敵のリーダー
振り返ると、あの男が立っていた。
沖縄の島で会った、組織のリーダーだ。
「よくここまで来られたな」
男が、ゆっくりと近づいてくる。
後ろには、黒服の部下が十人ほど。
「待っていたのか」
黒木が、銃を構えた。
「当然だ。君たちの行動は、全て読んでいる」
男が、余裕の笑みを浮かべた。
「篠原ケンジ君。君は優秀だ。石と同調し、ここまで辿り着いた」
「あなたたちは、何が目的なんだ」
俺は、叫んだ。
「なぜ、人類を救う手段を隠蔽する」
「救う?」
男が、嘲笑した。
「全員を救うことなど、不可能だ」
「だからって――」
「現実を見ろ」
男が、一歩踏み出した。
「二ヶ月後、磁場の反転が起きる。それによって、世界中で大災害が発生する」
「知っているなら、なぜ――」
「だからこそだ」
男が、石を見上げた。
「我々の組織は、五十年前からこの日に備えてきた。シェルター、食料、技術。全てを準備した」
「選ばれた人間だけを、救うために……」
「その通りだ」
男が、俺を見た。
「君も、その一人になれる。石と同調した君の力は、貴重だ」
「断る」
俺は、即答した。
「俺は、全員を救いたい」
「綺麗事だな」
男が、溜息をついた。
「では、力づくで来てもらおう」
男が手を挙げた。
部下たちが、一斉に銃を構える。
「篠原君、石に触れろ!」
黒木が叫んだ。
「今しかない!」
俺は、振り返って石に手を伸ばした。
銃声が響いた。
でも、弾は俺に届かなかった。
石が光り、バリアのようなものが俺を包んだ。
「何だと!」
男が、驚愕の声を上げた。
俺の手が、石に触れた。




