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幻視
船は、穏やかな海を進んでいた。
俺は甲板に座って、バックパックからノートパソコンを取り出した。
「まだ、解析するのか」
黒木が、隣に座った。
「ええ。昨夜、新しいことが分かったんです」
俺は、昨夜発見した天体カレンダーのことを話した。
「二ヶ月後の春分の日。その時に、何かが起きる」
「起動するのか」
「おそらく。でも、何が起きるのかは分かりません」
黒木が、海を見つめた。
「希望か、破滅か」
「え?」
「古代人が残したもの。それは、人類を救うための希望かもしれない。あるいは、文明をリセットするための破滅かもしれない」
その言葉が、胸に刺さった。
「俺たちは、パンドラの箱を開けようとしているのかもしれないな」
黒木が、タバコを取り出した。
その時だった。
ヴゥゥゥン――
頭の中に、低い振動音が響いた。
「うっ……」
俺は、頭を押さえた。
「篠原君?」
黒木の声が、遠くに聞こえる。
視界が、歪んだ。
そして、目の前に光景が広がった。




