表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/66

20話

20.章 意外な人物




─聖女。



数千年に一度、現世に現れるとされる、奇跡の乙女(おとめ)。その治癒の祈りにより万病(まんびょう)を癒し、時に人を蘇生(そせい)させる。また、あらゆる奇跡をおこすともいわれている。




東スタン通の外れ、ドブ川のような、川にへばりつくように、東スラム街がある。


そこは、汚水と瓦礫(がれき)に囲まれた、悪臭漂う、貧民窟(ひんみんくつ)だった。



まさか自分が、こんな所に足を踏み入れるなんて、カリナは夢にも思っていなかった。



カリナは、信頼している従者(じゅうしゃ)から、例の行商人の女がここらへんでうろついていた、という情報をつかんでいた。



カリナと従者は、何時間か(ねば)った後、



この、スラムの街で、薬草を売ってくれた、行商人の老婆を見つけることに成功した。

 


『早く、薬草の自生している場所を聞き出し、王太后様に解毒薬をお届けしなくては…!』



「そこの行商人の女!待ちなさい…!」



逃げ出す行商人の女を従者は苦労して、捕まえてくれた。



「ちくしょう。なんだって、足がついちまったんだ!あの女は絶対、捕まらないって言っていたのによ!」



行商人の女は激しく暴れて、従者を手こずらせる。



「あなたを、どうこうしたいんじゃないのよ!


ただ薬草の生えてる場所が知りたいだけ」



「ふん!信じないね。」



「『あの女』みたいな、身なりのいいアンタに何がわかる。淑女(しゅくじょ)さまとやらは、アタイたちとは、人間の出来が違うんだろ。いつでも手が切れると思って、馬鹿にして!」



「あの女?……一体、どういう事?」



カリナは少し思案して、穏やかに答えた。



「おとなしく聞かせてくれたら、悪いようにはしないわ」



そしてチラリと行商人の女をみた。



「例えば、お金とか。」



行商人の女は、とたんに、小狡い薄笑いを浮かべる。



「金…。話がわかるじやないか。」



女に金品を渡すと、やけに素直になり。いやむしろ饒舌(じょうぜつ)に、詳細(しょうさい)を話し始めた。



「なに、簡単な話さ。お嬢様、アンタにあの薬草を売りつけて欲しいって、そう頼まれただけさ。どんな、病にも効くってね。」



なおも、『その女』の計画とやらを問いただすと、意外なほどあっさりと、吐いた。



「ほら、これが指示書だよ。アンタの屋敷の地図、召使の名前から性格。なんでも書いてあったよ」



「その女の名前は?!」



「それは、金、次第さ。」



「渡すわ。」



老女は、にやにやと、喜んだ。



「実は『女』は名前を…。あの女、素直に名を名乗りやがらなかった。


でも、アタイは馬鹿じゃない。あの女の財布をちょっぴり、失敬してやったよ。


そしたらどうだい、この薬草の伝票に『その女』のサインがしっかり入っていたのさ。」



「ほら、見てごらんよ。」



手渡された、伝票にカリナは目を落とす。



「…まさか…!」



そこにはカリナにとって、意外な人物の名前が書かれていた。


あとがき


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!!」


と思ったら


作品下にある★から、作品の応援お願いいたします。


《お気に入り》をいただけると、大変励みになります。


面白くても、つまらなくても、正直に感じた気持ちを《コメント》していただけると、今後につながってありがたいです。


誤字脱字ありましたら、教えていただけると大変ありがたいです。


《しおり》もいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
20章の褒めント  サブタイトルにある意外な人物は一体だれを出すのか。薬草を売っていた老婆の本当の姿か、それとも一エピソード前にあった女の子か、それともカリナ自身が裏切ったのか。  真相は次回まで待て…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ