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78章

77章 逆転




魔導士のアジトの屋敷は、内側から破壊し尽くされ、



見るも無惨な大穴が開き、瓦礫が散乱している。



そこから、司祭インベルと魔導士の様子がうかがえる。




魔導士は、倒れズタボロに、床に伏していた。



司祭は相変わらず、余裕の姿勢を崩さない。




「どうかな。そろそろ、チカラ尽きたかい?」




そう言って、トドメを刺そうと、大の字に横たわる、魔導士カシウスに近づく。



「それじゃ…つまらないか」




司祭は気が変わり、空中に浮遊する。



司祭はひと羽ばたきし、上昇して勢いをつけると、上空から飛び込み膝蹴りをねじ込んだ。



《ドゴッ!!》



強烈な膝蹴りが腹部に入り、魔導士は声にならない声を上げ、腹を庇いながら、うめいた。




「ぐうっ…!!」




「あはは…。内臓傷ついちゃったかな?」




そう言うと、より高く飛び、最後のトドメを刺しに来る。




「……!」




ここで、魔導士カシウスは密かに貯めていた、最大限の魔力を最後の大技を使う。




(あまね)く星よ、



我、汝に誓わん



星砕き降り落とし



凶運(きょううん)、刻みつけよ



破滅破壊臨海(はめつはかいりんかい)

 


我に()を示せ



閃光(せんこう)、果てなく!」




「ギガメテオ!!」





ようやく空中で気づいた、司祭が驚く。




「こっ…この光は、ギガメテオ!!」




司祭は、薄く笑う魔導士を見る。




「ここまでの超重量(ちょうじゅうりょう)魔道砲を、撃つ気なのか…。」




「こんなのを撃てば…。!!!!」




魔導士は、空中の司祭へ向け、超重量魔道砲を放つ。




魔法でつくられた、隕石の運動は強い光を放ちながら、周りの空気を巻き込み、天に向かう。




《ドゴォォォォォォン!!!!》





激しい光と超重量の隕石が、司祭に向かってやってくる。



「!!!」



一瞬、目の眩む様な光に飲み込まれ、対峙する2人の事態は一切不明になった。



土埃が舞い、辺りは霞む。




『コレで…やったか…?』



魔導士は一瞬、気が緩む。



土埃がおさまると、依然として司祭は空中に浮遊し続けており、どうやら無事のようだ。



残念ながら巨大な隕石は間一髪、司祭をかすめただけであり、



結局のところ、魔導士が渾身(こんしん)の魔力で放った超重量魔導砲は、



司祭の髪を少し焼いた程度のダメージしか与えられなかった。




「…ふ。どこ狙ってるんだ。こんな大技当たらなければ、なんて事ない…」




司祭インベルは言いながら、少しばかりの焦りを隠す。




『少し驚いたが、大した事はない…。』




『……だが、僕もこいつの高速詠唱を、少し甘く見ていたようだ。』




そう思うと、魔導士の眼前に降り立つ。




「そもそも、こんな鈍重な魔道砲が当たるわけがないだろう?」




司祭は魔導士に、宣告する。




「それにもう、2度目を撃つような魔力も残ってはいまい」





「…化け物が…!」





不敵に笑う司祭に、魔導士は捨て台詞を吐く。




「…クソっ!!」




半ばヤケで、痛む脇腹を庇いながら、司祭インベルを相手に接近戦を仕掛ける。




「おっと…!まだ元気はあるようだ」




「ほざけ!!」




それらを、さっさと捌きながら、司祭は話す。



「今さら、君の苦手な接近戦で、勝つ見込みがあるとでも?」




自暴自棄になったのか、魔導士は超重力強化の魔法陣を敷設する。




「なんだ。いまさら『超重力強化』のデバフをかけたところで、僕の足止めにはならないよ」




「こんな小手先のデバフで勝てると思っているのなら、おめでたい。」




魔導士の口元が一瞬、ニヤリと笑う。




「人間なら足止めにもなるだろうが、魔族の僕にこんなもの効かないよ。」




魔導士は、司祭を攻撃しながら近づくと、



光線で目眩す、光魔法を放つ。




《ビカッッ!!!》




「小賢しい!!」




「こんな目眩し、何の意味が…。」




そこで、司祭は気づくことがある。




「……!!!」




「なんだ、この…床の影は…。」




「まさか…!!!」



司祭は天井がぶち抜かれた、空を見上げる。





「……まさか…まさか、さっきのギガメテオを引き寄せる為の…、



超重力強化魔法だったのか…!!」





司祭の眼前に巨大隕石が迫る。




『……クソ!こ…これは…避けられな…』





魔導士カシウスは、固唾を飲んでことの次第を見定める。





『その通り。本当の狙いは、さっき放った、ギガメテオを地表に引き寄せるための、超重力強化魔法だ』





『化け物が…圧壊しろ!』





魔導士は思いながら、ことの次第を見届ける。






空の上の上、はるか虚空から、超重量の隕石『ギガメテオ』が、司祭の影を飲み込む。





地表に接すると、まず閃光が走り、爆音と砂ぼこりが、豪風と共に四方に広がった。





こうして、光と隕石の落下運動の衝撃で、辺りに大爆発が起こる。





『コレが最後の最後。もう魔力も、策も無い……』




魔導士は、祈るように見守る。





土埃が舞い、何が起こっているのか、いつまでも視界が悪い。





『……どうなんだ…やったのか?!…』




魔導士は一瞬、勝ったのかと喜んだが、すぐに諦めの表情に変わった。




砂ぼこりが落ち着くと、そこに人影が依然として立っている。




「……なーんてね。ちょっとだけ喜んじゃった?」




このように、司祭インベルは何事もなく平然としており、服に張った霜を払っている。




「残念…。予想外の不意打ちでも、ダメだったワケだ」




そう言うと、魔導士に宣告する。





「これで、本当に魔力を使い切ったね」





あとがき


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