第七話
その日、ソラは、私を優しく抱きしめながら一緒に寝てくれた。
次の日
私には、こんなに安心できる場所がある。
帰ってこれる場所がある。
そう思えた私は、決心して二年ぶりの実家に行った。
-ピンポーン-
「はーいっ…ゆう!」
『久しぶり。』
(ドアを開けられたそこには、久しぶりに会う。
あの女がいた。)
「・・・っおかえり。」
そして、私はリビングに通された。
私が、女の後に続いて部屋に入ると、そこには久しぶりに見る父がいた。
「・・・ゆうっ!」
父は、私の存在にすごく驚いていた。
『久しぶり。』
「あっ・・あぁ。」
私は、父のこんなにうろたえた姿を見たのは、初めてかもしれない。
『話があってきたの。』
「まぁ、そこに座りなさい。」
父はそういって私をソファーに座るように促した。
あの報告を、受けた同じ言葉に私は、また従った。
でも、あの時とは違う。私の心には今、ソラがいるから。
そして私は、言われたとおりに座り話を始めた。
『とりあえず。
この間、柊が私のところに来たよ。
あなたが、見てくるように調べて、こさせたんでしょう?』
父は、私の質問に視線をそらした。
その反応だけで、十分答えになった。
『はぁ・・・
そんな、調べて私のところまで、柊使って、何がしたかったの?』
「・・・・お前をここに連れ戻すために決まっているだろう。」
『コソコソして、気味が悪いことしないで。
柊はもう会ったことを報告に来たんでしょう?
私に言いたいことがあるんじゃないの?』
父は落ち着きを、取り戻し私を見た。
『もう聞いてると思うけど、私今ある人と同棲してるわ。
私は、彼が素直に好きで、それは、これからも変わらない。
この同棲をやめる気もない。
もちろん、ここに戻ってくる気もない。』
「何を言っているんだ。
そんなこと、許すわけないだろう。」
『正直、今の私は、あなたの許可をもらおうと思ってきたわけじゃない。
それに、あなたになんと言われてもかまわない。
残念だけど、あなたの言葉に、私の心は少しも揺れない。
もう一度言うけど、私は、ここに帰ってくる気は少しのない。
私の話は、それだけ。
今日は、とりあえず報告にきただけ。』
「・・・・」
『帰る。』
「待ちなさい。
何で、ここにいるのがいやなんだ?」
『そんな、つまらないことを私に聞くの?
・・・・・あぁ。
知らないのか。』
そして、私は、このつまらないおっさんに話してやった。
私が、二人が、母が生きていたときから付き合っていることを知っていること。
その話を、二人の会話で知ったこと。
人の目が点になるというのは、本当にあったんだ。
私の、話を聞いている、父の反応を見て、私はそんなことを思った。
笑ってしまいそうなくらいのアホ面をしている父と、その話をそこで聞いて信じられないと言ったように口に手を当てている女。
私は、二人の反応を楽しんでから言った。
『わかった?
あんたらならいたいと思う?
こんな汚れていると、軽蔑している大人
・・・おっさんとおんなと一緒に。
あんたらは子供は何も知らずにのんきに暮らしているとでも思ったの?
私は、確かに子供よ?
でもねあんたたちが思ってるほど鈍臭くはないんだよ。
むしろ、子供は鋭いんだよ。
では、私は失礼します。
お元気で末永くお幸せに。』
そういい残して私は帰った。
大好きなソラの居る私の居場所に。