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魔女に呪われた少女と、美しい支配人と  作者: 柳葉うら
第二部 秘密の庭の肖像画
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跡継ぎ令嬢は隻眼の護衛の秘密に触れる-下-

更新が大変遅くなり申し訳ございません…。

 オスカルは微笑むと、ブルーノの手を取る。


「それでは、その薄紅色の水晶を握りしめてください。その手に私が触れて、祝福を判別するための魔法をかけます」

「……」


 ブルーノは返事の代わりに、薄紅色の水晶を持つ手を握りしめて、その拳をオスカルに差し出す。


 オスカルが両手でブルーノの拳を包む。

 そして、目を閉じると、ブルーノに魔力を流し込み始めた。

 

 初め、ブルーノはその魔力を拒絶するかのように身じろぎしたが、堪えるような表情で身動きを止める。


「″女神よ、此の者に与えた祝福を示してください″」


 オスカルが言葉を紡ぐと、淡い光がブルーノを包む。

 それは少しずつ、ブルーノの拳へと吸い込まれるように小さくなっていった。


「さあ、拳を開いてください」


 オスカルに促されたブルーノが拳を開くと、輝く薄紅色の水晶に、ひときわ強い光を放つ文様のようなものが現れていた。


 それは丸や曲線で抽象的に描かれており、不思議な形をしている。


(いったい、何を示す文様なのかしら? さっぱりわからないわ)


 ロゼッタは首を捻る。


 ブルーノに与えられた祝福のヒントが刻まれているようだが、それ以外のことはわからない。

 今までに見たことがある美術品の知識を総動員しても、何も思い当たらないのだ。 


 しかし、オスカルにはすぐに分かったようで、彼は薄紅色の水晶を見るなり、「ああ」と心得たような声を上げた。


「この文様は、【身体強化】の祝福ですね。他者よりも身体機能が優れており、また多少の怪我であれば耐えれるようですね」

「……なるほど」


 ブルーノは水晶をまじまじと見つめていたが、視線をロゼッタに移してきた。

 清涼さを感じさせる空色の瞳を眇めると、ロゼッタの手を掬い上げて、その手の甲に恭しくキスをしてくれた。


「……とてもありがたい祝福です。ロゼッタ様に何かあれば、遠慮なく身を挺して守ります」

「それはいけませんわ! いくら他の人より体が丈夫であっても、自分を大切にすべきですわ!」


 ロゼッタは思わず声を荒げた。

 愛おしい人には、自分の身を大切にしてほしい。たとえ、ブルーノの仕事がロゼッタを守る事であったとしても。


「私にとってロゼッタ様は、自分よりも大切なのです。護衛だからそう思っているわけではありません。心から大切な方だからこそ、いかなる手を使ってでも守りたいのです」

「……っ!」


 まるで告白ともとれるようなブルーノの言葉に、ロゼッタのミルクのように白い頬が、瞬く間に薔薇色へと変わる。


 その時、ブルーノはいつものように無表情であるのに、なぜだか喜んでいるように見えたのだった。


「……この水晶は、ロゼッタ様がお持ちいただけますか?」

「私が持っていて、いいですの? ブルーノにとって、自分の故郷に縁のある、大切な物でしょう?」

「私だと思って、身に着けていただきたいのです。そうすれば、私はロゼッタ様と、ずっと一緒に居られますから」


 ブルーノは呪文を唱えて薄紅色の水晶に魔法をかけると、ロゼッタに差し出してくる。

 

「ロゼッタ様を守るための魔法をかけました。ですから、肌身離さず身に着けてください」


 ロゼッタは、おずおずと受け取る。

 本当に、自分が持っていて、いいのだろうか。そう思う反面、ブルーノが大切な物を自分に預けてくれたことが嬉しい。


 受け取った薄紅色の水晶は、眩い光こそ失われているが、夜空に瞬く星のような小さな煌めきを宿している。

 そして、表面に刻れているのは、ブルーノの祝福の内容を示す文様だ。


 ロゼッタは、薄紅色の水晶をそっと胸元に引き寄せた。


「身に着けるために、少し加工した方が良さそうね。今度、工房へ行って、チェルシさんやクレートさんに相談しますわ」

「……」


 ブルーノは黙ったまま目元と唇を綻ばせると胸元に手を当てて、礼をとった。


 その様子を、オスカルが微笑ましそうに見つめている。


「故郷がなくなり、仲間と巡り会えない状態であっても……大切な人と過ごす幸せを見つけられていて、安心しました」


 同族として、ブルーノを心配していたようだ。


「ベルナクト人について気になることがあれば、いつでも訪ねて来てくださね。ブルーノさんからすれば頼りなく見えるでしょうが、年長者として、できる限りの助けをしたいです」


 オスカルが無邪気な笑みを浮かべてそう言うと、ブルーノは黙ったまま、こくんと頷く。


「念のため、あなたの持つ祝福については、信頼できる人以外には口外しない方がいいでしょう。悲しいことですが、その祝福を利用しようとする人もいますから……」

「……」


 ブルーノは少し思案する素振りを見せると、ロゼッタに視線を戻した。


「……ロゼッタ様だけが知ってくださっていたら、いいのです」

「そう……それなら、わたくしは誰にも言わずに、胸の中に秘めているわね」


 ロゼッタは花が咲き綻ぶように微笑んだ。

 愛する人の秘密を、そっと胸の中にしまって。

今年こそはもう少し更新ペースを上げたく…本年もよろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾


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