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22. 女神が決めたル―ル

        

 女神アテナはアテナイをはじめ、多くの土地を統治しているけれど、国同士の戦いが次から次へと起こり、戦争に明け暮れて、休まる時がなかった。


 ある時、処女神アテナがこの西の孤島を見つけた。


 その村の島民は漁をして、細々と暮らしていたけれど、女神が良質のオリーブの木や赤いベリーを植えさせて、豊かな島に育てたのだ。


 女神アテナの父親はゼウス、母親は知恵の女神メティスで、ゼウスがヘラと結婚する前の話である。


 ゼウスは最高神なのだが、メティスから生まれる子供が全世界の支配者になると予言され、それを恐れて妊娠しているメティスを飲み込んでしまった。

 

 胎児アテナはゼウスの頭の中で育ち、やがて父親の頭をかち割って生まれてきたのだ。頭から出てきた時にはすでに武装し、槍を手にもっていた。


 女神アテナはとても美しく、勇敢、プライドの高い「戦いの女神」で、男が大嫌いだった。

  

 女神アテナは自分を慕う者には、かぎりない愛情を注ぐのだ。

 

 オリーブの島の民はやわらかな性格で、女神に従順だったから、アテナは戦いの間に、この島に来て憩うのをとても楽しみにしていた。

 

 ただこの島はひとつ問題があった。

 

 島は西のあたたかい所にあり、オリーブもたくさん実るようになったから、人々はあまり働かなくても生活できるのだ。

 

 そのせいか子供が早熟で、10歳を越えたばかりでも妊娠してしまったりした。子供が子供を産むようなケースが多く、母親になっても赤ん坊に興味がなかったり、育て方を知らなかったりで、あっさりと子供を捨てて、どこかへ行ってしまったりするのだった。


 だから、この島には孤児が多かった。今では食糧事情はよくなり、餓死する孤児はいなくなったが、かつては食べられない孤児が島のあちこちにいた。

 

 ジャミル、サナシス、ハミルが孤児になったのも、母親が子供を捨てて、別の島に行ってしまったからである。


 そういう孤児は早熟の遺伝子をもっているので、女神アテナは将来を案じていた。


 女神は思ったのだ、「恋」というものを禁止したらよいではないかと。

 

 恋を禁止すれば、子供ができない。

 

 しかしいつまでも禁止しては人口が減ってしまうので、男子は「17」、女子は「14」になるまでは、「恋」について知ってはいけないというルールを作った。

 

 つまり、オリーブの島は、「恋」が禁じられた島になったのだ。

 恋を知らない女神が頭で考えた妙案、いや迷案なのだった。

 

 自己主張をあまりしない島の人々たちはルールに従順で、子供の前ではキスもハグもしないし、「恋」についても一切語らなくなった。だから、島の子供達は「恋」については何も知らなかった。


 でも、恋について知らなくても、身体は成長していくので、間違いは起きた。

 

  

 女神アテナはルールに違反している子供達を見つけたら逮捕させた。


 見つけるのはスパイ・フクロウの役目である。

 

 現場をとらえられ裁判にかけられて有罪になった子供たちは。フクロウに姿を変えられて、風紀スパイにならされるのだった。

 

 風紀スパイになったフクロウは、反モラルな現場を2件抑えると、また人間に戻ることができた。                     


 

 ハミルは島の風紀ルールのことを玄関に説明した。


「島では、男子は17歳、女子は14歳になるまで恋をしてはいけないということね」

 玄関が聞いたことを繰り返した。


「そうだよ」


「ハミルはいくつ」


「16」


「わたしはもう14になったから、島に帰っても、恋ができる」


「ぼくももう少しで17だよ」

 

 その時、ハミルが、ちょっと首をかしげて耳を澄ました。

「ルシアン、そこにいるのかい」


 しかし、蝋燭のじりじり燃える音が聞こえるだけで、何の返事はなかった。




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