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記憶の洪水
光の中で、俺は浮遊していた。
いや、浮遊しているのは俺の意識だけだ。肉体の感覚がない。
『見せよう』
あの声が、再び響いた。
『我々の記憶を。そして、真実を』
視界が開ける。
そこは、数万年前の地球だった。
巨大な都市が、眼下に広がっている。
高層建築。空を飛ぶ乗り物。エネルギーの光が、街全体を照らしている。
「これが、古代文明……」
『我々は、アトランティスと呼ばれた』
声が説明する。
『いや、それは後世の人間がつけた名だ。我々の本当の名は、もう失われた』
場面が変わる。
研究所のような場所。科学者たちが、巨大な石を囲んでいる。翡翠色の、あの石だ。
『我々は、宇宙の真理に到達した』
『この石は、記憶結晶。情報を半永久的に保存できる』
『だが、我々は知ってしまった』
画面が暗転する。
『この惑星の周期を。文明の寿命を』
天体図が浮かび上がる。複雑な軌道を描く惑星たち。
『五万年ごとに、天体の配置が特殊な状態になる』
『その時、この惑星の磁場が反転し、大災害が起きる』
『我々の文明は、その災害によって滅びる運命にあった』




