51話〜52話
51.章 魔王の想い出
─12年前。
─オルデウス邸。
夜更かしばかりする子供たちに、侍女はこんな話しをしてくれた。
「子供があんまり、夜更かしすると、
夜に、ねずみに攫われてしまいますよ。」
そう言って侍女は子供たちを怖がらせる。
妹のリリアはこう言った。
「お姉様なんか、ねずみに攫われればいいんだわ。
だってずっと夜更かしして、ご本を読んでいるんだもの。」
カリナは、全く怖くない。
むしろ、早くねずみに攫われてしまいたくて仕方がない。
ねずみに攫われれば、もうお父様に怒鳴られることも、妹たちが贔屓されているところも見なくてすむから。
─カリナ、4歳。
父親に怒鳴られ、倉庫に閉じ込められている。
「えーん、えーん」
《ガタッ!!》
「……だれ?!」
「うるさい子供だな」
「少し黙れ。」
「あなたダレ?」
「もしかして、ねずみさん」
「ねずみ?なんだそれ」
「姿見せて」
「我は今は、自由に動けるのが、エーテル体だけだ。見せられる実体は無い」
「グズっ……じゃ……幽霊さん?」
「違うと言っている!(ムカッ)」
「うっ……。うわーん!」
「わかった。……OKだ。ねずみの幽霊でいい」
「お前いつも泣かされてるな」
「わたしを知ってるの?」
「まあな」
「ねずみさんはカリナを攫っていくの?」
「我は、うるさい子供は必要ない。」
「えーん、えーん。カリナはどこにも行けないんだ……。もう死んでしまいたい………」
「分かった。攫って欲しいんだな。」
「…………ほんとう?」
「思うに…」
そう言ってカリナの頭を触るような、感覚があった。
「お前は、お前が思うより、弱くない。
思うより強くもないが、
だから、今は…一緒にいてやる。
もちろん、ずっとじゃない。
ずっとなんて、誰もお前にしてやれない。
いつかどうせ、人はひとりになる。
でも、お前はひとりで歩いていける。
迷子になったら、思い出すといい、
お前はひとりでも歩けるんだ。」
カリナはそこで、目をさます。
ねずみの幽霊さんの、夢をみたんだ…。
「魔王様…。」
そう呟くと、涙をぬぐった。
52.章 父親への手紙2
─拝啓、お父様。
お元気でしょうか。
わたしは今、魔法使いの弟子として、日々鍛練に明け暮れています。
お父様が上官の方を、とうとう殴ってしまったと言う、風の噂をききました。
指導教官の職に左遷されると、うかがいました。
お父様のご年齢で現場勤めは、御心労にたえないと思いますが、どうかお身体にお気をつけて。
わずかですが、お金を送ります。生活にお役立て下さい。
─カリナ•オルデウスより。
あとがき
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