19話
19.章 罪と罰と贖い
─翌日。
王立高等魔術学校。
カリナが登校すると、周りの生徒からヒソヒソと噂しあう声が聴こえる。
「よく、学校に来られたものね。」
「どういう神経してるのかしら。」
「すごい根性ですわ。」
カリナと、特に仲の良かった令嬢のミレーユと、目があった。
「ご機嫌よう、ミレーユ様」
カリナはあえて、つとめて明るく友人に挨拶した。
しかし、ミレーユは聴こえてないのか、足早に逃げて行ってしまった。
他の、カリナと仲の良かった令嬢も、カリナを遠巻きで見るばかりで、挨拶もしない。
そうしているうちに、授業が始まった。
教師が入ってくると、カリナ•オルデウスに気がついた。
教師はカリナの前にくると、厳しくこう言った。
「カリナ•オルデウス、あなたは私の授業を受けるのに値しません。今すぐ、教室から出て行きなさい。」
「はい。」
カリナは小声でこう言って、荷物をまとめて、足早に教室を後にした。
カリナはどこにも行き場がなく、外は小雨がぱらつきだす。
「困ったわ、どこにも行き場が無いわ」
父から屋敷を締め出された時のような、心細い気持ちを思い出していた。
「きっと図書館には入れては、もらえないでしょうね。」
カリナは少し思案して、ひとり呟く。
「そうだ誰もいない、礼拝堂に行ってみよう」
─王立高等魔術学校のはずれに、古い礼拝堂が建っている。
礼拝堂は薄暗く、全くの無人だった。
カリナは、微笑む女神の彫像に、ひざまずき一心に祈る。
「どうか、慈悲の女神、セルティア様、わたしはもう何も望みません。」
カリナは目を閉じて、組んだ手に力が入る。
「どうか、王太后様のお体を治して、お元気にして下さい。」
「叶えていただけたら、わたしは死んでもかまいません。どうか、お願いします。」
カリナのこの願いが、慈悲の女神に届いたのかはわからない。
─しかし、この時、確かに奇跡がおきた。
王立魔法学校のとある一角で、奇跡が起きていた。
四方があたたかい、柔らかな光に包まれ、慈悲の福音のような、天からの神光を一身に受ける者がいた。
カリナの親友、ローレライ•ローレンス。
彼女が神から選ばれし、奇跡の乙女─聖女だったのだ。
この光を目撃した者は、口々に言った。
これは、聖女様の力、この時代に奇跡の聖女が現れたんだと─。
あとがき
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