バロンダンス:その設定
【アピールポイント】
主人公が自分の目的のために仲間を集め、戦う物語。
主人公の最終的な目的は「勇者と魔王を両手に花」であり、故に仲間の種族は問いません。よって、様々な魅力や戦闘能力を持つキャラが登場する話です。
【あらすじ】
《勇者バロン》と《魔王ランダ》の戦いが数百年ごとに起きる世界。《魔王ランダ》軍の蜂起を前に、人間は《勇者バロン》の力となるべく《学園》に集い、戦士や魔術師として訓練を受ける。既に戦が始まっている地域もあり、その養成は急がれた。
いずれ《変界の魔女王》と呼ばれることになる少女メリッサは幼馴染たちと共に《学園》の一員となり、やがて戦場に向かう。
「勇者と魔王を両手に花! これこそあたしの目標よ!」
……いささか不謹慎な、それでいて壮大な目標を掲げて。
【舞台】
《神》という存在により《勇者バロン》と《魔王ランダ》の戦いが数百年ごとに起きる世界。
勇者と魔王、それぞれの存在を《神》に仕える《教会》が確認、認定すると同時に世界は戦時となり、人間は《勇者バロン》の名のもとに集う。魔界勢の侵略に対抗し、勝利するためである。なお、集った人間を訓練し戦士とするために《学園》が存在し、実際に戦場に出る前の数年間を彼らは訓練に費やす。
対する《魔王ランダ》は魔界に封じられていた魔物たちや一部の人間などを自らの勢力とし、世界の支配を狙う。
その二大勢力の争いを、《バロンダンス》と称する。
※「バロンダンスのはじまり」は《バロンダンス》が最初にスタートした時の話です。ある種、この世界では伝説。
【舞台設定・裏話】
世界に名前はない。ただ世界が人の住む世界であり、魔物が住む魔界が世界と対として存在することは分かっている。
《勇者バロン》、そして《魔王ランダ》。二人が成長していき、仲間を集め、戦い、そして相討ちとなることにより彼らが得た様々なエネルギーが凝縮され、《神》のもとに還元される。
《神》は己のもとにあるエネルギー切れが近いことを察知すると《勇者バロン》《魔王ランダ》両名を世界に生み出し、彼らが戦わねばならぬよう自らを崇拝する《教会》をそれとなく操る。
つまり、《バロンダンス》と名付けられている勇者と魔王の戦いそのものがマッチポンプなものであるが、当事者たちはそれを知らない。さらに、本来《神》はそのようなことをする必要すらない、ということも。
なお、《神》とその最側近たる《教会》最高位・教皇ジェネイアしか知らないことではあるが、《神》とは超古代より伝わる世界を安定させるシステムを動かす存在である。《神》が勇者と魔王を戦わせることで己のもとに還元させるエネルギーとは、そのシステムを動かすためのものである。《神》は自身でもそのエネルギーを発生させることができるが、わざわざ《バロンダンス》を引き起こして発生させるのは単に自らの退屈しのぎだから、である。
ただし、システムは既に中枢部の老朽化が進んでおり、《神》は中枢部の交換をもくろんでいる。それは中枢部にふさわしい適性を持つ、《バロンダンス》の中で見出されるであろう人間である。
戦士を育成するための《学園》は、実はシステム中央部にふさわしい人間を見定めるための機関でもある。
【登場人物】
勇者バロン
《神》により数百年に一度生み出される勇者。そのたびごとに姿も性別も思考も異なり、一人の人物が転生しているのかどうかも記憶が無いため定かではない。
今回の勇者は二十三歳の青年で、黒とも見紛う深い赤の髪を持つという。双子の兄が魔王認定され行方をくらまし、更に自身が勇者とされたことでひどく落ち込んだらしい。本名は別にあるようだが、勇者認定されたことでその名は抹消された。
魔王ランダ
《神》により数百年に一度生み出される魔王。勇者と同じく、誕生ごとに姿も性別も思考も異なる。ただし、勇者と肉体及び精神の性別、そして性的嗜好は同一となる、らしい。これは戦うべき二人が別の(和平の)道を選ばないように、という《神》の思惑故である。
今回の魔王は勇者の双子の兄で、深海の水のように濃い青の髪を持つ青年である。性格も髪の色に似た静かで落ち着いたものであったが、ある日《教会》より魔王と認定されたことで生まれ故郷の村を追い出された。弟と同じく、魔王認定されたことで本名が抹消されている。それ以前の家族については、不明。
メリッサ
何をどう間違えたかバロンとランダで両手に花、を目標としているグレーの髪をおさげにした十六歳の少女。魔術の才能があり、後に魔女王と呼ばれる為政者になるとかならないとか。
七年ほど前、魔族に故郷の村を襲われた際今回の《勇者バロン》に生命を救われており、そのときに彼から聞かされた話がきっかけで目標が定まった。
《バロンダンス》の存在そのものにむかついており、勇者と魔王を両方共自分のものにしちゃって仲直りすれば終わるんじゃね? というお気楽にして剛毅な考えのもと《学園》に入り、持っていた魔術の才能をめきめきと成長させて《バロンダンス》の舞台に飛び出す。その途中で仲間をどんどん集めていくが、何しろ最終目標が勇者と魔王両方なので仲間がどういった種族でも全く気にしない。
ミュレカ
メリッサと同じ村で育った、同い年の幼馴染の少女。メリッサのぶっ飛んだ目標設定に振り回されつつ、自身もまた《学園》生活を送ることとなる。幼馴染がアレなので周囲からは同情を受けることもしばしばだが、メリッサに話を持ち込む際の窓口にされることもしばしば。大変に苦労性。
ちなみに実は治療魔法の腕がすこぶるよろしい。ので、戦場に出る際はメリッサ共々後方からの援護に徹することが多い……はずだが、メリッサが前に出ることもあるのでそのときは専属で治療にかかる。
カティ
《学園》でメリッサと出会う、剣士を目指す女性。メリッサより三歳年上の十九歳で、いわゆる細マッチョ体格。明るいオレンジの髪をショートにしている。
数代前のバロンとともに戦っていた、戦士ゼルドの転生体。前回は男性だったが精神は女性で、今回肉体も女性で生まれてきたのでよしと思っているらしい。
キアン
《学園》でメリッサと出会う、召喚術師の一族の少年。彼女たちとは同い年だが、一族の中でも類稀なる能力を持つ。ただし、多少暴走する事があるので制御のために《学園》に入ったとのこと。
くせっ毛ショート、眠そうな目をしており外見的にはぼんやりさんだが、口を開くと毒舌。
能力が高い理由は、召喚術師である父親が魔族の女をほにゃらかして産ませた子供だから。召喚されるモンスター側が、同族と認識するため術に答えやすいらしい。《学園》に入ったのも、実際のところは混血児であるがゆえの厄介払いとか何とか。
ドロテーア
《学園》長を務めている、年齢不詳ながら妖艶な美女。《魔王ランダ》を絶対悪とみなし、彼と魔族を完全に滅ぼすためとして《学園》の生徒たちを日々鍛え上げている。
……つまり、《バロンダンス》の真実を知らない。無知なまま《教会》教皇・ジェネイアに付き従う、哀れな女である。
ジェネイア
《教会》の最高権力者である教皇。その姿を見たものは数えるほどしかおらず、その他の者と意思疎通を図る際は落ち着いた男の声だけが聞こえるという。
【用語】
《バロンダンス》
数百年に一度、世界に歯向かう《魔王ランダ》と世界を守る《勇者バロン》との間で行われる戦い。と言っても一騎打ちなわけはなく、双方が多数の軍勢を率いた世界を巻き込む大戦争となることが多い。
その真実は先述の通り、《神》が必要なエネルギーを得るためのマッチポンプバトルである。よって戦の終焉は、《勇者バロン》と《魔王ランダ》の相討ちで終わらなければならない。その後、世界は数百年の安寧を得る。
《教会》
《神》を崇める宗教団体。というよりは事実上、世界を治める政府と同義語である。教皇ジェネイアが君臨し、その姿を見ることのできる上位の者たちにより世界は運営されている。