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長い間ほったらかしにしていました

 次の日の朝練、陸斗はいつもより早く学校に向かった。学校に着き、辺りを見回してみるが、翼の姿はない。やはり陸上部には入らないのだろうか。



 しばらく待ってみたが。いつまで経っても翼はやってこない。もう無理だろうと思ったその時だった。翼がやってきた。ショルダーをつけた指定カバンを肩にかけ、走りながら校門をくぐってくる翼の姿があった。手に何か持っている。おそらく入部届だろう。

 校舎前に立っている杉田の前まで行き、入部届けを杉田に渡して、杉田から話を聞かされた後、翼は陸斗たちのもとへ、向かった。

「おい翼。遅いぞ」

「へ、わりいわりい、寝坊しちまった」

 三年生の号令で校舎前に集まった。

「集合!今日はまあ、する必要もないと思うが、一応新入部員を紹介する。鳥打翼だ。

 お前らも知っていると思うが、翼はこの前の市体でセンゴに助っ人として出場してもらった。しかし陸上で走った経験はこいつにはない。そのなかで陸斗に次ぐ2位の記録という素晴らしい走りを見せてくれた。

 ただ速く走ればいいと思っている者もこの中には居るかもしれない。しかし、陸上にも駆け引きなどは存在する。それができないと大会で勝つことはできない。今日から翼もいれて頑張って行くぞ!」

「おう!!!」



「次のにあるのは地区大会・・・と言いたいがその前に記録会がある。参加人数は無制限。地区大会参加人数はオープン以外は2人になっている。地区大会の本戦に出場したければまずは記録会にでれるように演習に取り組め。俺からは以上だ。このあとのことはキャプテンにまかせる」

 そう言って杉田は校舎の中に入っていってしまった。かわりにキャプテンである塊斗が杉田のいた位置に立った。

「ってことだ。改めてよろしく。キャプテンの東海塊斗だ。それじゃあまずはどうするかな。とりあえずもう一回自己紹介から始めるか。まずは三年からな。時間が無いから手短によろしく」

 いきなりのことに三年生たちからは「えー、めんどくせー」などの声が上がっているが、結局自己紹介から始めることになった。

「はあー。めんどくせーな。まあいいや、俺は中堀力也なかぼりりきや。副キャプテンだ。魁斗取り戻す同じくサンゼンでで主に走っている。つぎは兵藤がやれ」

 丸刈りの3年生が言った。

「よし、おれは兵藤明良ひょうどうあきら。短距離専門だ。よろしく。短距離ならいつでも相手してやるぞ。っておまえは中距離だったな。すまねえ、相手なら中尾がしてくれるぞ」

「おいおい、次は俺って意味か?しゃーねえ、俺は中尾裕也(なかおゆうや)。今の話からわかるだろうが一応言っとくぜ、センゴの選手だ。センゴで俺に勝てる奴はこの中にはいねえ」

「は?何言ってんだよ。「俺に勝てるやつはいねえ」だと?寝言は寝てから言え馬鹿野郎!」

 中尾の言葉に突っかかった三年生を二年生がたしなめた

「先輩たち喧嘩しないでくださいよ。みっともないですよ。あ!俺は小倉奏太(おぐらそうた)だ。で、今の三年生が榎本慎之助(えのもとしんのすけ)さんだ」

「わりいな小倉。この馬鹿が喧嘩売ってきたから取り乱しちまったよ。小倉にもう言われちまったが俺は榎本慎之助だ。センゴで走ってるがそこの馬鹿よりは速いぞ」

「馬鹿に馬鹿とは言われたくねえけどな」

 榎本の余計な一言に今度は中尾が食いついた。

「うるせーよ馬鹿」

「ああ?喧嘩売ってんのか!」

「おまえらいい加減にしろ!イチネンの前でみっともねえことすんなよ」

 このままでは埒があかないと塊斗が止めに入った。塊斗とのつながりができて日は浅いが、翼は初めて塊斗の怒った姿を見た。流石にキャプテンに止めにはいられて続けるわけにはいかないので2人ともそれ以上言い合うことはやめた。

「ああわりーなキャプテン。今後気をつけますんで」

「わかればいい。どっちが上かはこの後タイムを計るからその時に決めろ。じゃあ次だ」

中尾が謝ると魁斗は何時もの表情に戻った。翼は魁斗の裏がわかった気がした。

「おい、お前の兄貴って結構怖いんだな」

「お、おう。俺も兄ちゃんの怒ったところ久しぶりに見たぜ」

その後も自己紹介はしばらく続いた。

 

「よし、全員終わったな。1年生は・・・・・・まあ全員分かるよな」

全員の自己紹介がようやく終わった。途中でまた中尾と榎本が喧嘩を始めて(今度は小倉が仲裁に入るだけで直ぐに終わったが)幾らか時間を食ってしまったおかげで朝練習の時間は無くなってしまった。

「じゃあそろそろ練習をはじめるか。ってもう時間ねえじゃねえか。ったく。中尾と榎本は放課後ペナルティな」

「マジかよキャプテン。そりゃねーぜ」

「うるせえ。おまえらの責任ってことわかってんのか。すまんなおまえら。朝早くから大変なのに。恨むならこの二人を恨め」

他の三年生が二人を囃し立てる。

「おっと、忘れてた。お前も自己紹介してくれよ」

魁斗が忘れていたというような表情を浮かべて翼に言った。魁斗に促された翼は一人、全員の前に出た。全員の視線が翼に向く。翼は一度軽く深呼吸して言った。





「新入部員の鳥打翼です。希望種目は中距離走。よろしくお願いします」








 

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