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ダンジョンマスター、アイドル始めました  作者: 山崎世界
第二章:勇者パーティアイドル始めます
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普通の女の子じゃいられない

 それから数日、プロデュースの合間合間に通い詰めて、トリッシュには取り留めもなく知る限りのアイドルの話なんかをした。


「そのうちこの世界にもジャ○ーズはいるんだろうか」


「いや色々聞いてみたけど、そのジャ○ーズって結局、何なの? 何かもう得体が知れなくてちょっと怖いんだけど」


 何だろうな。それはもうジャ○ーズだからとしか言いようがない。


 そしてまあ、手足を自由にするわけにはいかない。ましてやナイフやフォークを持たせるなんて自殺行為だ。ということで、食事も手伝ったりしていた。


「あーん」


 小鳥みたいに口を開けて待ってる仕草はかわいい。食欲はあるようで何よりだ。


「まあそうだね。へこたれても仕方ないしね。どんな時でも、どんなものでもお腹に詰めるのも傭兵にとって必要なスキルの一つだって教わった」


「そんなもんか」


「けどここのご飯美味しいよね。なんだろう。このソース? ちょっとかび臭いような気もしたけど慣れてくると何にでもかけたくなってくる感じ」


「ん、ああそうだな。そう言ってくれると、ディーヴェルシアの苦労も浮かばれるってもんだ」


 トリッシュの言っているソース、というのは実は醤油のことだったりする。


 何でそんなもんがあるかというと、ディーヴェルシアがどこからか持ってきているのだ。どうやってかは知らない。俺だって召喚されて来たんだからそれはまあ不可能ではないんだろう。異世界転移主人公みたいなことしやがってからに。


 で、まあそれだけでなく俺の元いた世界から色々と食材やら何やらを持って来ていたりするんだが……どうにもこのダンジョン内の魔物たちの口には合わないらしくディーヴェルシアと俺以外口にすることは無かったのだ。


 ちなみに割と疲れるので商売に使うのはマジ無理、らしい。


「……」


 トリッシュは時たま、どこか遠くを見つめることがある。


「……帰りたいか?」


 そういう時は大概、放っておいたものの意を決して話しかけることにした。


「アハハ、そうだね、こうしてリュートと一緒に過ごす余生ってのも案外悪くなかったりするのかなーなんて思ったりもするんだけどね」


 笑えないな。


「……あーあ、でもそうだねー。一人で出るのもしんどいからなー……誰か助けに来てくれないかなー……なんてね!」


 口調は冗談めいているが、思いの外、どこか焦がれるような感情を感じた。


「ねえリュート、ボクのこと、ちょっと連れ出してくんない?」


「それはさすがに無理だな」


「アハハー、じゃあしょうがないねー。そういうことならー……うん、そうだね。ボクがここから脱出する時に一緒についてきてもらおっかなー」


 そうだな。


 まあ、そんな未来もあるのかもしれない。


 そこで思い浮かぶのは……。


「ニナ様のこと考えてる?」


「悪い」


 何でか謝ってしまった俺を「何謝ってんだか」てトリッシュが笑った。


「ボクから見たニナ様と、リュートから見たニナ様は違ってて、多分、リュートにしか見せないニナ様の姿があるんだろうなーってそう考えるんだ。それが……ちょっと悔しい」


 悔しい……か。


「なら、今度はもうちょっと上手くやれるように頑張ればいいさ」


「むぅ……りゅーとのくせになまいきだー!」


 がおーっと威嚇するように声を上げて、そしてキャハハハと笑った。


「でも、そうだね。多分、今ならもうちょっと頑張れるんじゃないかって思う……ありがとね、リュート」


 んーっとトリッシュは考え込んで、切り出した。


「ねえ、リュート。一つお願いあるんだけど」


 そのお願いを聞いて、俺は頷き……没収されたトリッシュの持ち物の中から紐を取り出した。


 ゴブゾウ達に用途を説明して、まあ危険はないと判断されてトリッシュの元に急ぐ。


「言っとくけどこういう経験はないんだからな」


「大丈夫だって。ボクもないし……痛っ!」


「大丈夫か?」


「ん、ヘーキヘーキ。どんどんやっちゃって」


「威勢が良すぎるわ。女の子の大事な部分扱ってるんだからもうちょっと怒鳴り散らしたりしてもいい場面だ」


「……そっかな。でも、うん。リュートなら、ホントにイイからさ」


 何をやっているのかというと、ポニテづくりである。


 トリッシュのトレードマーク? らしいポニーテールにしてほしいということで髪を弄っているのだ。


「んー、うん! 決まってるね!」


 手鏡を持って来て、何とかOKも出た。


 トリッシュにとってポニーテールを結ぶというのは、一種のルーティーンだ。


 それがどういう意味を持つのかは分からないが、それでも俺は祝福したいな、と笑顔のトリッシュを見て思うのだった。


※※※


 そして部屋に帰ってきた俺を待っていたのは、全身束縛状態のヘルさんだった。


「えっと……あの……何をしているんでしょう」


「え、ええっと……私も動けないんですよ」


「お、おう、何でそんな状況になってるのか全く分かりませんが」


 不覚なんてとるわけないし。


 にしてもちょっとエロい縛り方してたりして困る。


「で、ででで……ですからね」


「あのー、ヘルさん……もしかして見てました?」


 ヘルさんが固まった。


「ご…………ごめんなさいいいいいいいいい!!!」


 ヘルさんは平然と縛りをぶち破ってどこかへ行ってしまった。


 黒歴史を作らずにはいられない人なんだろうか……。あのまま乗っかったらそれこそ取り返しつかないことになりそうだったから止めたけど……不憫だなぁ……。



最後は蛇足とか言わないでほしいかなって

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