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第10話『愛の戦士』

 俺たちは二体目のエルダーゴーレムに追い回されていた。石切場は広大で、仲良く鬼ごっこをするには十分だ。冗談じゃない、最悪の状況だ。


「なんでもう一匹いるんだよ!!」


 必死に逃げつつも文句を言わずにはいられない。疲れ切った体に鞭打って、無理やり地面を蹴る。

 並走するアーデは強いショックを受けたのか、さっきから独り言が止まらない。騒がしい足音の中でも彼女のぶつぶつ声は目立った。


「俺が思うに、倒した奴の()()()だな。愛する妻を奪われて怒りに目覚めた愛の戦士ってところか」


 冷静に分析しながら走るイツカ。ゴーレムってそんなに情緒豊かなのか!?なんだか俺たちが悪者みたいだな。結婚したばかりだったのに!とかって責められたら自己嫌悪になりそうだ。


「今アイツを倒しちまえば、両親を亡くした哀れな子ゴーレムは路頭に迷うんだぜ……?そしたら引き取って育てような。俺たちに出来る償いはそれくらいってもんよ」


「飼えるわけないだろ!そもそもどうやって倒すんだよ!」


 思考回路が暴走したパウルに突っ込む。子持ち設定を追加するんじゃねえ!あと飼おうとすんな。却下だ却下。誰が面倒見るんだ?元いた場所に返してきなさい。


 正直言って、ヘロヘロの俺たちにはこれ以上打つ手がない。そもそもバフっていうのは身体能力の前借りだ。

 相手がエルダーゴーレム一体だと思ったからバフを盛りに盛ったのであって、二体目の事なんか想定していない。俺とイツカの体は身体強化の反動を受けてガタガタだった。これ以上は戦えない。


 バッファーのパウルと火力担当のアーデだってあれだけ魔法を使ったんだ、当然魔力切れだ。さらに悲しいことに、この世界には魔力回復用のアイテムなんて都合の良いものは存在しない!いくらなんでもハード過ぎるだろこの異世界!


「詰みだな。このままマラソンを続けてれば友情が芽生えるかもしれない。拳で語り合う関係ってヤツさ。それに賭けよう」


 唯一冷静だと思ってたのに。おしまいだ、イツカまでおかしくなってしまった。いや、よくよく考えたら愛の戦士が何とかって言い始めた時点でおかしくなってたな?


『アオォォオオオン!!!』


 うるせえ!今は取り込み中なんだ。少しでいいから黙ってほしい。

 それとも、本当に家族を失った悲しみに悶える声なのか?お前は子供のことを思って涙を流す、言葉通りの悲しきモンスターだったのか……?なんだか俺も混乱してきた。



 ◇



 イツカとパウルがパニック状態になってしまった。どうやら俺の頭までおかしくなり始めたらしい。


「———えよ——主たる——示さ——」


 うわ言を続けるアーデ。何とも痛ましい姿だ。けどもう大丈夫!もうすぐゴーレムさんとの友情が芽生えて全部解決だから。もう少しだけ耐えるんだ。お前ならきっと出来るよ、アーデ!


「——の世———し給え。よし詠唱終わり!

ちょっと!しっかりしなさいアンタたち!」


「落ち着くのは君の方だ、アーデ。俺たちとコイツは拳を交えた仲さ。多分最終決戦あたりで駆けつけてくれる。リーダーの俺が言うんだ、信じてくれ」


「あぁ、勿論信じてるぜイツカ。子ゴーレムは俺が責任持って育てる。散歩も朝晩欠かさないし、エサの心当たりだってあるんだぜ?テオなら分かるよな!」


「お前らなぁ……。悲しみを背負ったモンスターがどんな行動に出るか知らないのか?身投げだよ、身投げ。現代社会の闇ってヤツさ。俺はこのクソッタレな社会を変える革命戦士だったんだ!」


 自分でも何を言ってるのか分からないが、こんなに気分が晴れやかなのは初めてだ。現実逃避でも何とでも言いたければ言えばいい。


「あーもう情けないわね!何がなんでも生き残って貰うから。いいから見てなさい…!」


アーデが何か始めるらしい。


「我に仇なす者を氷牙を以て喰らい尽くせ。召喚(サモン)凍てつく悪魔(フロストデーモン)

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