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ダンジョンマスター、アイドル始めました  作者: 山崎世界
第二章:勇者パーティアイドル始めます
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幕間:プロデューサーの消えたダンジョン

ゴブゾウ視点からお送りします

 やれやれ。どうしてこうなったか。


「由々しき事態だわ。由々しき事態だわ!」


 リュートがトリッシュと一緒にとっ捕まってからそこそこ時間が経ったが、ダンジョン内は未だに騒動の中にあった。


「落ち着きな大将。こういう時はな、無理にでも落ち着いてるふりをしとくもんだ。動揺ってのは部下に伝わるもんだからな」


 まあ、ディーヴェルシア様に関してはまあ、そこまで深刻じゃないんだ。


「隆斗さん隆斗さん隆斗さん隆斗さんりゅうとさんリュートさんリュートさんリュートサンリュートサン………………」


 問題なのはヘル様だな……ここまで落ち着き失くすとは思わなんだ。大体リュートの残り香? が残ってる自室から出たがらなくなってるし。


 ああもう何やってんだアイツは。


「あら、お取込み中でしたか」


「おおレベッカ嬢」


 ダンジョンの外に出てリュートを探しに行くのはちょいとばかり無理が多い。情報を集めるだけでも面倒だ。


 だから、その辺りについてはレベッカ嬢の伝手を頼るしかないんだが……。もう少し上役が落ち着けば俺の部隊からも人員(ゴブリンだが)を割けるんだがな。


「こういう時、妙に冷静になってしまうワタクシが、何だか薄情のように思えてしまいますわね」


 ンなこたねェと思うけどな。


「それで、どうだ?」


「やはりこの間の侵入者は赤枝の傭兵団に相違ありません。そして、それと前後して傭兵団長青狸様の行方が分からなくなっています。つまり、リュートさんの身柄は傭兵団預かりではなく、青狸様個人で連れ回している、と考えるのが妥当かと」


「んー、なるほどな。で、市井に紛れて身を隠してるってことか」


 木を隠すには森というが、人数が集まると移動するにもいちいち目立つ。傭兵団の動向を探るくらいならまだどうとでもなるんだが個人レベルで動いてるとなると面倒だ。作戦行動の一つか……? まだ何とも言えんが。


「考えられる最悪の状況としては、勇者パーティと合流していること、でしょうか。こうなると戦力的な面で迂闊に手を出すのも容易ではありませんでしょう?」


 そうだな。そうなると厄介なんだよな……勇者パーティからリュートを本気で取り返そうとするとこっちもディーヴェルシア様やヘル様まで出張らなきゃ無理だろうし。


 トリッシュ、だったか。アイツも勇者パーティと折り合いが悪くて放逐されたような感じだったが……ただ、リュートと一緒にいるんだよな。


「ええ。そうですわね。リュートさんなら、その辺りの事情をとりなしてしまっているのではないかとそんな奇妙な期待があります」


 レべッカ嬢は少々呆れながら言う。まあアイツに破壊工作サークルクラッシャーしろって命令するのも行き過ぎな気がするしな。汚れ仕事だし。


「まあでも、何つうかそれならそれでいいような気もするんだよな」


「ゴブゾウさん……?」


「アイツは人間だからな。こうして薄暗いダンジョンの底より地上の方が生きやすいんじゃねえかって思わねェでもねェんだ」


 ディーヴェルシア様やヘル様の前では口が裂けても言えんが。


「ま、慈悲深い勇者サマがそんなことをするとも思わんが、棄てられて野垂れ死んでたら寝覚めが悪い。そうならないように、レベッカ嬢にはアイツの様子をそれとなく見まもっててほしい」


「……そんなことにはならないとは思いますが、分かりましたわ」


 さて……



「うわあああああああああああん隆斗ざああああああああんん!!!」


 リュート……早く帰って来てくれ。


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