共に歩めば
「ヘルさん。ヘルさんは、ディーヴェルシアの力になりたいってさ。そう思ってるんだよな」
「それは、そうですけれど……」
「なら、俺がその道を示して見せる。だから、力を貸してほしい……これもちょっと違うな。俺に叶えさせてほしい。ヘルさんの夢を」
そうだ。俺はプロデューサーだ。アイドルが輝ける道を作るのが仕事だ。まあ、実績は無いんだが。
「何、で……」
何で、か。それは……
「何ていえばいいのかな……うん、俺がファンだからだ。夢を追いかけている姿を追いかけていきたい。その途中でくじけそうになった時に、支えられるような声援の一つになってればいいなって思ってた。それがこうして、間近で支えられるようになったってんだから、俺にも出来ることがあるんだって、そりゃあ……頑張りたくもなるだろうさ」
ヘルさんを支えたい。けれど、それだけじゃない。
なあヘルさん。俺達はきっと同じはずなんだよ。俺は今、ヘルさんを支えたい。ヘルさんはディーヴェルシアを支えたい。
だから、一緒なら頑張れるんじゃないか? ってさ。
「私に、務まるんでしょうか? アイドル、なんて……それに、淫魔としての私は、実はあまり好きではありませんし」
「大丈夫だ。ここにファン第一号がいる」
「隆斗さま……」
「まあそれが何かの保証になるかって言われれば、分かんないけどさ」
「……いえ。隆斗さま……私、頑張ってみようと思います。見守っていて、くれますか」
ああ。例え誰が認めなくたってさ。
※※※
「何ていえばいいのかな……うん、俺がファンだからだ。夢を追いかけている姿を追いかけていきたい。その途中でくじけそうになった時に、支えられるような声援の一つになってればいいなって思ってた。それがこうして、間近で支えられるようになったってんだから、俺にも出来ることがあるんだって、そりゃあ……頑張りたくもなるだろうさ」
隆斗さま。
ディーヴェルシア様が一体どこまで知って、どのような運命の元で彼をここに呼んだのかは分かりません。
けれど、少しわかる気がします。
隆斗さま。隆斗さまは私と似ているのだとおっしゃって下さいましたが私は別のことを思ったんですよ。
ある日、突然と現れて私の何もかもを壊してくれたディーヴェルシア様。あの方とは違う形で、あなたもまた私を導こうとしてくれました。まあ、あなた達はどこか似ているなどと言おうものならきっとお二人は揃って怒るのでしょうけれど。
あなたについていけば、私は……あの方の様になれるのでしょうか。そう信じてみたくなった。
「責任、取ってくださいね」
私の心に再び火を点けた……男の子。
安心したように眠っているその寝顔を、そっと撫でた。




