四十二 松本軍団VSヒューゴ軍団
「教えておく。今後はエイジをないがしろにするな。金塊は日本の鬼が隠している。念だけでうろつく俺が気に入らないみたいだ」
デモニオがささやく。
「影添の巫女は冥界へ逃げた。そこでハカは巫女から逃げた。……松本にもまた逃げられた。ああ、魄の仕業だ!」
怒鳴り声に変わる。
「俺は俺様のはずなのに何かがおかしい。俺はこの争いから降りたいのに降りられない。なので人質を使うぜ。そして明日の朝、必ず俺様を復活させろ」
匂いがした。デモニオ・アドラドは今夜終わるかも。
人質とは思玲だろう。どこにいる?
大蔵司は冥界にいる模様。それだけで何かにつけ安心。今夜だけは不要だ。
「ドロシー様は術に嵌まる時間が長すぎです。邪な術でないので祓えませんし、二人から離れるべきでは? ……哲人様が心配でないのですか? 私だけでもあの方のもとへ送るべきです」
……ハーブから邪悪な腹積もりを感じてしまった。
「へへへ、暑くなってきた。脱いじゃおイエーイ」
「あら? 馬がいなくなった途端サンド」
視覚が暗転した。
ニョロ子はドロシーの脱衣シーンを俺と史乃に見せたあと、サンドの登場で退避したようだ。新月の赤い飛び蛇は崇められた魔神やペガサスさえ覗ける存在。どんな敵も味方も丸裸にされる。
この子がいる陣営相手に、俺達はよくぞ生き延びたな。そりゃ面従腹背だったとしても、新月の極みには大蛇になったし。横根の結界に跳ね返される程度だから隠密のままのがよさげだけど。
「ドロシーはいい体してたんだ。そりゃ痩せてはないけど……ダンスも自己流なのに釘付けさせる。どれも私よりずっと……」
たしかに火伏せの護符は、ブラがなくても横向きならギリ挟まっていた。すごいよドロシー。なおもどんどん成長していく。
そして史乃は日本へ戻ってくるなり、またも香港出身ミレニアムな存在に完膚なきまで打ちのめされた。
「ニョロ子はハカ達を探しに向かったかな。なんで姿を現さないのだろ」
「ふふ、話題そらさなくていいって。こっちは松本に太った体を見せたくないんだよ。もう全然スリムなのに、JKみたいに気にしている」
俺は女子高生になったニョロ子を見ている。清純な顔して今のドロシーよりセックス的アピールに満ちていた。だけど陰辜諸の杖はジェラシードロシーが持っている。二度と忍を見ることはないだろう。
史乃にしても四川省でクーリングオフを済ましたようで、俺の呼び方が哲人から松本に戻っている。あれだけ威嚇されたらそうだろうな。俺だって(五日は体を洗っていない匂いは関係なく)史乃と関係を持とうと思わない。ドロシーの嫉妬深さを散々見せられたから。
でもかわいい横顔。整い系のドロシーや大蔵司とちがう愛嬌系。治験メイクもしてないし、今夜はずいぶんワイルド。……つまり異形を引き寄せるのか。みずからが餌状態。
「なに?」
俺の目線に気づいてくすり笑うのが史乃。……再会のキスぐらいなら。五日間歯を磨いていなかろうと。
背後でリバースパンダが俺を睨んでいる。
「こいつはパンダ軍団総帥の灭灭。繁体字だと滅滅。異形パンダ達が、こいつを連れていってくれたら人の世界に危害を及ぼさず平和に過ごすと言うので、仕方なく式神にした。ミエミエは反転という役に立つ能力を持つから、まっいいかって感じで」
人望なき独裁者って感じか。たしかに目のまわりだけ白くて邪悪系の面構え。
「反転って?」
「ミエミエしてみせて」
「御意」
おおー、白黒が反転して普通のパンダになった。人の目に見えたら和歌山に貸しだせたのに。
ミエミエが忌むべき四川弁を飛ばしてきた。
「ちなみに私は戦いを重ねて気づけば丸茂様推しだ。ニョロ子より香香よりもだ。松本はさっきの視覚の白パンツ一丁で我慢してくれ」
飛び蛇とパンダと人を同等に評するのは公平からではないだろう。だったら追放されなかった。
……服を脱ぐほど浮かれているドロシーなら、ルビーは安全だな。だけど楊偉天は二人を説得に向かったらしい。二人とはおそらくドロシーと……ルビーかな、味方になれと。大蔵司の説得に向かったら空間ごとねじられて消滅する……。
ドロシーを説得って何だよ。このまま朝まで人の世界に置いてあげればいいのに。そしたら俺も戦いが始まるまでは、史乃との再会を寡黙な翼竜の上で――
東の空が紅色に染まった。朝には早すぎる……。
楊偉天の魄め。やはりドロシーを戦いへ連れ戻しやがった。不夜会に任せておけばよいのに。
「始まったね」
史乃の手に風神の剣が現れる。「殲、結界を消して。おそらくすぐに現れる」
「ニョロ子の帰還を待てよ」
「あの子さえ上回りそうな猫がいるから苦戦したのだよね」
史乃が剣を斜にかまえる。「必要なのは愚鈍なまでの正攻法と愚直なまでの追跡。巨光環!」
風が飛び込んでくるなり青白く輝く巨大ベーゴマが飛びだしていく。
結界がなくなれば、俺は夜空でツルツル鱗の上にいるのを再認識。
「ひえええ、落ちる。殲殿、張り直して下され」
ミエミエもみたい。
「ヒヒヒ……」
しかもハカの笑い声が背後からした。
「ちっ」史乃が振りかえる。「巨光環! きゃあ!」
かわいい悲鳴に俺も振りかえれば、巨大ベーゴマが赤黒いトリプルビームに飲みこまれるところだった。
「ふん!」殲が力を込める。赤黒ビームが跳ね返される。「丸茂は白猫に出し抜かれるじゃねえ! 俺にまで当たるだろ」
「へへ、たしかに愚かだ。だから私に任せてほしい」
一年前の髪型のドロシーが中途半端な自信を浮かべて俺を見つめていた。まだ夏奈の存在を気にしていた頃……。
「いまよりかわいくね? 十八と十九の差か」
尻もちついていた史乃が立ち上がる。「この視覚の意味はドロシーに頼れって意味かな」
女子の年齢比較妬み蔑みコメントは苦手。いまのが綺麗だろなんて言ったら亀裂が走る。
「お前らは間抜けか? ニョロ蛇に決まってるだろ」
十七歳ぐらいの思玲がにらんでくる。
「……むかつく女だけど強そう。ニョロ子に任せるってことか」
「ニョロ子にしてもちょっと曖昧だったよ。……あらたな情報は?」
主へ姿を見せない照れ屋の式神に聞く。
奴らの聴覚が聞こえてきた。
「私は魄に捕らえられ人形にされました。このまま主のもとへ戻ろうと、功名を得てからでないと、アンヘラ様は私を信じないでしょう」
「つまりサンドは僕らと一緒に松本を倒すんだニャ? 僕らだって信じていいものなのか」
しわがれ声は新月のサンド。語尾がニャは白猫ヒューゴか。わざとだろ。俺は亀になってもカメカメつかなかった。
「そのために魔女からこれを奪いました。……陽から陰へ戻ってくれたおかげで」
「茶色い扇を私に? うわ、癖強そう。しかもヤバメかも」
この声は人になったドイメ。
「ヒューゴ様は念じながらお試しください。あなた様ならば現れるかもしれません。毛玉を吐く要領です」
「杖のことか? やってみる。オロロロロ……出てきた。サンドサンキュー」
「ヒヒヒ、あとはあの杖があれば我が主は人に戻れまっせ」
当然サソリもいるよな。
「おいハカ。巫女は持ってなかった。つまり魔女だ。あきらめろ」
げげ、この声は。
「げ、新月でも冥界送りしかできないデモニオ・アドラド」
「ヒューゴ、生意気な口を叩くな。俺様が今夜実体を取り戻したら誰よりも強い。念だけだろうと今夜冥界へ行けば……影添の巫女がいなければ無敵だ。あれをこっちへ呼べ。代わりに俺が蟻地獄になってやる」
いまは大蔵司が落ちてくるものを待ち構える蟻地獄か。彼女がそれを思いつくはずないから、入れ知恵は楊偉天だろう。
「ふーん。代わりに魔女がすぐに向かいそうだけどね。サンドはどう思うニャ?」
「わざわざ大蔵司京を連れだす必要ありません。デモニオ・アドラドは冥界から王思玲を運びだしたいだけ」
「蛇。気づいていようと口にするな」
「ふ。たしかに松本の式神に若い雌蛇がおります。隠密の力に優れておりますが、ご心配なく。私がいれば利き耳を立てることは不可能です。見つけ次第、我が毒牙で切り裂きましょう」
「ふうん……、さっきから覗かれている気がするけど。その蛇でないのかニャ? サンドのすぐ後――」
あっちのが強そうと感じるのは気のせいだろう。二軍にしてはそこそこだが、ドロシーや魏さん相手の公式戦には出場登録されないレベル。だから俺達の相手だろう。
だがキーマンならぬキースネークではニョロ子が圧勝している。白猫には気づかれようと。
……俺は冥界へ行きたくない。誰かがメッセンジャーとなり、大蔵司へ思玲がそこにいることを伝えないと。二人の繋がりなら出会えるはず。でもニョロ子も冥界だけは行き来できないしな。
ドイメが驚蟄扇をもち、猫が杖をくわえているのも事前に知っておけた。……ハーブはドロシーのもとへ戻っただろうな。殲は乗り物と防御壁以外する気はなさげ。でも俺達にはもう一人強い味方がいる。もしかしたらルビーを連れてきてくれるかも。
「マッハ2.2で姿隠ししていれば敵に捕捉される心配ないけど、松本どうする? ……そうだった。まだ穢れているけど渡しておく」
史乃の手には黒ずんだ小石……。お稲荷さんの護符。
「ドロシーなら復活できるんだよね?」
「どうだろう。でも頼んでみる」
「ふふ、そしたらそのまま松本が――」
史乃の目がハンターになった。「やあ!」
剣を突く。
「きょきょ!」
赤い蛇が現れた。俺の首へ守るように絡まる。
「ふっ、一体だけ」サンドの声が遠のく。
えーと。
・サンドが殲の結界内に侵入した。やはりニョロ子クラス
・でも史乃もニョロ子も気づけた
・痩せたというのは女子特有の言い回しで、俺の首にいる蛇はツチノコ体型
・一体だけサンドに噛まれたらしい
「う、無念……」
パンダが仰向けに倒れる。霞んでいく。言っちゃ悪いが何をしに現れた?
「……反転」
ミエミエが立ち上がり腕を組む。模様も反転……。
「難敵でしょ。私とニョロ子でも時間がかかった理由がわかった?」
史乃がくすり笑う。警戒は解いていない。
「ああ……。ニョロ子ありがとう。いまの姿のがかわいいよ(蛇そのまんまよりは漫画体型)。それと、俺は魔人だから毒を喰らっても死なない」
「へへ、生き返ったら」ドロシーの声の聴覚だ。「すぐに死ぬぞ」幼い思玲の声が続く。
心臓が動きだすなり毒死か。大蔵司みたいなシチュエになるところだった。
俺も天宮の護符を常に手にしよう、ってポケットに無いではないか! ……落とすはずない。奪われた?
今度は西の空が紅くなった。あれは白虎を苦しめたお天宮さんの紅……。俺の代わりにドロシーのもとへ向かってくれたのか。
金色も朱色も紅色にかき消されている。梓群が負けるはずないけど、アンヘラが屈するはずない。でもはやく逃げろよ。ドロシーを本気に追い込むな。
「猫を倒さないとどうにもならん。丸茂はパンダをおとりに外で戦え。武器のない松本は結界を二重にしてやる」
殲が苛立った声をだすが、恋人は戦っている。ニョロ子は忙しくもういない。そもそも猫は人だ。
「俺が餌になるよ。そしてヒューゴを捕らえる」
「くす、惚れなおさせないでよ」
史乃が俺へと笑う。「もうちょっと待って。きっと来てくれる――来る! 巨光環!」
結界内での蹂躙する大技!
「ぎひー! ぎひー!」
殲の鱗を何度もえぐった!
巨大ベーゴマが結界でバウンドし俺へと向きを変えた……。
「きゃー」
悲鳴をあげながら安全圏である史乃に抱きつく。
汗と垢の積み重なった戦いの匂い……。首が転がり溶けて消えたぞ。
「反転!」
巨光環の直撃食らった胴だけのパンダが立ちあがる。頭がタケノコのように生えてきた。
「私は首を落とされようと反転できる」
首から上だけノーマルパンダ柄で、更に異なる世界へ紛れ込んだよう。
「殲もミエミエも悪かった。でもハカの尻尾のさきっちょを切り落とせた。……どうせ回復するか」
「俺は回復しないぜ……」
殲が墜落していく。「パンダ、食われたくなければ俺にも反転をかけろ」
「詮方なし。反転!」
黒い血を噴出させる鱗肌が復活する……ミエミエやばすぎないか? 結界内に出没するハカの尻尾は更にやばいだろ。
新月のハカはハーブのマーキングを奪っている。それと殲が重なった瞬間に出没するのかも……そんな大量にマーキングがあるはずない。大井競馬場やアメ横手前にあっても京浜東北線急行停車駅になかった。広い東京湾で3Dに重なる偶然は、ハワイとタヒチが身延線甲斐上野駅で鉢合わせる確率より低い。
ならば全て白猫の勘。それに従えられるチームワークか。
ハカの尾は結界を破れるなら護りの意味が薄い。ペガサスの加護も破ったし……それでも一軍半レベルだろうな。ドロシーに真っ先に消される存在。
「先の先を取られるなら地面で待ちかまえよう。伊豆七島に果たし合いに使えそうな無人島がある」
「東京湾から出たら奴らは追ってこないよ。アンヘラと合流される」
俺は史乃の案に反論する。軍師の如き忍がほしい。ニョロ子の視覚経由の献策はパズルみたいで難しい。
「弱いお前らは逃げるべきだろ。俺はお前らを降ろして魏様に合流するぜ。どうも四大天王が、しこたまやられたみたいだ」
ドロシーがいても苦戦? キーウィは無事だろうか。
殲は不夜会の式神。俺達に付きあい続ける筋合いはない――
「あ、ニョロ子ちゃん帰ってきたんだ」
ドロシーが夜空に一人ぽつんと浮かんでいた。七葉扇と天宮の護符を手にしている。
「哲人さんに伝えて。魏は不夜会を裏切りアンヘラと組んだ。朱雀は裏切ってない。……しばらくニョロ子ちゃんは来ないほうがいい。そろそろ大技が飛び交うし、どうせあの二人組には近寄れないでしょ」
首肯したように視覚が縦に揺れる。
「へへ。じゃあねダーリン頑張ってね。マーキングじゃないから逃げないでね。チュッ」
投げキスとともに暗転する……。魏さんが裏切った? 金塊に目がくらむように思えないけど……、非常階段で魔人である俺を(更に)殺そうとしたな。やはりあれはジョークでなかった。
「上海に背中を撃たれなくて済んだね。……めっちゃ綺麗だったけどさ、なんで笑えるの? 浮かんでるの? ……一人でいられるの?」
魔女だから。誰もがそう答えるだろう。史乃だって口にだせないだけだろう。
でも違う。絶対的な自信があるだけ。
「(激情すると勝手に浮いてしまうのを誤魔化す意味もあり)飛竜の靴下を履いているから。足蒸れはしないらしい」
史乃の疑問に半分だけ答えて。「ニョロ子はありがとう。だいたい把握できた」
つまりドロシーは一人でない。じきに朱雀が彼女の式神になる。
「ハーブは?」
俺の問いにニョロ子が首を横に振る。「探しましょうか?」と知らぬ人の声を飛ばしてくるけど、今度は俺が首を横に振る。
「放置しよう。あとでニョロ子に何があったか教えてあげる」
俺への一方的殺意を持っていようと、史乃といれば襲ってこない。彼女まで巻き込むというなら、それは邪悪だ。
「私には教えてくれないんだ」
「もちろん伝えるよ。あとでね」
でもその気はない。黒い馬を教えたら史乃も晴れてターゲットになる。そして即死。……でもお稲荷さんの小石。でも新月。
「どっちにしろ俺は松本達とお別れだ。大姐とデニー様に報告する責任がある」
殲が高度を下げていく。「あの人工島におろす。陸に近いから泳いで帰れるだろ」
東京湾が狭まった海域の千葉県寄りに小島がふたつ見えた。殲は陸寄りの島を目指す。
「第一海堡か。一度行ってみたかった」
史乃がくすっと笑う。「そこで迎え撃とう。大丈夫そろそろ来てくれる」
「魄が?」
来てくれなければ、俺達は旧帝国陸軍首都防衛拠点である海上要塞跡地で終わるかも。
着地の衝撃が伝わり殲が羽根を畳んだ。降りたくない。どうせ待ち構えられている。でも結界が消えた。
「巨光環! 巨光環! 巨光環! とお!」
史乃が乱発のあと飛び降りた。
「待って」
彼女と接していないと巨大ベーゴマに蹂躙される。
「ぎゃあ」やはり離れた場所へ降りたパンダが蹂躙された。「は、反転」
すげえ。四肢がもげても即座に回復。
俺が史乃の隣へ降りるなり、殲の巨体が消える。マッハ2.2で去っただろう。波の音がちゃぽんちゃぽん。
「ミエミエの身を挺した陽動のおかげで無事着陸」
史乃が中腰になり剣を構える。「怖いのはハカのビーム。狭い島では避けようがない」
俺は頭上を見る。赤黒いトリプルビームが発射直前だった。
「防空壕!」史乃の手を引く。あるはず。無ければ死ぬ。
人工のでかい穴に飛び込む。やはりあった。そこから続く円状のトンネルへ逃げる。
「死ぬほど照らせ!」
「わあ」
「きゃっ」
いきなりの白い光に網膜が焼けた。
「反転」
ミエミエの声とともに回復する。白い光はまだ照らしている……。
ミャー
鳴き声がした。
白猫が小振りな杖をくわえていた。顔の前でイニシャルをなぞる。D……deathのD?
「反転!」
「へえ。誰も死なないんだ。かわいくて残飯ぐらいいい香りの子は、強いアミュレットのおかげか。松本は……すでに死んでる? やるね」
猫はコンクリートの上でニヤついている。
「人をやめた異形が喋るな。とあ!」
史乃が斬撃を飛ばす。……やめろよ。いきなり殺意。でも猫の前で弾き飛ぶ。
「BarrierのBだよ。ではデモニオさんは厄介な黒熊を冥界へ送ってニャー。ハカは空でさぼるな、小さくなってこっちへ来い。ガラガラ爺さんは汚名返上のため必死にコーンスネークギャルを牽制。こいつらはハカと僕とドイメで充分すぎるニャニャニャ」
奥から白いワンピースの少女が出てきた。ちょこんとカーテシーする。
「巨光――なんで?」
史乃は俺の隣で剣を構えたまま固まっている。
ドイメはそれを見て、杖をくわえた猫へ微笑む。その手に土色の東洋の扇が広がりながら現れる。
「耀光舞!」
俺達へ突きだす。
次章「1.3-tune」
次回「小島の蛍とたわむる」