46話
46.章 ビースト オブ ハーツ
船上に転移魔法の光だけを残し、魔導士は消えた。
「消えちゃった…」
そう言ってカリナは魔導士のいた空間を見ていた。
本格的な朝がやってくる。
朝焼けを見ながら、カリナは悲しみに耐えている。
「…ゔっ…っっ……」
涙がをいっぱいにためたカリナは、立っていられないほど憔悴しきっている。
魔王がカリナを支えると、彼女が思わず抱きついた。
「……!!」
カリナは、子供のようにいつまでも泣きつづける。
魔王は少し驚きながらも、カリナを受け止めるしかなかった。
「…ククル…ごめんなさい…ごめんなさい……」
『けっきょく、ククルに何もしてあげられなかった…。』
魔王は思うところがあって、苦しそうな表情を浮かべる。
「カリナ…お前が思うより、
お前は…弱くない。
でも、思うほど強くもない。
だから、今はそばにいてやる。
でも…ずっとじゃない。
ずっとなんて誰もお前にしてやれない。
いつかはひとりになる。
迷ったら思い出せ、
お前なら、ひとりでも大丈夫だ。」
カリナはその言葉を聞いてハッと気づいた。
それ、ねずみの幽霊さんと、同じセリフ…!
子供の頃から、
ずっと、ずっと励ましてくれた、
ねずみの幽霊さんは……、魔王様だったんだ。
カリナは魔王を、ぎゅっと抱きしめた。
『…………どうしよう……。』
『……魔王様のこと…ほんとうに…』
『……すき……になったみたい…』
カリナの心臓は、うるさいくらい、激しく鼓動している。
『魔王様……。』
胸に耳をピッタリとくっつける、、、
─無音。
………。
カリナはっとして尋ねる。
「魔王様の、心臓の鼓動がありません…。」
魔王はひどく苦しそうだ。
「心臓は…捨てたんだ。」
「我に期待しないでくれ。」
「愛とか、恋とかは、わからないんだ。」
「……。」
カリナはその言葉に絶句した。
「魔王様の心臓は……今どこにあるんでしょうか?」
「……わからない。」
カリナは、ある事を思い出す。
『グランドブック』
偉大なる書。─『グランドブック』になら……、書いてあるかも知れない。
この世の全てを、現在、過去、未来、すべての知識を網羅する、予言の書。
『………わたしが、取り戻す。魔王様の心臓…。』
朝靄の海をガレオン船は、進みゆく。
あとがき
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