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姫と騎士  作者: いつき
番外編
85/127

お蔵入り 『オヒメサマの夢』 ~伝わってる?~

 やっと恋愛っぽい感じのお話登場。ですが、今更な感が漂ってます。大丈夫でしょうか。

 あ、あと次話で完全にストックないです。(笑)

 多分、4月くらいまで更新止まるんじゃないかと……。

「お帰り、グレイス。王様とはきちんと挨拶できた?」

 目の赤いわたしを心配しているのか、セシルは穏やかに聞いてきた。

 ティアはあえて何も語ろうとせず、ただ『また明日、セシルはまた今夜』とだけ言って自分の部屋に帰って言った。ありがとう、も何も言えなかったのは少し残念だ。

「うん、挨拶できた。優しい、人だった」

「そう? それはよかった」

 セシルがそう言ってこちらに歩いてくる。

 それからきゅっと抱きしめられて、泣いてたの? と耳元で低く聞かれた。甘い声に、ちょっとだけねと返す。

 これは悲しくって泣いたわけじゃないと、どうやって伝えようか。

「王様に、元気付けられて安心したら泣いちゃった」

「王様に俺は役目を奪われたわけだ」

 目を見合わせくすりと笑いあう。

 安心したのは確かに王様のおかげだけど、それだけが彼の役目というわけではないだろう。それなのにセシルは悔しそうにちょっとだけ眉を寄せてみせる。

 その様子がおかしくて、『そんなことないよ』と言う声も震えていた。

「帰ってきたら、こうやって抱きしめてあげようと思ってたのに」

 そうしたら、少しだけ安心してくれるかなぁと思ってた。

 まるで幼子のようなその言い分に、ちょっとだけ嬉しくなって、あぁやっぱり彼が好きだと自覚する。

 恋愛、なんてしたことなかったわたしが突然持ってしまったこの想い。

 どうするのが正解かも分からず、うろうろとその気持ちを持って彷徨っているわけだけど、急にティアの言葉を思い出した。

 もしセシルが好きなら言った方がいいと言った。それはどうしてだろう。

 どうして、そうやってわたしに『好き』だと言わせようとしたのだろう。

「ねぇ、グレイス」

 体を離されて、こちらを見つめられる。

 明るい碧眼がきらりと光って、心臓が飛び上がった。恋をし始めた私にとって、好きな人の目は存外威力が高い。

 ただ見つめられるだけでびくりとして、どうにも上手く対応が出来なくなる。

 ティアとアレクさんは、どうやってあんな穏やかな関係を築いたんだろう。やはり一緒にいた時間が長いとよいのだろうか。

「ちゃんと言わないと伝わらないかもしれないから、言葉で君に伝えておくよ」

 頬に手を添えられて、視線を外すことさえ叶わない。

 せめてうつむくことを許してくれたら、もう少し冷静な対応が出来ると思うんだけど、彼の手はそれさえ許してくれなくてどうしようもなくなる。

「セシル。あの、手を離して?」

「離しても、君は俺の目を見て話を聞いてくれる?」

 それは無理だ。

 今だって心臓が喉元まで来ていて、いつ飛び出すか分からない。そんな状態でこのままいられたら、わたしは自分が何かとんでもないことをし出すんではないかと思った。

「無理でしょ? だからダメ」

 にこり、ととても嬉しそうに笑う彼。ちょっと意地悪だと思うものの、彼にはそんなつもりないのかもしれない。

「ちゃんと、目を見て聞いてほしいんだ。とても、大切なことだから」

 座る? このまま聞く? とそれくらいの選択肢は与えてくれるらしい。

 もう足が震えているのがばれているんだろう、と思いつつ座らせてと懇願した。そうでもしないと、そのうち腰が抜けてしまいそうだ。

 わたしの願いを聞くと、セシルはまたキレイに笑って、わたしの足を掬い取る。

 声も出ずに、浮遊感を感じて彼にしがみつくと、軽いねと笑われた。喜んでいいのかどうなのかよく分からない。

「セシルっ」

「うん、もうちょっと待ってね」

 手短なイスにセシルは自分だけ座る。

 そしてわたしを降ろそうともせず、体勢を固定した。え、とわたしの口から間抜けな声が漏れる。それにセシルはくすりと笑って、我慢してねと小首を傾げた。

「降ろして……?」

「え? どうして? これじゃ、話聞けない?」

 聞けないです、とか恥ずかしすぎる、とか言いたいことは山ほどあったのに、ダメ? と聞かれると出てくる言葉は一つだけ。

「ダメじゃ、ないけど」

 ならいいじゃない、と言う彼にうんと頷いてしまう自分の意志の弱さ。もとい、彼の笑顔の威力にくらりとめまいがする。彼の笑顔にはこんな裏が隠されていたなんて。

 分かってやっているのなら、怒りようもあるがそれも確信がもてないため、怒るに怒れない。

「じゃぁ、話を始めようか」

 そう言った彼の声が真剣で、わたしは否が応でも彼の目を見ずに入られなかった。

 頬を捕らえられるまでもなく、わたしの瞳は彼の瞳をまっすぐに見ていて、逸らすことさえ出来ずにいた。

 しっかりと結びついた視線に、もう恥ずかしいとも言っていられない。

 ただ、吸い寄せられるようにその瞳を見つめた。目を逸らす、という選択肢さえ出てこない。

「グレイス」

 すっと声が低くなる。

 さっきみたいに、わたしの反応を面白がるだけの甘いだけの声じゃない。深くて、ひどくわたしの奥まで沁み込んで、わたしを捕らえて逃がしてくれない。

 何、と聞き返すことも出来ずにいると、さらりと頬をなでられた。

 少し冷たい指先が、わたしの輪郭を確かめるように動き回る。碧眼が細められ、淡い色の黒髪が揺れる。一瞬、アレクさんの面影を見た。この二人、よく似ている。

 特に今の目は、アレクさんがよくティアに向ける目だ。

 どこまでも、優しくて、穏やかで……まるで、その人のことを心底愛しているとでも言うように。声に出さず、態度に出さず、ただ目だけでそれを伝える。

 明確に、愛を伝える方法があるのだとしたら、きっとそれなのだろうと、そう思わずにはいられないくらいの視線。

 愛してます、という言葉よりもずっと深く、心に刻まれてしまいそうな。

 ――そんな目を、セシルは今わたしに向けているの?

「俺は、グレイスがとても大切だって、言ったね」

 確かめるように、重要なことを確認するように。

「俺はこれで、自分の気持ちを伝えた気になってたけど、どうもそうじゃない気がする」

 君の目を見ていると、ちゃんと伝わっているのか不安になる。

 変なところで区切りすぎだ……。(嫌気が差してきた)

 すみません。でもここで区切らないと、もうどこで区切ってよいのか。

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