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消えた先輩
高橋さんが消えた。
あの夜から三日間、携帯は繋がらない。大学にも来ない。研究室に行っても、誰も彼の居場所を知らなかった。
「高橋君なら、実家の都合で休学するって聞いたけど」
事務室の職員は、そう言った。
「休学? そんな話、聞いてません」
「でも、書類が出てるわよ。ほら」
見せられた書類には、確かに高橋さんの署名があった。
でも、おかしい。高橋さんは、研究に命を懸けていた。突然休学するなんて、ありえない。
「これ、本当に本人が書いたんですか」
「失礼ね。疑うの?」
職員が、不機嫌そうに書類を引っ込めた。
俺は、それ以上何も言えなかった。




