黒木との接触
翌日の夜。約束通り、俺は駅前のネットカフェに来ていた。
受付で黒木の偽名を告げると、案内された先は最奥の個室ブースだった。
ドアを開けると、黒木が待っていた。
「来たか」
「データ、全部見ました」
俺は、椅子に座った。
「あの石は、地球上のものじゃない。そうですよね」
「その通りだ」
黒木が、ノートパソコンを開いた。
「篠原君、これを見てくれ」
画面には、世界地図が表示されていた。そこに、赤い点が十数カ所マークされている。
「これは?」
「過去五十年間に、あの石と同様のオーパーツが発見された場所だ」
黒木が、画面を指差した。
「エジプト、ペルー、中国、インド、そして日本。全て、古代文明の遺跡から発見されている」
「全部、闇に葬られたんですか」
「ああ。発見者は消され、データは没収され、遺跡そのものが破壊されたケースもある」
黒木が、別のファイルを開いた。
そこには、新聞記事のスクラップが並んでいた。
『考古学者、事故死』
『研究者、行方不明』
『発掘現場、謎の崩落』
全て、石の発見後に起きた事件だった。
「これ、全部……」
「消されたんだ。真実を知った者は、例外なく」
俺の喉が、乾いた。
「じゃあ、高橋さんも……」
「まだ分からない。でも、時間の問題だろう」
黒木が、俺を見た。
「篠原君、君も狙われている。それは理解しているな」
「はい」
「ならば、先手を打つしかない」
黒木が、USBメモリを取り出した。
「これは、俺が独自に集めたデータだ。石に関する全ての情報が入っている」
「これを、どうするんですか」
「公開するんだ」
黒木の目が、鋭く光った。
「ネット上に、全てのデータを流す。そうすれば、彼らも隠蔽できなくなる」
「でも、それじゃ俺たちも……」
「ああ、完全に敵に回ることになる」
黒木が、タバコを取り出した。
「だから、その前に逃げる必要がある」
「逃げる? どこに」
「高橋さんが残した座標の場所だ」
黒木が、地図を指差した。
「沖縄の離島。そこに、次の石があるはずだ」




