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抹消された古代遺物~5万年前から届いたエメラルドの秘密~  作者: 畠山ゆな@姉弟で小説共作✏️


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深夜の密談

午後十時。俺は指定された喫茶店の前に立っていた。



『ミラージュ』。駅から少し離れた、古びた喫茶店だ。学生はほとんど来ない。



店内に入ると、奥の席に高橋さんがいた。



「先輩」



近づくと、高橋さんが「座れ」と小さく言った。



俺は向かいの席に座った。



「先輩、一体何が――」



「声を落とせ」



高橋さんが、周囲を警戒するように見回した。



「いいか、ケンジ。俺たちは、とんでもないものを見つけてしまった」



「とんでもないもの、って」



「あの石だよ」



高橋さんが、テーブルの下から小さなUSBメモリを取り出した。



「あの日、俺は石のデータを全部記録した。写真、動画、紋様のスキャンデータ、全部だ」



「それ、没収されたんじゃ――」



「表向きはな。でも、バックアップは残してた」



高橋さんが、USBメモリを俺の手に握らせた。



「これを持っていろ。そして、絶対に誰にも渡すな」



「先輩、何を――」



「俺は、もうすぐ消される」



「消される?」



高橋さんの言葉の意味が、理解できなかった。



「大袈裟な、何を言って――」



「大袈裟じゃない」



高橋さんの目が、真剣だった。



「あの石は、ただの遺物じゃない。国家レベル、いや、それ以上の何かが関わってる。俺は、それを嗅ぎつけられた」



「先輩……」



「ケンジ、お前は若い。まだやり直せる。だから、このデータを持って逃げろ。そして、真実を暴け」



「逃げろって、俺に何をしろって――」



その時だった。



喫茶店の入口が開いた。



黒いスーツの男が、三人入ってきた。



「高橋さん」



男の一人が、低い声で呼びかけた。



「お話があります。ご同行願えますか」



高橋さんが、小さく笑った。



「やっぱり、来たか」



「先輩!」



俺が立ち上がろうとすると、高橋さんが手で制した。



「ケンジ、お前は動くな。これは、俺の問題だ」



「でも――」



「いいか、よく聞け」



高橋さんが、俺の目をまっすぐ見た。



「お前は、俺の分まで生きろ。そして、真実を明らかにしろ。それが、考古学者の使命だ」



高橋さんが立ち上がった。



男たちに囲まれて、店を出て行く。



「先輩!」



俺は叫んだ。でも、高橋さんは振り返らなかった。



店内に、俺一人が残された。



手の中のUSBメモリが、ずっしりと重かった。

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