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襲撃者

たしか、シュミレーションスコア上位の…。

シンは横目で少女を見やると、さっと身体を少女のいる方に向けた。腰まである2つ結いの薄紫の髪の少女。どこか不思議な雰囲気を感じさせる。シミュレーション室を指差しすと、出来るだけ相手に不快感を与えないような口調で、

「えっと… ユフィさん、ですよね?ここ、部屋全然空いてるので…どっ、どうぞっ?」

シュミレーションスコアで高得点を獲得した者はモニターに常に表示される。もちろん使用している部屋の前に使用者情報が表示されるので、顔を覚えている場合も少なくない。

なので、名前を覚えられているのははそれほど不自然ではない。

「いえ、今日はここに用はないんですよ」

凛とした、しかし感情が含まれていないような声。

上目遣いで見上げるその瞳は、動揺するシンが映っていた。

「巫女の長が襲撃にあったのは知っていますか?」

「報告されてるから、な。CPの奴らが必死に犯人を捜索中らしいけど・・・一体誰がやったんだか」

CPとは、シティ・ポリスの略称であり平たく言うと彼らは警察組織だ。

目の前にいるユフィは微笑を浮かべると、シンとの距離を詰めるかのように一歩前に出る。そして、軍服のひとつである白と薄い水色を基調としたコートを自分の方に引っ張る。

突然の事に、対応出来なかったシンはされるがまま彼女の右肩に顔をうずめる形になった。

(こっ、これはまずい!誰かに見られたら完全に勘違いされーーー)


「この基地内に、その仲間がスパイとして紛れ込んでいます・・・この本基地を潰すために」


「ーーーーーーーーっ!?」

脳がその言葉を理解するのに、数秒を要した。彼女がどうやってその情報を得て、なぜシンにそれを伝えたのかは不明だが彼女の表情は真剣そのものだった。

なんでそれを、と口を開きかけたその時。

そっと 身を離したユフィは、後方を振り返ると前に手をかざし、指先で空に薄紫色の軌跡を描く。魔法が発動し、迫りくる銃弾をいとも簡単に弾き飛ばしていく。

同じ軍服を着た人物はフードで顔を隠していて性別は特定できない。だが、シンにはどこか見覚えがある気がしていた。

「恐らく、この基地を無力化するつもりなのでしょう・・・人間はどこまでも愚かで救いようがありませんね」

敵が魔法を展開し、対抗してくる。両者の魔法がぶつかり合う度激しい爆発音が基地内に響き渡り、けたたましいほどの警報が異常事態を告げ始めた。

シンは剣を実体化させると、魔法がぶつかり合う中を走り抜け、敵との距離をいっきに詰めていく。床を思いっきり蹴るのと同時に魔力を込めたナイフも出現させ敵に向けて放つ。

もちろんこれは、ただの『目くらまし』だ。

(あいつのフォローはなんか必要なさそうだけどな)

さらに数本放ち、敵が弾き飛ばしている僅かな隙を狙って、敵の銃を弾き飛ばすべく剣を左下に構える。

敵にとっては 2対1で不利な状況のはずだが、一切動揺した様子がない。

だがシンは狙いを定めて、素早く剣を振り上げた。

きっと、そうくることを瞬時に予測されていたのだろう。

敵の身体を薄紫色の光が包み、刹那ーーー半球の魔法の防壁が、シンの身体を吹き飛ばした。そのまま後方にいるユフィにぶつかり、2人が激しく床と摩擦を生じさせながら床を滑っていく。巻き添えをくらったユフィは軽く舌打ちをすると、すぐに無表情のままスッと立ち上がった。

ーーーシンもなんとか立ち上がったが、身体中に激痛が走る。

「・・・・・・悪りぃ」

「悪いと思うのなら、最初から突っ込むのはーーー」



「ーーーおいおい、なに敵1人に手こずってるんだよ」


からかうような少し低めの声が、その場にいた全員の動きを止めた。

透き通るような銀髪の男は、背後にそれぞれに武器を構えた部下を大勢連れていた。

「リオン総帥、これは危険人物です。あなたは早く避難を」

敵を前後をはさんでいるこの状況、そして人数ーーー圧倒的にこちら側の有利だが、油断は出来ない。

だがリオンは、むしろ好戦的な笑みを浮かべる。

「なぁに、その必要はないさ・・・殺られる前に殺ればいい」

リオンが一瞬、ユフィを見た。

次の瞬間、リオンとその部下達も含めて一斉にトリガーを引いた。

けたたましい発砲音が、その場を満たす。

ユフィは素早い動きで防御壁を展開し、弾丸が吸い込まれ、金属音を立てて床に落ちていく。

シンはその様子を、ただ見つめることしか出来なかった。いや、しなかった。恐ろしい数の魔力が込められた弾丸が敵の防御壁に襲いかかっていく光景を。

シンはさりげなく右手を背後に移動させる。


そして、慣れた手つきで指を鳴らした。

自分にしか聞こえない声で呟く。

ー破壊ー〈ブレイク〉と。

敵の防御壁に亀裂が生じ始めたのは、それからすぐの事であった。

ユフィが攻撃していた時はなにも変化がなかった防御壁が急にピキッと音をたて、ついにガラスのように破壊される。防御壁を再度展開しようとするが、銃弾によって敵の身体がまるで人形のように『踊り』、床に倒れていった。

ー再び、静寂が訪れる。

最初に動いたのはリオンであった。

「今から2つの班を編成する。1班は軍基地内をくまなく捜索、敵がいたらすぐに報告しろ。2班はここの片付けーーー以上だ」


その後、リオンによって班が編成され、その場にいた軍人達が己の任務を果たすべく走り去っていく。

「シン、お前は治療室へ行け。相当ダメージくらっただろ」

さっきのはっきりとした口調とは全く異なるやる気のない声に、シンは足をふらつかせながら、治療室へと向かっていったのだった。


ー能力使用可能まで、残り9分。







大変遅くなってほんとにすみません!!(; ̄ェ ̄)

これからは気をつけます…(´・_・`)

あれっ、このセリフ前にも言った気がする…w

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