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帰郷
成田空港に降り立った時、日本は既に変わっていた。
街中に、避難誘導の看板が立っている。
「三週間後の災害に備えましょう」
「高台への避難ルートを確認してください」
政府は、まだ公式には認めていない。でも、地方自治体が独自に動き始めていた。
「民意が、政府を動かし始めたな」
黒木が、タクシーの窓から街を見ていた。
「ああ。でも、まだ十分じゃない」
俺は、スマホのニュースを見た。
海外では、既に大規模な避難が始まっている国もある。
でも、日本は動きが遅い。
「官僚主義の弊害だ」
黒木が、舌打ちした。
「責任を取りたくないから、誰も決断しない」
「でも、市民は動いてる」
リズが、俺たちと一緒に日本に来ていた。
「SNSを見てください。みんな、自主的に備えてます」
確かに、Twitterでは『#備えよう』のハッシュタグで、避難計画や物資の共有が行われていた。
「これが、希望か……」
俺は、呟いた。




