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24話

24.章 やり返しかた



「一体、この瓦礫(がれき)の山は、どういう事態なの?」



そう言いながら、王太后メアリーがこちらにやって来る。



地面に倒れた、聖女ローレライを、カエルの礫死体(れきしたい)でもみるように見た。



「聖女というより、どうみても魔女ね」



「こんな女にたぶらかされて、カリナを断罪(だんざい)するなんて…」



「王太后メアリーさま!」



一部始終を見ていた、野次馬(やじうま)たちは、



急な王太后の登場に、驚きを隠せない。



どうやら、人が集まってきた。それを察し、魔王はスッと姿を消した。



「顔をみればどちらが、信用できるかわかるでしょうに。」



「わたくし、王太后メアリー•アルスラヌスの名に()いて、カリナ•オルデウスにかけられた、冤罪(えんざい)を解きます!」



王太后メアリーは高らかに宣言する。



「王太后メアリー、この国の国母(こくぼ)として、わたくしは、未だ多くの国民に(した)われています。そして私が、まだこの国の主人のはずです。」



国王も王太子リアルも、この現場に連れてこられていた。



「王太子リアル、お前は王位継承権の剥奪(はくだつ)を命じます。


しかるのち、弟のリアムが王位を継ぐでしょう。」



そう言われた、王太子リアルは、ガックリとうなだれた。



「クソっ…」



そう言って(こぶし)をにぎった。



「それから、」



国王はぎくりとする。



「今まで、国王に預けていた、さまざまな、権威(けんい)は全て、一旦(いったん)わたくしに返していただきます。」



国王はそう言い渡されると、うなだれた。



そして、王太后メアリーはカリナに向き直る。



「カリナ、貴女にとても酷いことをしてしまいましたね。この国の王太后として謝らせて下さい。


この事態は、私の招いたもの。散財で国庫を枯渇(こかつ)させてしまった私の罪なのです。」



そう言って、カリナに謝罪した。



「ホントに後悔し尽くせないわ。とても弟の王太子に嫁いでくれとは、言えません。


でも貴女にも色々な事情があると思うけど、それらはこの国の王太后として全ての障害から守ります。


ですから、この国に末永く(とど)まっていただくことは出来ないかしら?」



カリナは首を振ると、申し訳無さそうに答えた。



「ごめんなさい。わたしは出て行きます。」



「そうですね。そう言うと思っていました。」



「わたくしは、また大事な人を失うのね。」



そして、カリナは気になっていた事を尋ねた。



「聖女ローレライはこれから、どうなるのですか?」



「この女の悪事はあとあと、調査して明らかにします。どうも3年前、養女になった素性(すじょう)の知れぬ、女のようです。」



「引き留めたく無いので、カリナこの辺でお別れをするわ。


わたくしと、お友達になってくれてありがとう。


貴女のような素晴らしい友は、もうこれから…老い先短い、わたくしには、現れないかもしれないわね。」



カリナも王太后メアリーと、別れの挨拶をした。もう会えない、別離(べつり)(じょう)として2人はハグをして別れた。



後ろ髪をひかれつつ、カリナは魔王の待つ、街外れへ向かう。



本当に、約束の場所に…、魔王様はいるのだろうか?



『どうしよう…。』



カリナは急に不安になり、足早に向かう。



『…魔王様…わたしを置いていかないで…。



ひとりにしないで…



お願い…。』



カリナの息は上がり、髪は乱れ、街外(まちはず)れに続く小道を、一心に駆けていく。



街外(まちはず)れの小高い丘に、一本の木が立っている。


その下に、魔王は腕を組みつつ、カリナを待っていた。



一羽の白い鳩がふたりの後を追い、蒼穹(そうきゅう)の空に消えた。

 


あとがき


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!!」


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― 新着の感想 ―
24章の褒めント  メアリーの一言『どうみても魔女』という言葉は率直な言葉かもしれないが、前の話では魔王のことをしっていたので、もしかしたら魔女にされたのではないかと思いました。魔女にされた者同士での…
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