきた椅子とテーブルに座っておっちゃんと俺が並んで座ってオーディションよろしく勇者パーティを待つ。


 というわけでまずトリッシュから。


「~~♪~~♪~~♪」


 スカウトの経験から踊りにキレがある。音程もそこそこ取れてる。


「が、そこそこだな。踊り手としても歌い手としても半端だ」


 おっちゃんの評価である。身内びいきはせず、肥えた目でこの世界における価値観として的確なのだろう。


 だが、俺の判断は違う。


「アイドルっていうのはそこまで完成されたパフォーマンスを見せる必要はないんだ。元気に、のびのびとしたダンスと歌は実に小気味いい。むしろアイドル向きといえる」


「ふむ、なるほど。そういうもんか」


「えへへ~……何だよぉそんな誉めなくても」


「まあでも精進が必要ってのは同意見。下手なままでいいって姿勢は割と伝わる。上達するために努力を欠かさない姿勢ってのが人の目を惹きつける」


「ぐぅ」


 さて、次はクリス・ブリリアントである。魔法使いの尖がり帽子を取り、装飾が少なく動きやすい、しかし決して上品さを失ってはいない水色のドレスを着て気合を窺える。


「この程度は貴族として当然の心構えですわ」


 驚いた。まるで気負いがない。誇りプライドに裏打ちされた確かな自負。


 これが貴族ってやつか。おっちゃんも横で感心している。


「~~♪~~♪~~♪」


 その動きはまるで歌劇のよう。歌も踊りも、高いレベルで完成されている。声質もいい。ただ、惜しむらくは完成度が高過ぎてアイドルっぽくない所だがこれはこれで全然ありだ。


「んー……」


 しかしおっちゃんココで渋い顔。


「悪いんだが、もう少しだけ続けて貰えるかね?」


 何か気になることがあるのか、そう指示を加えるおっちゃん。


「え……ええ。構いませんことよ」


 おっと、どうしたことか。今まで堂々としていたクリスにも動揺が走った。


 そしてそのまましばらく、パフォーマンスは続く。時間にして、五分くらいだろうか。


「ん?」


 何か引っかかった。


 そしてそれから三分ほど経ったあたりだろうか。目に見えて動きにキレがなくなっていった。声もかすれていく。


 そのまま突然くらっと倒れる。


「大丈夫か!?」


 ぜぇぜぇっと息を切らすクリスに俺は思わず駆け寄る。


「ダァ……だうじょうぶ……でずヴぁア……」


 大丈夫じゃないなこれは。


「魔法使いのお嬢さんの課題はスタミナだね。まあ無理もない。お嬢様育ちの上にクラスは魔法使いだ」


 おっちゃんは水筒を投げ、俺はそれを身体が動かないクリスにゆっくりと飲ます。


 ちょっとエロい。


 さて、クリスが何とか体調を回復して去ったところでニナ。


「「……」」


 ギギギと音がなりそうなくらいに動きの固いニナの登場に俺とおっちゃんは思わず絶句する。


「わ……わた~しは~ニナ~なかーまをさがしてる~~」


「あ、はい大丈夫です」


「何で敬語なんですか!?」


 ニナ。論が……いや、課題が多すぎる。


「勇者のお嬢さんはまず緊張しすぎだ。そんなんじゃ評価の下しようもねえ。つまり、人前に立っていいレベルじゃない」


「うぅ……」


 暗礁に乗り上げ始めた勇者パーティアイドルプロジェクト。


 はてさてこれから一体どうなってしまうのか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ