第四話
私は普段、周りにいる人間に対してあまり自分の思ったことをく口にしない。
内心では、腹が立つこともある。
それがすぐに顔に出てしまう。
でも怒鳴ったりはしない。
口調がきつくなったりはするが、正直、自分の中のその人間に対しての思いがどうでもいいものになる。
まるでいらなくなったものを捨てるときに、捨てるものに対して何も思わないことのように。
その場でやり過ごすという人間カテゴリーにその人は入る。
そんな私の中で、ソラは今まで出会った人達とは全く違う。
新しいカテゴリーを私の中に作った。
ソラに対しては、不思議に思った事をすぐに質問をして、思ったことを素直に口にするようになっている。という事にふと気が付いたことがあった。
そのときは、自分にびっくりしたけど面白くって笑ってしまった。
ソラの新しく作ったカテゴリーには、名前がついていない。
付けられない。というのがこの場合正しい言い方だろう。
ただそのカテゴリーは私の中で今、一番と呼べるぐらいに大切で暖かいもの。
鳥の鳴き声にゆっくりと目を覚ます。
隣を見ると無防備であどけない顔をして寝ている空がいる。
毎朝のようにその寝顔が隣にあって、毎朝のようにその寝顔を見てにやけてしまう自分がいる。
『ふふっ』
「ん・・・んぁぁぁぁ。」
『おはよう。』
私の声かけにソラは微笑みながら、
「おはよう。」
と、言った。
『何食べたい?』
「ん〜・・・・。」
『和食? 洋食?』
「ご飯〜♪」
『了解。できたら呼びに来るよ。』
「いいよ。手伝ってあげる。」
『珍しい。
ってゆうか自分のご飯じゃん。』
「・・・ははっ。
手伝うの今日だけね☆」
『え〜
毎日やろうよ。』
「いーやっ」
(駄々っ子だ。)
「だってご飯は
ユウが作るから美味しいんだもんっ。」
(だもんっ。ってソラくん可愛く言われても…。)
私はソラに甘い。
その甘さで今も許してしまってる。 ハァ…。
…40分後…
食卓には美味しそうなご飯がならんでいる。
ソラがやったのは…
…サラダ。
『料理してないじゃん!』
「したよ!
レタス洗って、きゅうりきって、プチトマト洗って、コーンの缶開けてばらまいた!」
『洗って、切って、洗って、開けて、ばらまいてっておままごとでしょ。』
そんな事言っていて気付いたらソラがシュンってなってるじゃないか。
『ごめん、ごめん。
ソラはソラなりに頑張ったんだよね?
よく出来てるよ!
美味しそう☆』
そういいながらソラの頭をなでるとソラはパァっと明るくなって嬉しそうに頷いた。
(なんかこの子幼児化してません?)そんなやり取りが終わるとソラは食卓に並んでいた和食の朝食を10分ほどでたいらげてしまった。
なんて幸福な日常だろう。そのんな日常が崩れてしまうなんて…。