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53章〜54章

53.章 砂のような(まなこ)



─3ヶ月後。



ウエリント地方のアラバ娼館(しょうかん)で、



カリナは娼婦への支払いをさせられている。



混血巨乳エルフの娼婦は、カリナに同情的だ。



「あんた達どういう関係なの?


まあアタシは金さえもらえれば、別に気にしないけど。」



「妹です。」



「普通、妹に花代(はなだい)、払わせる?」



「………。」



「あ、そうそう、予定になかったプレー代追加で、5500(フリット)お願い。」



「……。」

(本当…?確かめようがないけど…怒)



「まいど。」



「そうそう、アンタの兄さん、アレ、病気だから早く逃げた方がいいわよぉ。」




魔導士カシウス•オルデウスは、近くのカフェであくびをしながら待っている。



カリナは、砂のような(まなこ)でこの師匠を見ている。




「今は…巨乳の混血エルフがお気に入りなんですね。」




「わかる?ギャップ萌えっていうの?巨乳なのにエルフみたいな。」




「はぁ…そうですか。」


(…耳の音をカットオフ、聞いてはいない。)




『はぁ…、所持金ががんがん減っていく(怒)』(…砂のような眼)




心許ない財布の中身を見ながら、カリナは、ため息をつく。




「…先生……そろそろ、《魔法のお仕事の依頼》引き受けませんか?」






54.章 ジルド国王の魔獣討伐(まじゅうとうばつ)の依頼






ジルド国の国王から、魔獣討伐を依頼され、


魔導士カシウス・オルデウスは、王からの詔勅(しょうちょく)を受け取り、王都によばれていた。



あいにく国王は不在という訳で、ジルド国宰相(さいしょう)が魔導士に対応する。



贅を尽くした、豪奢(ごうしゃ)な執務室で、ジルド国宰相(さいしょう)と魔導士カシウス・オルデウスは一対一で、対面している。



魔導士は、そうして正式に北部の魔獣討伐を依頼されていた。



「…というわけで、北部国境のカナイ村付近での魔獣討伐をお願いしたいのです。」




宰相は魔導士カシウスに、そう依頼する。




「…状況は大変よく分かりました。…とりあえず、お引き受けしましょう。」




魔導士は慇懃無礼(いんぎんぶれい)に、答えると、むっつりとおし黙った。




宰相は、何となく、居心地の悪さを覚えつつ、話題を変える。



「いやしかし、お連れの方はなかなかの、器量良(きりょうよし)しですな。キチンと教育も受けられている様にお見受けしますし…。



…あ…失礼、ぶしつけに。あの方はご細君(さいくん)(※妻のこと)でしたでしょうか?」




宰相は少し慌てて釈明する。



「いえ。彼女は見習いの弟子でして、妻ではありませんが…。」



宰相は少し安堵して、話しを続ける。



「そうでしたか、あんなお美しい方だったのでてっきり、ご細君(さいくん)かと。


でしたらなおさら、侍女としてこの城に残っていただきたいですな。」



「ぜひ、この城で働いていただきたい。彼女なら、国王様付きの侍女に推薦も可能ですよ。」




『王様付きの侍女…。』




魔導士は少し考えて、答える。




「申し訳ないのですが、それはやめておいた方が良いかと思いますね。


正直、アレは何の取り柄もない女ですよ。」




そう言うと、魔導士は少しムキになって、悪評を披露してしまう。



「色気もない、愛嬌もない、気立も悪い、つまらない女です。


陰気で、物覚えも悪いですし。とても、おススメは出来ませんね。」



いつの間にか、カリナが部屋に入って来ている。



「顔だって、若いだけで、十人並。とても高貴な方が、心惹かれる程ではありません。」



魔導士は、そう言うと、宰相にきっぱりと断りを入れる。



「とてもご推薦(すいせん)できる者ではないのです。申し訳ないのですが、お断りさせていただきたいですね。」



それを聞いて宰相は肩をすくめた。



「そうですか、それは残念ですね。」



そこで、カリナは師匠に声をかける。



「失礼いたします。先生、馬車の用意が出来たので、馬丁(ばてい)が呼んでくるようにと…。」




『………?!』



魔導士は、今の話しをカリナに聞かれ、ぎくりとする。




2人は用意された馬車に乗り込もうと、城の馬車留(ばしゃど)めに向かう。



魔導士はとりあえず、弟子に謝る。



「…あの、さっきのは、その…悪かった。」



カリナは急な謝罪に、キョトンとしている。



「…どうしたんですか?謝られるような事はされていませんが。」




「いや…カリナをどうしても、侍女にといわれて。」



魔導士は、先程の宰相との会話のことだ、と話す。



「あんなの、王付きの侍女にされて、お手付きされるのが落ちだと思ったから、断った訳で…」



カリナは、何のことか釈然としない。



「???」



「決して悪く思っていたからではなく…」




魔導士は心苦しく、言い訳をする。




「宰相様が、わたしを褒めたので、ああ言われたんですよね。」




「……そう。」




「でしたらわたしは、あのくらいのお世辞で自惚れるほど、馬鹿ではないですよ。」



カリナはさも、当たり前といった調子で話す。



「王太子様、魔王様、立て続けに2人の男性に、捨てられたんですから、女性としての魅力が無いのは、十分わかってます。


わざわざ先生に、指摘されなくてもキチンと心得ているのでご安心下さい。」



カリナはそう言って、続ける。



「今さら、誰かの奥様になるなんて事はあり得ない訳ですし。

 

1日もはやく、魔法使いとして独立することが、今のわたしの目標ですよ。」



そう言うと、カリナは何事もなかったような様子だ。



しかし、ふと考えて少し寂しそうな表情を浮かべる。



『ほんとは……本当は、魔王様の役に立つすごい魔女になりたかったけど……』



もう、そんな事求められていないから、そう思うと胸が痛んだ。



そして魔導士カシウスには、何かグサリと刺されたような、後味の悪さだけが残った。


あとがき


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!!」


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