気持ち良さそうに眠るにゃんこを抱いて、俺も夢の中に沈んだ。 作者: cloverの三ツ葉の方(二百or四百文字) 雨の匂いがする。 蛇口をひねって出したカルキ臭さとは違う。 冬の、水っぽい匂いもする。 そして、獣くさい。 何の話かと言えば、外から帰って来た愛猫殿の話だ。 しと降る雨に打たれて、しかし彼女は濡れていない。長い毛と短い毛の二層構造になっていて、油の付いた表層が濡れても直ぐ水を弾く。 便利なものだな、と背を撫で、耳と耳の間を掻き、喉をくすぐる。 「どんな冒険して来たの?」 訊いても眠る彼女は喉をぐるごろ鳴らすだけ。