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第20話『新たな相棒』

 パウルに回復魔法を掛けてもらい、馬車に揺られてディアドラ邸へと戻る道中。

 なんだか会話するのも久しぶりな気がしてきた。



「まずはお疲れ!ひとつ忠告しとくぜ。回復魔法を使ってもよ、パパッと治るわけじゃねぇ。所詮は人間の治癒力を増幅させる程度のもんだ。無茶の代償はデケェってな」


「いつも悪いな、パウル。その理屈だと欠損とかは無理か?」


「ま、基本はそうだな。完治はするが今回の傷は残るぜ。特に右腕の火傷跡だな」


「そっか。この傷は教訓にしとくよ。アーデ、俺のスキルの事なんだけど」


「その前に。……ごめんね、テオ」



 俺は首を傾げる。

 ケネス卿に掛け合って俺を迎えに来てくれたんだ、感謝する以外にないだろう。



「アンタを一人で行かせたことよ。お父様を無視してでも一緒に行くべきだった」


「や、いいよ。元はと言えば俺が原因だし。スキルも発現したんだから御の字さ。それに、無理言って迎えに来てくれたんだろ?ありがとう」


「アーデから聞いた時は俺も焦ったさ。ケネス様も手荒い事をなさる」



 ため息と共に吐き出すイツカ。


 俺はさっき死にかけた事なんか忘れて、久しぶりの談笑を楽しんだ。



 ◇



「まずはご苦労。スキルが発現した様で何よりだ」


「ありがとうございます。首はこちらに」



 ディアドラ邸へと戻った俺たちは、ケネス卿に報告すべく執務室へやってきていた。


 グランデルの首を部屋に持ち込むって結構気が引けるんだが、ケネス卿は特に気にしていないみたいだ。



「うむ、確かに。奴は何と?」



 俺は伝えるべきか少し迷ったが、正直に報告することにした。



「……パトリシア、と一言だけ」



 その言葉を聞くなり、例のデスクの仕草が始まった。面倒ごとの予感だ。



「下がってよし、暫く休め。報酬は帰りに受け取れ。アーデルハイトは残るように」



 ケネス卿の言葉で、アーデ以外の面々は退室を許された。

 今日だけは、必要最低限しか話さないケネス卿が理想の上司に見えなくもない。


 死ぬほど疲れてる時に長々と演説されるなんてたまったもんじゃない。


 ただ、アーデへの用件が気になるところではある。まあ、これに関しては俺が考えたところでどうしようもないんだが。


 壊れた剣に関してはまた明日考えよう。こういう時はさっさと休むに限る。


 俺は安宿へ戻ると、泥のように眠った。



 ◇



 なんと、俺が目覚めたのは三日後のことだった。それほど酷い傷だったのだろうか?


 すっかり凝り固まった身体をほぐし、ロビーでパウルとくっちゃべる。



「結局何だったんだ?お前のスキル」


「……さぁ?腕が燃えるだけだと思うぞ?」


「お前なぁ……」



 そう言われても困る。他の異能持ちってどうしてるんだろ?



「そういう時は鑑定用の水晶を使うんだ。異能持ち自体少ないから、ギルドか貴族くらいしか持ってないと思うけどな。ケネス様なら使わせてくれるんじゃないか?」



 いつの間にかイツカもやってきていたようだ。ケネス卿かぁ……。

 

 俺たちは相談の結果、ギルドでスキルを調べることに決めた。


 どうやら俺たちが貴族付きのパーティになったという噂は広がっていたようで、ギルドへ入った瞬間から、関係者たちからの冷たい視線が刺さる。


 その視線に気まずさを覚えながらも、受付に案内されて鑑定してもらった。




「テオ。……これは」


 結果を見て唖然とするイツカ。それもそのはず。



『スキル:赤熱』

『能力:触れたものを加熱する』



 よ、弱い……。

 加熱ってさぁ、もっと言い方あるじゃん?



「あー、戦いには使えるんだろ?あんま気にすんなよ!保持者自体少ないんだしよ?」



 俺の表情から悟ったのか、慰めてくれるパウル。その言葉はさらに俺を傷つけた。



「触る対象がない場合に腕が燃えるのかな?どの道微妙だな……。さすがにクビとかないよな?」


「心配しすぎだ、テオ。この間だってそんな話出なかったろ?大丈夫さ」


「とにかく、さっさと使いこなせるようにはしとかねぇとな。制約とかあんのか?」



 俺は二人の言葉を受けて考える。



「……ゾゾゾーッ」


「「は?」」


「待てって!ふざけてる訳じゃない。多分魔力だ」



 おそらく間違いない。魔力操作で感じた熱と右手の炎は、同一の感覚だった。


 スキルが発現していない状態だったから、媒介とする魔力の操作も上手くいかなかった。

 そう考えると納得できる。



「オーケー、魔力だな。ならちょうど良い」


「ちょうど良いって?」


「武器だよ、武器。壊れちまったんだろ?」



 ニヤつくパウルに押され、武器を新調することになった。



 ◇



 武器屋へやってきた三人。先頭を行くパウルがずんずんと店内を進んでいく。



「あったぜ。コレよ、コレ!」



 見せつけるようにずずい、と出されたものに俺とイツカは目を白黒させる。



「……ミスリルソード?」


「ああ。魔力を通すならコイツ一択じゃねぇか?」



 パウルの言葉にようやく合点がいく。

 この世界に存在する鉱石、ミスリル。


 聞くに、魔力の伝導率が他の鉱石よりも頭ひとつ抜きん出ているのだとか。


 確かに魔力を媒介する俺のスキルにぴったりだ。


 試しに店外で振ってみると、思いのほかしっくりと来る。


「よし、コレにしよう」


 ケネス卿からの報酬もある事だし、いま買ってしまおう。

 いつまでも丸腰ってのも落ち着かないだろうしな。



 かくして俺は、スキルの詳細と新たな相棒を手に入れたのだった。


 ……アーデ、屋敷に篭ってるみたいだけど何してるんだろう?

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