決断
「どうやって話すんですか」
俺は、窓の外を見た。
カイロの街は、いつもと変わらず騒がしい。
「記者会見だ」
黒木が、タバコに火をつけた。
「俺の知り合いに、国際ジャーナリストがいる。彼に手配させる」
「でも、信じてもらえるんですかね」
「信じない人間もいるだろう。でも、信じる人間もいる」
黒木が、俺の肩を叩いた。
「そして、お前には証拠がある」
「証拠?」
「その手だ」
黒木が、俺の手のひらを指差した。
紋様が、微かに光っている。
「石と同調した証拠。そして、お前が語る災害の詳細なデータ」
「でも……」
俺は、躊躇した。
「俺が前に出たら、家族が危険に――」
「既に危険だ」
黒木が、厳しい口調で言った。
「石が起動した今、彼らは本気で動く。お前の家族も、俺の関係者も、全員が標的だ」
「だったら、なおさら――」
「だからこそだ」
黒木が、俺の目を見た。
「今、お前が前に出れば、世界中の目がお前に向く。そうなれば、彼らも簡単には手を出せない」
「本当に……」
「保証はできない。でも、黙っていても状況は変わらない」
黒木が、窓の外を見た。
「二ヶ月後、災害が来る。それまでに、世界を動かさなければならない」
俺は、自分の手を見た。
紋様が、脈打っている。
「分かりました」
俺は、決意した。
「やります。世界に、真実を伝えます」




