起動
意識が、現実に戻った。
俺の手から、光が溢れ出していた。
石が、激しく輝き始めた。
ヴゥゥゥゥン――
重低音が、地下神殿全体に響く。
「何が起きている!」
男が、後退した。
石から、光の波が放射状に広がった。
それは、世界中の石に向けて。
視界が開ける。
世界中の石が、次々と光り始めた。
エジプト、ペルー、中国、インド、日本。
全ての石が、共鳴している。
「これが、ネットワーク……」
俺の脳裏に、膨大な情報が流れ込んできた。
災害のパターン。発生する場所。タイミング。被害の予測。
全てが、明確に分かった。
「見えた……全部、見えた!」
俺は叫んだ。
石の光が、さらに強くなる。
そして、その光は地上へと噴き出した。
ピラミッドの頂上から、翡翠色の光の柱が天に向かって伸びる。
「あれは……」
カイロ中の人々が、その光を見上げた。
いや、カイロだけじゃない。
世界中で、石が光の柱を放っていた。
それは、まるで地球全体を包む光のネットワークのようだった。
「篠原君!」
黒木の声で、我に返った。
「大丈夫か!」
「はい……成功しました」
俺は、膝をついた。
「全ての石を、起動できました」
男たちは、呆然とその光景を見ていた。
「まさか……本当に起動させるとは……」
男の声が、震えていた。
「これで、全世界に知られてしまう……」
「そうだ」
俺は、立ち上がった。
「もう、隠蔽はできない。真実は、世界中の人々に届いた」
実際、スマホのニュース速報が、次々と流れ始めていた。
『世界各地で謎の光の柱』
『古代遺跡から光が噴出』
『これは何を意味するのか』
「さあ、始まるぞ」
黒木が、俺の肩を叩いた。
「お前の戦いが」
俺は、頷いた。
石から得た情報を、世界に伝えなければならない。
災害の真実を。
そして、全人類が協力して立ち向かう方法を。
「行きましょう」
俺は、地上への階段を登り始めた。
背後で、男が呟いた。
「終わりだ……我々の計画は、全て水泡に帰した……」
でも、俺は振り返らなかった。
これは、終わりじゃない。
新しい始まりだ。
人類が、初めて一つになる時が来たんだ。
地上に出ると、ピラミッドの頂上から光が溢れていた。
集まった人々が、それを見上げている。
「さあ、世界よ」
俺は、空を見上げた。
「真実を、受け止めろ」
翡翠色の光が、夜空を照らしていた。
まるで、希望の灯台のように。




