表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

二十七歳はおばさんですか、、

作者: あい

 由香、27歳、女、若年層向けの服屋の店員。

 

 由香は口をとがらせた。

 まったくもって幼稚な行為だ。

 でもここは自分の部屋。誰もいないし良いだろう。

 スマホのプ残りのロフィール記入欄に頭をひねる。



 趣味は……なんて書けば男受けするだろう。

 買い物?

 服買って、アクセ買って、なんて浅ましい女に見られるか?

 パフェめぐり。

 一見可愛らしいが……。おごってほしいと取られるか?甘党はつれないか。


 窓からカタリと音がした。

 同時にふわりと風が吹いた。

 外の少しひんやりとした空気が入ってくる。


 由香が窓を見ると、そこにはネズミがいた。

 

 ネズミは害獣である。

 家屋や食料を食い荒らす。

 昔ながらの木造家屋に住む由香は、迷いなくスリッパを脱ぎ手に握った。

 

 きゃあ、なんて言って怖がる年はとうに終わっている。じりじりとネズミににじり寄ると、ネズミがたまらず声をあげた。


「ちょっと!!

可愛い僕にひどくない!?

僕は君と世界を救いに来たんだよ!?」

 ネズミは金切り声をあげた。

 由香は半目になる。


 ネズミが喋った??

 よくみればこのネズミ、白と茶色の毛並みで愛玩用にも見えなくはない。

 しかし尻尾は長い。

 由香は胡乱な目つきになり、スリッパを握る手に力がこもる。

 ネズミは自身の危機を察してか身震いをした。

「みて!尻尾、ハート型でしょう!?

こんなん普通のネズミじゃないよね!?」

 振り下ろされないスリッパを見て、ネズミはわめいた。

 言われてみれば、長い尻尾は豚の尻尾のようにくるりと一周輪を描いていて、それはよくみればハートに見えないこともないが、歪だ。

「君は神に選ばれた戦士なんだよ!?」

「神って誰だよ。どこにいるんだよ。

ねぇ、それってつまりはさ、

ただで労働しろってこと??」

 ネズミは、後ろを向いてひとりごちる。

「うわー、擦れてる!。これだから年増は……」

「おい、聞こえてんぞ。そんな年増に依頼に来てる奴は誰だよ」

「少子化なんだよ。なり手が足りないんだよ」

「うわー。急に現実的……」


「もう、とにかく時間もない。変身するよ!」

ネズミは、手を振り上げた。


 由香の体が淡い色に包まれる。

 上下ともにゆるいゆるっとしたラインの部屋着が形を変える。

由香は目を瞬かせた。

 体にピッタリとした、いや食い込むようなキツさ。

 全てが異様に窮屈で短い。胸は半分丸出しだし、短パンからはおしりは半分でている。黒を基調にしており、レザーのような素材の部分もあるが、レースや網タイツのような素材もふんだんに使われており、露出度満点だ。覆う面積が水着のようだ。

 ひざ丈までのヒールの高いブーツに、黒いひじまである手袋。

 そして片手には長い黒い棒を持っていた。

 これではまるで……


「似合うじゃないか!」

目を輝かせるネズミに、由香の拳が炸裂した。

「このエロネズミが!!」


「私は変態か!?」

「一番君に合うものを選んだのだけど…」

「どういう意味だよ!?場合によってはもう一発だ」


 ネズミはおお怖い、と震えてみせた。



 





 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ