リズとの出会い
その夜、ホテルのロビーで、一人の女性が俺に声をかけてきた。
「篠原さん、ですよね」
振り返ると、二十代前半くらいの、明るい雰囲気の女性が立っていた。
「はい。どちら様ですか」
「リズ・アインスワースです。ジャーナリストをしています」
リズと名乗った女性が、名刺を差し出した。
「お話、聞かせてもらえませんか。オフレコで」
「オフレコ?」
「はい。私、あなたのこと信じてます」
リズが、真剣な目で俺を見た。
「でも、世界を説得するには、もっと情報が必要です」
俺は、少し考えた。
「黒木さんに、確認してきます」
「もちろん。待ってます」
黒木に相談すると、意外にも賛成だった。
「彼女は信用できる。以前、一緒に仕事をしたことがある」
「そうなんですか」
「ああ。味方は、多い方がいい」
俺は、リズとホテルのカフェで話をすることにした。
「篠原さん、正直に聞きます」
リズが、コーヒーを飲みながら言った。
「あなた、怖くないんですか」
「怖いですよ。めちゃくちゃ」
俺は、苦笑した。
「でも、やるしかないんです」
「なぜ、そこまでするんですか」
「先輩が、命を懸けて託してくれたからです」
俺は、高橋さんのことを話した。
リズは、黙って聞いていた。
「そうですか……」
リズが、俯いた。
「実は、私も失った人がいるんです。家族を」
「え?」
「十年前の大地震で。東日本大震災です」
リズが、顔を上げた。その目に、涙が浮かんでいた。
「あの時、もっと早く避難していれば、家族は助かったかもしれない」
「リズさん……」
「だから、私、あなたを応援します」
リズが、俺の手を握った。
「今度こそ、みんなを救いたいんです」
その真剣な眼差しに、俺は頷いた。
「一緒に、やりましょう」
新しい仲間が、加わった。




